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第11話

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ロビーを横切り、温泉と書かれた札と看板を目印に進む2人。
勿論、先頭はミナトだ。

階段をドンドンと降っていく。

途中、卓球できる場所や小さなゲームコーナー、自動販売機などがあった。
そして、更に進むとまた降るエスカレーターが見える。

このエスカレーターは、けっこう長い。


「…ねぇ、本当にこの道であってるのかな?」

「看板の指示に従って進んでるんだから、大丈夫でしょ。

退路は頭に入れてるから、荒事とは任せたわよ。」


不安がるオオダを他所に淡々とそう返事をして先に進むミナト。
ここへの道中、オラついていた彼女は何処へ行ったのやら。

そんな彼女をみてクスッと笑うミナトの目に、家族風呂の看板が見えた。


途中、エスカレーターが途切れてそこに家族風呂の道を示す看板が見える。



あらかじめ予約して使うのかな?
チラリと覗いてみるが、特に変わったような感じもなく入り口だけが見える。


「まぁ、私らには関係ないか。」

「せやね。
…ウチらが、家族風呂を使う機会ってあるのかな?」


ポンとオオダの肩に手を置くミナト。


「…それは、神のみぞ知るってやつだよ。」



何かの地雷を踏みぬいてしまったのだろうか、いつにも増して覇気がなくなった彼女の視線を感じたオオダはこれ以上なにも追及しなかった。

…とりあえず、温泉だ温泉。
気を取り直すようにオオダはミナトの後ろに回って両肩をつかんで、優しく押すようにして先に進む。


再び降りのエスカレーターで下っていった先に温泉と書かれた看板が見えて木と灯りで装飾されたシックな壁の廊下が奥に続いている。

最初に比べて、温泉や戦闘で感じる蒸したような独特の感じがするので脱衣所までは近いだろう。


オオダは、ホッとしたような表情になり先に進もうとするがミナトは静止した。
また、男湯に向かわれても困る。

彼女はオオダの前に進むように再び歩き始めた。
最近、改装したようで全体的に新しく綺麗な道のりだった。
きっと温泉の中も綺麗だろう。



色々な期待に胸を膨らませて、女湯と書かれた暖簾をくぐる。



ミナトは再び髪の毛を解いて温泉の中にはいった。
こんな事なら、髪の毛を短くしておけば良かったかなぁ。

そんな事を考えながら、オオダの後には続いて脱衣所を出る。
ここの温泉の内装は全体的に石や大理石がベースにタイルや木材の豪華なリゾート施設のような雰囲気があった。

普段行く温泉とかは、銭湯のようなタイルのつくりの場所や和を思わせるような木造が中心だったためにこのような雰囲気の場所は初めてで2人のテンションは上った。


「ふぉおおお。」

「ふぉおおお。」


2人は思わず声を出して感動した。
中もかなり広く探索し甲斐がある、オオダが迷子にならないよう目を光らせないと。

二人は簡単に汗を流してから浴場内の散策を始めた。

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