Nora

鷹美

文字の大きさ
6 / 10
ノラ

ノラ 下

しおりを挟む
人々を守るノラの拠点とはいえ、そんなに広くはない。
先程使った会議室とキーウエポンが収納、点検を行っている整備工場と訓練室とノラの居住区がチラホラ。

リエル達は、部屋が用意されるまではシェアルームみたいな所で過ごしてもらっていた。



「そういえば、部屋を用意しているのは誰ですか?」

「僕に敬語はいらないよ。
今、そう言うのを使ってるのはベル。

君達を助けるときに見たあのゴーレム達を覚えている?
アレの応用で部屋を作っているんだ。

勿論、プライバシーはバッチリ。」



リエルの質問に親指をグッと上に上げて答えるシオ。
アンナもリエルの両肩に両手を置いて微笑んでいる。


「皆様は、節度がある人達ばかりなのでプライバシーは安心してください。
…万が一、違和感を感じたらワタクシにお知らせください、なんとかいたします。」


ウフフフと優しく微笑むアンナ。
会議室での圧を思い出し、具体的に何をするのかリエルは怖くて聞けなかった。

思考を殺し、はいと元気よく返事する。
イヤーイイヒトダナーと考えを切り替えていると整備工場の入り口に着いた。


窓はなく、扉の上にランプが付いていた。
中に人がいたらランプが光るらしい。


そして今、光っているから誰かいるのだろう。


「今、アイク様がいらっしゃるようですわね。
ワタクシ達の持つ武器はアイク様にしか作れず、精密な検査かできないのです。

大体、アイク様は此方にいらっしゃるのでご用事があれば先ずは此方をお尋ねください。」



扉を開けることなく次へ進む3人。
リエルは久しぶりに学生の頃にやったような工場見学をした気持ちになった。


そして訓練室。
そこには、サイとエグザスが組み手をしていた。

訓練は何も、キーウエポンを使って行うばかりではない。
竹刀や木刀、防具、柔道でやるような畳やマットなど学校の体育館のような感じで備品のラインナップが揃っていた。

体術に特化した2人が今日やっているのは、総合格闘技のようで汗をかきながら不規則にパンチやキック…投げ技などをしようとしている。


「体術に長けたお二人の組み手はいつ見ても、見応えがありますわ。
勿論、体術だけじゃなくて此方もございます。」


アンナが指さした方向には、座禅用と更に限られた部屋があった。

キーウエポンと使い手には適合率があり、1%でもないとアイクの作った薬が大丈夫でも扱う事ができない。
適合率の上昇は未だに定かではないが、強く感情が露わになった時や熟練度がそうなのではと言われている。


適合率が上がると、使える技の種類や威力が上がるなどとわかりやすいものだった。


「一応、ノラの管理する施設はこんな感じかな…人類存亡を左右する砦の1つだけど、そんなにピリピリしていないでしょ?

改めてようこそ、僕たちの家へ。」


シオは腕を後ろに組んで歯を出すような笑みを浮かべてそういった。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

処理中です...