Nora

鷹美

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ノラ

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「学生ならどこかで薬品適合テストをやったのかもな、俺の用意した薬は拒絶反応がほぼ無いからな。
とりあえず、そこに立っていないで座るといい君の椅子も用意してある。」


アクトは、そういってリエルに椅子に座るように促した。
会議室の大きさはそれほど大きくなく、真ん中に丸いテーブルがあり皆が向かい合うような感じで椅子が設置されていてそこに各々が腰をかけている。


椅子にも空白があり、リエルのを含めて5つもあった。
任務にでかけていない人間もいるのだろうか?

リエルはそう考えながら、アクトに言われた通りに椅子に座る。



「単刀直入に聞く、君は戦いに参加する意思はあるか?
知ってのとおり戦闘員が圧倒的に不足している。

いきなり戦闘には立たせないし…町の警備だけとかもいいし、勿論戦闘そのものを断っていい。」


アクトの淡々とした言葉で少し重たい空気になるが、そこで大きなため息が会議室内で大きく響いた。
ため息をついた人物はつまらなさそうに机に突っ伏し始めたベルだった。


「まっっったく、デリカシーのないのない男だ。
切羽詰まってるにはわかるけど…もっとコミュニケーションをとらなくちゃ。

見てみぃ、そこのアンナさんオコだぞ。」


ベルの視線の先には、ラスボスを連想させるような強烈な圧がアクトに向かって向けられていた。

アンナに圧が強すぎじゃね?
などと言いたい所だけど、自分もとばっちりで怒られそうだからベルはその言葉を胸にしまう。


「リエル様は、苗床にされそうになり決死の覚悟で1人で戦い…やっと人としての平和な時間が訪れました。
そんな人にいきなり…戦えと?

控えめにいっても、ゴミですわよ。」



あまりの圧に下を向くことしかできないアクト。
控えめに言ってゴミなら、控えめに言わなかったらどんな言葉を使うのだろう。

少し興味を持ったリエルだったが…知らないことがいいこともある。
この疑問はスッと胸の奥底にしまった。


「とはいえ、いざとなったら使えるように訓練はしておいた方がいい。
訓練自体は、私は賛成だ。

いきなり言われても困るだろうから、少しばかり砦内を散歩してみるといい。」



そっけないような声でそう提案するB.K。
B.Kの提案には、全員が納得したようでとりあえずその動きで進む事になった。

内容的にはリエルを大分思いやったものの為に、ベルはニヤニヤとしながらB.Kを見つめる。



「とりあえず会議はこれで終わりとする。
リエルの見学の案内は…。」


アクトがそう言っている途中で、アンナとシオがリエルの手を引いてニコニコしながら部屋を出て行っていた。
その他の人達も、次々に会議室を後にしていくが1人だけ出れなかった者がいる。


「おいおい、俺を捕まえてどうしたんだB.K?」

「お前、さっき私を見て笑ったな?」


何処のホラーだよ。
なんて思いながら、b.Kに肩を掴まれたベルは大きく息をはき出す。
ゆっくりと自分の肩からb.Kの手を離すと向かい合うように振り向く。


「そりゃ、あんな微笑ましい光景を見たらな?」

「そうか、笑ったんだな。」


コツコツとベルを通り過ぎると、B.Kは会議室の扉を閉めて鍵をかけた。
整った顔のB.Kと密室で2人きりだと一般の男は普通にドキドキするだろうが…ベルは違った意味でドキドキしていた。

蔑んだ表情を浮かべて、指をポキポキと鳴らして臨戦態勢のB.K。


「まて、話せばわかる!」

「話したく無いから大丈夫。」


なぜ、彼女はそこまで怒るのかその意味が分からないままベルの悲鳴が会議室に響いた。
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