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プロローグ
プロローグ17
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籐麻は一礼した後にゆっくりと顔を上げた。
彼の視線の先には、突進してくる金髪の大男がいる。
思わずギョッとした顔をしたが、金髪の大男…剛はそんなことを気にもせず両手で猫のように籐麻を抱き上げた。
「はっはっは!
可愛げのある気持ちのいぃ坊主じゃねーの。
なぁ、兄者。」
先ほどの客間より小さい部屋ではあるが、大き目な部屋が小さく揺れるくらいの声量で剛は豪快に笑った。
部屋がビリビリと小さく悲鳴を上げているのだ、目の前にいる籐麻の様子は言うまでもないだろう。
両手で耳を塞いで痛そうに耳を塞いでいる。
「ぁあー、剛様!
籐麻が死んじゃいます!」
「拙者と同じ金色の男だ、この程度で死ぬような柔な奴じゃないわ!」
意味のわからない事を言いながら気絶している籐麻を俵のように肩で担ぎ再び笑う剛と、籐麻を奪還しようとピョンピョン跳ねる椿の姿はとても微笑ましいものだった。
おふざけモードに入ったからなのだろう。
護と優は、二人の姿を肴に酒を口にしている。
やれやれと、ため息をついた蓮も二人の所にいき酒を口にした。
部屋を案内された時に渡された東野の酒のようで、保存食に関する技術が長けているから和の土地とは違いあっさりとした飲み口のものだった。
これもまた…堪らん。
蓮は、運命の出会いともいえるこの酒に表情を緩ませている。
…土産の一つに妻にも買っていこうかそんなことを考えた後に蓮は口を開く。
「…して、今回の件だが、優は今回はどんな意図があったのじゃ?」
護も少し驚いた顔をした。
以前にも同じことはあった、それは和国に留守番している守護者候補の”空(そら)”という男の子だ。
襲い掛かってきた身寄りがない子すべてに言っている訳でもないし、素質がありそうな守護者志願の者も追い返したこともある。
二人の視線は、同じ酒を口にする優に向けられる。
優は、自分のお猪口が空になるとゆっくりと口を開く。
「勘みたいなもので確信めいたことじゃなかったから言いたくなかったけど…。
空の時も藤麻の時も、”四大(しだい)”を扱える可能性があると思ったからかな。」
そういった優は、護のお猪口の後に自分のお猪口にも酒をつぐとそれを飲む。
護は、理由を答えてくれた事に満足すると自分のお猪口に入った酒を見つめる。
透き通った酒から見えるお猪口の模様とアルコールの独特の香りからほのかに感じる甘い香りを楽しみながら口を開いた。
「彼が自分でも望んだことなら、私も問題はない。
これからを担う若者を育てるのは、私も心が踊る。
椿も〝楓(かえで)〟も〝空(そら)〟そして、籐麻。
どう育ってくれるのか、楽しみだ。」
「それも大いにわかるぞ、兄者。
だか兄者はそれ以上に世継ぎの事も考えねばな。
〝恵梨香(えりか)〟を待たせぬようになぁ!」
しんみりと言った護に剛は豪快な笑い声をあげて、そう言った。
ガハハハと笑い声をあげながら、籐麻と椿を両肩にそれぞれ俵のように担いでいる。
こう見えて下戸な剛なのだが、酔っ払いの如くはしゃいでいた。
気分がさらに乗ったのか、回転まで始めた。
「これ、剛。
ワシの子供達で遊ばんでくれ。
グッタリしておるじゃろう。」
そう注意する蓮もどこか楽しそうだった。
そうして夜が過ぎていった。
本当に楽しい夜だった。
そして楽しく騒ぎすぎて、朝一で護と蓮が謝罪に向かったのは言うまでもないだろう。
彼の視線の先には、突進してくる金髪の大男がいる。
思わずギョッとした顔をしたが、金髪の大男…剛はそんなことを気にもせず両手で猫のように籐麻を抱き上げた。
「はっはっは!
可愛げのある気持ちのいぃ坊主じゃねーの。
なぁ、兄者。」
先ほどの客間より小さい部屋ではあるが、大き目な部屋が小さく揺れるくらいの声量で剛は豪快に笑った。
部屋がビリビリと小さく悲鳴を上げているのだ、目の前にいる籐麻の様子は言うまでもないだろう。
両手で耳を塞いで痛そうに耳を塞いでいる。
「ぁあー、剛様!
籐麻が死んじゃいます!」
「拙者と同じ金色の男だ、この程度で死ぬような柔な奴じゃないわ!」
意味のわからない事を言いながら気絶している籐麻を俵のように肩で担ぎ再び笑う剛と、籐麻を奪還しようとピョンピョン跳ねる椿の姿はとても微笑ましいものだった。
おふざけモードに入ったからなのだろう。
護と優は、二人の姿を肴に酒を口にしている。
やれやれと、ため息をついた蓮も二人の所にいき酒を口にした。
部屋を案内された時に渡された東野の酒のようで、保存食に関する技術が長けているから和の土地とは違いあっさりとした飲み口のものだった。
これもまた…堪らん。
蓮は、運命の出会いともいえるこの酒に表情を緩ませている。
…土産の一つに妻にも買っていこうかそんなことを考えた後に蓮は口を開く。
「…して、今回の件だが、優は今回はどんな意図があったのじゃ?」
護も少し驚いた顔をした。
以前にも同じことはあった、それは和国に留守番している守護者候補の”空(そら)”という男の子だ。
襲い掛かってきた身寄りがない子すべてに言っている訳でもないし、素質がありそうな守護者志願の者も追い返したこともある。
二人の視線は、同じ酒を口にする優に向けられる。
優は、自分のお猪口が空になるとゆっくりと口を開く。
「勘みたいなもので確信めいたことじゃなかったから言いたくなかったけど…。
空の時も藤麻の時も、”四大(しだい)”を扱える可能性があると思ったからかな。」
そういった優は、護のお猪口の後に自分のお猪口にも酒をつぐとそれを飲む。
護は、理由を答えてくれた事に満足すると自分のお猪口に入った酒を見つめる。
透き通った酒から見えるお猪口の模様とアルコールの独特の香りからほのかに感じる甘い香りを楽しみながら口を開いた。
「彼が自分でも望んだことなら、私も問題はない。
これからを担う若者を育てるのは、私も心が踊る。
椿も〝楓(かえで)〟も〝空(そら)〟そして、籐麻。
どう育ってくれるのか、楽しみだ。」
「それも大いにわかるぞ、兄者。
だか兄者はそれ以上に世継ぎの事も考えねばな。
〝恵梨香(えりか)〟を待たせぬようになぁ!」
しんみりと言った護に剛は豪快な笑い声をあげて、そう言った。
ガハハハと笑い声をあげながら、籐麻と椿を両肩にそれぞれ俵のように担いでいる。
こう見えて下戸な剛なのだが、酔っ払いの如くはしゃいでいた。
気分がさらに乗ったのか、回転まで始めた。
「これ、剛。
ワシの子供達で遊ばんでくれ。
グッタリしておるじゃろう。」
そう注意する蓮もどこか楽しそうだった。
そうして夜が過ぎていった。
本当に楽しい夜だった。
そして楽しく騒ぎすぎて、朝一で護と蓮が謝罪に向かったのは言うまでもないだろう。
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