35 / 151
第一話
第一話 12
しおりを挟む
覚悟を決めた矢島も、刀を鞘から抜いた。
鞘の中が一瞬だけ強く光る。
【送り火】
放たれた細い火は正確に、優の方にむかったが…右手の剣で軽くあしらわれる。
矢島も、牽制程度でしか考えていなかったようで直ぐに走って優との距離を詰めた。
そして、鞘と刀を擦り火花を起こすとそのまま縦に回転するように刀を振る。
【車火】
右手の剣を盾に変形させてそれを受け止めると、そのまま力任せに押し返した。
真剣な顔の矢島を他所に、優は大層つまらなさそうな表情を見せる。
「うーん、環境のおかげで蓮と戦いに持って行けたのか。
がっかりだよ、こんなんじゃ籐麻の勉強にさえならない。」
優は右手の剣を元に戻して地面に刺す。
そして、代わりに銃に変形する剣を握り直した。
優は矢島目掛けて適当に弾を撃ったが、矢島は避けるなり打ち返すなりして身を守った。
…彼は防御主体か。
優は、右手の剣を元に戻すと掲げるように矢島に見せる。
「僕の手の内を教えよう。
銃に変形する剣、“八尺瓊(やさかに)”。
盾に変形する剣、“八咫(やた)”
攻撃力を誇る剣、“草薙(くさなぎ)”
僕は、この三本を使い戦う。
…こんな風に…!」
優は、剣の状態の八尺瓊を矢島に向かって投げる。
突き立てられるように飛ぶ八尺瓊は、正確に矢島の心臓のある所を狙う。
「あまり舐めるなよ、若造!」
舐められていることに頭にきたのか、今までの甲高いオジャオジャした喋りではなく腹の底からでた図太い声で矢島は怒鳴る。
かなりの童顔だから、そう言われたのだろうけど…歳は君と変わらないんだけどなぁ。
そう考えながら、優は矢島との距離を詰めるべく走る。
【渾沌】
矢島は、鞘と刀を擦り火花を起こすとその場で回転する。
回転する矢島の刀の刀先を追うように細い火が矢島を囲むように塒を巻く。
矢島を守る火は、実態を持ち優の投げた八尺瓊を弾き優の追撃も防いだ。
そして、直ぐに矢島は自分を中心に塒を巻く火をからめとるるように右下から優を目掛けて振り上げる。
【火移り(ひうつり)】
蓮の時とは違うタイプのカウンター技で、刀の刀身が少し隠れるほどの大きな火を纏わせて斬りかかった。
が、優はそれを右手の八咫で軌道をずらすように受け止めてそのまま上に流すように振り上げ、ガラ空きになった矢島の動体を左手の草薙で斬る。
矢島の悲痛な叫びが処刑場に響いた。
鞘の中が一瞬だけ強く光る。
【送り火】
放たれた細い火は正確に、優の方にむかったが…右手の剣で軽くあしらわれる。
矢島も、牽制程度でしか考えていなかったようで直ぐに走って優との距離を詰めた。
そして、鞘と刀を擦り火花を起こすとそのまま縦に回転するように刀を振る。
【車火】
右手の剣を盾に変形させてそれを受け止めると、そのまま力任せに押し返した。
真剣な顔の矢島を他所に、優は大層つまらなさそうな表情を見せる。
「うーん、環境のおかげで蓮と戦いに持って行けたのか。
がっかりだよ、こんなんじゃ籐麻の勉強にさえならない。」
優は右手の剣を元に戻して地面に刺す。
そして、代わりに銃に変形する剣を握り直した。
優は矢島目掛けて適当に弾を撃ったが、矢島は避けるなり打ち返すなりして身を守った。
…彼は防御主体か。
優は、右手の剣を元に戻すと掲げるように矢島に見せる。
「僕の手の内を教えよう。
銃に変形する剣、“八尺瓊(やさかに)”。
盾に変形する剣、“八咫(やた)”
攻撃力を誇る剣、“草薙(くさなぎ)”
僕は、この三本を使い戦う。
…こんな風に…!」
優は、剣の状態の八尺瓊を矢島に向かって投げる。
突き立てられるように飛ぶ八尺瓊は、正確に矢島の心臓のある所を狙う。
「あまり舐めるなよ、若造!」
舐められていることに頭にきたのか、今までの甲高いオジャオジャした喋りではなく腹の底からでた図太い声で矢島は怒鳴る。
かなりの童顔だから、そう言われたのだろうけど…歳は君と変わらないんだけどなぁ。
そう考えながら、優は矢島との距離を詰めるべく走る。
【渾沌】
矢島は、鞘と刀を擦り火花を起こすとその場で回転する。
回転する矢島の刀の刀先を追うように細い火が矢島を囲むように塒を巻く。
矢島を守る火は、実態を持ち優の投げた八尺瓊を弾き優の追撃も防いだ。
そして、直ぐに矢島は自分を中心に塒を巻く火をからめとるるように右下から優を目掛けて振り上げる。
【火移り(ひうつり)】
蓮の時とは違うタイプのカウンター技で、刀の刀身が少し隠れるほどの大きな火を纏わせて斬りかかった。
が、優はそれを右手の八咫で軌道をずらすように受け止めてそのまま上に流すように振り上げ、ガラ空きになった矢島の動体を左手の草薙で斬る。
矢島の悲痛な叫びが処刑場に響いた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです
藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。
家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。
その“褒賞”として押しつけられたのは――
魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。
けれど私は、絶望しなかった。
むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。
そして、予想外の出来事が起きる。
――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。
「君をひとりで行かせるわけがない」
そう言って微笑む勇者レオン。
村を守るため剣を抜く騎士。
魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。
物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。
彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。
気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き――
いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。
もう、誰にも振り回されない。
ここが私の新しい居場所。
そして、隣には――かつての仲間たちがいる。
捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。
これは、そんな私の第二の人生の物語。
それは思い出せない思い出
あんど もあ
ファンタジー
俺には、食べた事の無いケーキの記憶がある。
丸くて白くて赤いのが載ってて、切ると三角になる、甘いケーキ。自分であのケーキを作れるようになろうとケーキ屋で働くことにした俺は、無意識に周りの人を幸せにしていく。
ゴミ鑑定だと追放された元研究者、神眼と植物知識で異世界最高の商会を立ち上げます
黒崎隼人
ファンタジー
元植物学の研究者、相川慧(あいかわ けい)が転生して得たのは【素材鑑定】スキル。――しかし、その効果は素材の名前しか分からず「ゴミ鑑定」と蔑まれる日々。所属ギルド「紅蓮の牙」では、ギルドマスターの息子・ダリオに無能と罵られ、ついには濡れ衣を着せられて追放されてしまう。
だが、それは全ての始まりだった! 誰にも理解されなかったゴミスキルは、慧の知識と経験によって【神眼鑑定】へと進化! それは、素材に隠された真の効果や、奇跡の組み合わせ(レシピ)すら見抜く超チートスキルだったのだ!
捨てられていたガラクタ素材から伝説級ポーションを錬金し、瞬く間に大金持ちに! 慕ってくれる仲間と大商会を立ち上げ、追放された男が、今、圧倒的な知識と生産力で成り上がる! 一方、慧を追い出した元ギルドは、偽物の薬草のせいで自滅の道をたどり……?
無能と蔑まれた生産職の、痛快無比なざまぁ&成り上がりファンタジー、ここに開幕!
悪役令息の継母に転生したからには、息子を悪役になんてさせません!
水都(みなと)
ファンタジー
伯爵夫人であるロゼッタ・シルヴァリーは夫の死後、ここが前世で読んでいたラノベの世界だと気づく。
ロゼッタはラノベで悪役令息だったリゼルの継母だ。金と地位が目当てで結婚したロゼッタは、夫の連れ子であるリゼルに無関心だった。
しかし、前世ではリゼルは推しキャラ。リゼルが断罪されると思い出したロゼッタは、リゼルが悪役令息にならないよう母として奮闘していく。
★ファンタジー小説大賞エントリー中です。
※完結しました!
悪役令嬢として断罪された聖女様は復讐する
青の雀
恋愛
公爵令嬢のマリアベルーナは、厳しい母の躾により、完ぺきな淑女として生まれ育つ。
両親は政略結婚で、父は母以外の女性を囲っていた。
母の死後1年も経たないうちに、その愛人を公爵家に入れ、同い年のリリアーヌが異母妹となった。
リリアーヌは、自分こそが公爵家の一人娘だと言わんばかりにわが物顔で振る舞いマリアベルーナに迷惑をかける。
マリアベルーナには、5歳の頃より婚約者がいて、第1王子のレオンハルト殿下も、次第にリリアーヌに魅了されてしまい、ついには婚約破棄されてしまう。
すべてを失ったマリアベルーナは悲しみのあまり、修道院へ自ら行く。
修道院で聖女様に覚醒して……
大慌てになるレオンハルトと公爵家の人々は、なんとかマリアベルーナに戻ってきてもらおうとあの手この手を画策するが
マリアベルーナを巡って、各国で戦争が起こるかもしれない
完ぺきな淑女の上に、完ぺきなボディライン、完ぺきなお妃教育を持った聖女様は、自由に羽ばたいていく
今回も短編です
誰と結ばれるかは、ご想像にお任せします♡
魅了魔法に対抗する方法
碧井 汐桜香
恋愛
ある王国の第一王子は、素晴らしい婚約者に恵まれている。彼女は魔法のマッドサイエンティスト……いや、天才だ。
最近流行りの魅了魔法。隣国でも騒ぎになり、心配した婚約者が第一王子に防御魔法をかけたネックレスをプレゼントした。
次々と現れる魅了魔法の使い手。
天才が防御魔法をかけたネックレスは強大な力で……。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる