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プロローグ
プロローグ14
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まさか訪問先でこんな事が起こるとは…。
再びボリボリと頭を掻いた蓮だったがどの後継者とは言ってはいなかったから優は勿論、剛にも大いに手伝ってもらおう。
そう気持ちを切り替えて子供に視線を向けた。
日頃から弟が欲しいといっていた椿は、子供の土を払ったり自己紹介ながら頭を撫でたりと既にお姉さん気分だ。
やれやれと首を横にふる蓮。
「童、名前はあるか?」
蓮の問いに男の子は名前などないと首を横に振る。
物心がある時からそんな生活ならあるわけもないか…そう考えていると、手を挙げている自分の娘に目が行く。
この流れだと挙手の理由は考えるまでもないだろう。
娘の提案にすこし不安を感じジト目で見たが、話が進む様子もないため溜息をついて椿の話を聞いた。
「なんじゃ…椿、言ってみろ。」
「私達の名前って花からきてるので…〝籐麻(とうま)〟で!」
藤の花。
蓮の妻である”桜(さくら)”から、その花言葉は聞いたことがある。
確か…優しさ…だったか。
優しい人になるようにか、悪くない。
蓮は素直にそう思った。
そして男の子に視線を向ける。
「童、お前さんが問題ないなら籐麻がお前さんの名前になるがいいか?」
「うん、わかった。」
金髪の男の子…〝籐麻〟は、すこし恥ずかしそうにそう言った。
藤麻の宿所はどうしよう、優には娘ともう一人いるし…地位や立場もあるから護と剛に頼むのも気が引ける。
となると自分の家か。
寝床は使ってない部屋があるから、そこを片づけるとして…妻にはなんて説明しようか…。
蓮は、うーんと色々考えていたが名前が決まった途端に椿は籐麻の手を引き牢を出ていた。
椿の嬉しそうな笑みと、藤麻の照れくさそうな笑みを見たら自分の考えてる事がどうでも良くなった。
事の発端は、優の一言だ仲間達への説明はアイツに丸投げしよう。
妻は…うん、男の子も欲しいと言っていたから…問題はなかろう。
蓮は考える事を完全に放棄すると、一番最後になってしまったが皆の後を追いかけていく。
護達は、客室にいた。
捕虜達の処遇の報告を民に話をしていたのだろう。
ちょうど話が終わり一部の兵を残して東の部屋で今後の話をしようとしているところだった。
藤麻が特に関係していないのなら口を出す必要は無い、そう考えた蓮は特に声をかける訳でもなくそのまま仲間達の後ろについていく。
籐麻は当たり前のように会議に参加するメンバーの所に連れて行かれる事に驚きを隠せていないようで、不安そうな表情で蓮をチラチラと見ている。
まぁ、そうなるわな。
蓮は少し屈み、紹介と東の説明もあるし…問題ないと椿に手を引かれている籐麻にポソッと耳打ちをした。
本来は引っ張っている椿が説明しなくちゃならないのだがなぁ…。
新しい家族ができたことに完全に浮かれておるな、この娘は。
そんな蓮の困り顔を優はクスクスと笑って面白がっている。
小指でもぶつけてしまえばいいのに…そんな念を送っていると東の部屋についた。
部屋の中は客間よりやや豪華な態度で基本は変わっていない。
東が座る場所と家宝であろう刀と鎧がかざってある程度のやや殺風景な部屋だ。
「本当は、もっとちゃんとした部屋にしてから招待したかったのですが…。」
東はそう言いながら鎧の前にゆっくりと座った。
その後に元から用意してあった座布団に座るように皆に促すと話を続ける。
もしもの為に数枚ほど多く敷かれていたようで、藤麻も座布団に座れていて初めての座布団だったのが少しソワソワしている。
再びボリボリと頭を掻いた蓮だったがどの後継者とは言ってはいなかったから優は勿論、剛にも大いに手伝ってもらおう。
そう気持ちを切り替えて子供に視線を向けた。
日頃から弟が欲しいといっていた椿は、子供の土を払ったり自己紹介ながら頭を撫でたりと既にお姉さん気分だ。
やれやれと首を横にふる蓮。
「童、名前はあるか?」
蓮の問いに男の子は名前などないと首を横に振る。
物心がある時からそんな生活ならあるわけもないか…そう考えていると、手を挙げている自分の娘に目が行く。
この流れだと挙手の理由は考えるまでもないだろう。
娘の提案にすこし不安を感じジト目で見たが、話が進む様子もないため溜息をついて椿の話を聞いた。
「なんじゃ…椿、言ってみろ。」
「私達の名前って花からきてるので…〝籐麻(とうま)〟で!」
藤の花。
蓮の妻である”桜(さくら)”から、その花言葉は聞いたことがある。
確か…優しさ…だったか。
優しい人になるようにか、悪くない。
蓮は素直にそう思った。
そして男の子に視線を向ける。
「童、お前さんが問題ないなら籐麻がお前さんの名前になるがいいか?」
「うん、わかった。」
金髪の男の子…〝籐麻〟は、すこし恥ずかしそうにそう言った。
藤麻の宿所はどうしよう、優には娘ともう一人いるし…地位や立場もあるから護と剛に頼むのも気が引ける。
となると自分の家か。
寝床は使ってない部屋があるから、そこを片づけるとして…妻にはなんて説明しようか…。
蓮は、うーんと色々考えていたが名前が決まった途端に椿は籐麻の手を引き牢を出ていた。
椿の嬉しそうな笑みと、藤麻の照れくさそうな笑みを見たら自分の考えてる事がどうでも良くなった。
事の発端は、優の一言だ仲間達への説明はアイツに丸投げしよう。
妻は…うん、男の子も欲しいと言っていたから…問題はなかろう。
蓮は考える事を完全に放棄すると、一番最後になってしまったが皆の後を追いかけていく。
護達は、客室にいた。
捕虜達の処遇の報告を民に話をしていたのだろう。
ちょうど話が終わり一部の兵を残して東の部屋で今後の話をしようとしているところだった。
藤麻が特に関係していないのなら口を出す必要は無い、そう考えた蓮は特に声をかける訳でもなくそのまま仲間達の後ろについていく。
籐麻は当たり前のように会議に参加するメンバーの所に連れて行かれる事に驚きを隠せていないようで、不安そうな表情で蓮をチラチラと見ている。
まぁ、そうなるわな。
蓮は少し屈み、紹介と東の説明もあるし…問題ないと椿に手を引かれている籐麻にポソッと耳打ちをした。
本来は引っ張っている椿が説明しなくちゃならないのだがなぁ…。
新しい家族ができたことに完全に浮かれておるな、この娘は。
そんな蓮の困り顔を優はクスクスと笑って面白がっている。
小指でもぶつけてしまえばいいのに…そんな念を送っていると東の部屋についた。
部屋の中は客間よりやや豪華な態度で基本は変わっていない。
東が座る場所と家宝であろう刀と鎧がかざってある程度のやや殺風景な部屋だ。
「本当は、もっとちゃんとした部屋にしてから招待したかったのですが…。」
東はそう言いながら鎧の前にゆっくりと座った。
その後に元から用意してあった座布団に座るように皆に促すと話を続ける。
もしもの為に数枚ほど多く敷かれていたようで、藤麻も座布団に座れていて初めての座布団だったのが少しソワソワしている。
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