コバナシ

鷹美

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プロローグ

プロローグ18

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「昨日は眠れましたかな?」

「それはとても。
しかし、夜に騒いでしまって申し訳ない。
他の者にもそう言っておいてくれないか。」


穏やかにそういう大介に対し、護はすこし恥ずかしそうに言った。

夜があけ、東のいる領主の部屋へと大介に護達は案内された。
領主の部屋には既に朝食が用意されており、ギクシャクする藤麻の手を椿は引いて隣に座らせる。

改めての自己紹介や趣味や近況など様々な談笑をしながら食事を行った。

特に盛り上がったは話は、下戸の剛に酒を飲ませて椿に怒られた話だ。
酒を飲まされ赤子のように泣く剛をあやし、蓮や優だけではなく主である護でさえも目の前で正座させて淡々と説教していたというものだ。

椿は本気で怒らせはいけない…そんなオチで終わった話を剛は気にせず笑っていたが、椿は恥ずかしそうに俯いていた。


朝食が終わり、お茶を飲んで一呼吸を置くと東は口を開く。



「私は…先日、言った通り…難民の者の為に賊の討伐を本日から行うことにする。
大介を筆頭に行うため、他にも用事があれば早めに言ってくださると助かる。」


東も先ほどの話で多少は打ち解けたみたいで、昨日ほど声は震えておらず吃ってはいない。

昨日の今日で、作戦を進める行動力に護は感心した。
行えるということは、ある程度情報も集まっているのだろう。

うんうんと頷き、話をきいた護は少し前をおいて口を開く。


「なるほど…それでは、私達も同行して構わないか?」


驚く東と大介だったが、護はお構いなしに言葉を続ける。



「腕の立つ山賊に私も興味がある。
他の領地が派遣した戦士を返り討ちにあうほどの強さなのであれば、私達も他人事ではない。

和国からも近いだろうし…盟友だけにそんな危機な目に合わせるわけにもいかない。」


危険な芽は、早急に摘んで置きたい。
せっかくの同盟もあるし、連携をとっておくのも悪くない。



「分かりました、お言葉に甘えさせていただきます。」



そう話がまとまると、次のように話が進む。


山賊の討伐に護、蓮、大介。

東野の守りに東、優。

先日話した物資の支援に剛。

優の補佐と東野に物資を届けた人の指揮で、椿。



剛は、討伐隊に加わりたいとゴネていたが…人の指揮を取るのに慣れてほしいと護に言われると渋々承諾した。

籐麻は、オロオロとしていたが…今回は椿と一緒だそうだ。


「よし…坊主!
早速のお仕事だ、張り切っていくぞ!」


不安そうな籐麻の肩をすこし強めに叩き、にっこりと剛は笑う。
そんな激をもらった藤麻は不安そうな表情をやめて、キリッとした表情に変わり力強く返事をした藤麻を満足そうに見た後に軽い足取りで和に戻っていった。

しかし、やや小走り気味なのを見ると早く切り上げて討伐隊に加わりたいからだろか…。



「若、我々も出陣いたします。
護殿、よろしくお願いいたします。」

「こちらこそ宜しく頼む。
それでは、東殿いってくる。

吉報に期待していてくれ。」


大介と護もそういうと、討伐隊の所に向かっていく。
蓮も椿や藤麻に無茶をしないように優や東の指示に従うように釘を刺すと二人の後に続く。



討伐隊と言っても、3人を除いて戦闘員5人と集落の人間だった2人の小規模のものだった。
東野の人口が少ないせいもあるのだろう。


戦争をするわけでもないから、問題はないだろう。
蓮はそう考えながら戦闘員である5人を見る。

屈強な強面の男が5人。
顔などには火傷や傷が目立っており、強面をさらに引き立てていて武装は旧式の鎧と兜で少し心許ない感じだ。
資金不足もあると思うが、技術も足りていなさそうだ。

物は悪くないため武具などは、技術があれば化けそうだ。

山賊の件が終わったら、彼らの装備をしっかりと見てみようか。
鍛治師でもある蓮は、彼らの姿を見て少しだけ血が騒ぐ。


「隣の領土の主人である護だ。
東殿に代わり、指揮を取らせてもらう。

皆で、山賊に囚われた民を助けようではないか。
出発!」


大介に紹介され、隊員にそういう護がそういうと蓮は思考の海から帰ってきた。

何はともあれ、山賊を撃退してからだろう。
余計な事に気を取られて怪我をしたのなら、椿の他に妻という大ボスからの説教を食らってしまう。

蓮は、両頬を軽く叩き気持ちを切り替えると最後尾で隊員達の後ろを追っていった。
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