Nora First Edition

鷹美

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第五話

第5話 27

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「グラムじーさン!!」



ドレッドは、辺りに響く位の声でそう叫ぶ。
グラムの入った球体の断面が地面に倒れた音が響き驚異が去りノラの全員の肩の力が抜けた時に声が聞こえた。


「流石に焦ったヨ。」




ノラ全員が表情を変えてグラムのいた球体を見る。
背中を逆撫でされたような不快感がノラ全員に襲う。



球体の断面から水が流れてきて、それが集まり1つの物質として成形される。



「森羅万象…水。」


“アクアシフト”



グラムかそう呟くと、元の姿に戻りアイク達の前に立ちふさがる。


肩を鳴らした後に右手を振り上げる。



“アクアショット”



水圧の刃がアイクに向かって地面を走っていく。
速度もかなりある。



「ボさっとするな!」



エグザスは、キーウエポンを交差させてグラムの攻撃を防ぐ。

そしてグラムは、ゆっくりとドレッド達に向かって歩いた。
流石の二匹も驚いたようで、目を見開くようにグラムを見る。



「驚いたかネ?」

「…ッ!
あたりめーだ、クゾジジイ!!

心配したじゃねーカ!」



ドレッドがそういうと、グラムは嬉しそうに笑う。
そんなグラムをみたレイスは、呆れた表情でため息をついた。


グラムは、そんな二人を見た後にゆっくりとエグザスに視線を向ける。



「弾くほどの力も兼ね備えいないのに、身を呈して守るとは…優しい子ダ。」



視線の先には、止まらない攻撃を受けとめ続けるエグザスの姿があった。
負荷が大きいようで、受け流すことが出来ないようだ。

「メガネ、行くぞ!」

「あいあいさー。」



コーダとベルは、エグザスを挟むように同時に走りだしヤスは槍をコーダは大剣をグラムの攻撃に当てる。



“心の0段”



二人がかりで、グラムの攻撃を支配して消滅させる。

そして、すぐさまコーダが巨大な壁を作りベルが自分達の足元に大きな穴を作った。



落下しながらコーダは、ノラ全員を見回しながら口を開く。


「逃げられる自信はないけど、それでも少しの可能性に賭けよう。
俺とメガネがいれば、進路も退路も確保できる。

急いで!」


「何処に行こうというのだネ?」






着地をすませて進もうとした、すぐ目の前にはグラムが立っていた。
涼やかな表情を浮かべて、コーダを見る。

ベルは軽く舌打ちをすると立ち止まって槍のコーティングを剥がして杖を構える。



“心の0段”


ヤスは辺りのコンクリートを集めて、キーウエポンを弓になるようにコーティングする。
無論、矢もヤスの0段で作っている。




「死ね。」



ベルは、それだけを呟くと矢を放つ。
放たれた矢の命令はコーダと同様に強制的に分解を命令をした物だ。



速度は銃弾にも負けない位の速度。



「森羅万象…大地。」

「見くびんなよ、いつまでも同じ手が通用すると思ってんのか!?

見せてやる特化型の強みって奴をね。」



“プレート”


グラムは、ベルの矢を防ぐ為に壁を出現させたが…呆気なくベルの矢に貫かれた。


特化型の強み。
体なら強化効率の向上による爆発的な身体能力を得る。

技なら、キーウエポンのエネルギー変換能力の向上により少ない代価で技を放てる。

心なら物質の精製速度及びその伝達速度や精度の向上により通常より強い治癒が行える。



ベルの0段は、伝達速度や精度の向上による力でコーダより支配力がある。
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