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外伝 東野
外伝 東野2
しおりを挟む今日の訓練を終えた東は四大を使うコツを得られずガッカリした様子だったが、岬はそんなことを気にしてる様子もなく豪快に笑って東の頭を撫でた。
岬は東の頭を撫でるのに満足すると、東の両脇を抱えて高く持ち上げる。
「いきなり出来たら余の立つ瀬がない。
少しずつ上達する姿を父や母にみせておくれ。」
そしてそのまま、岬は東を肩車して歩き始める。
少し恥ずかしかったが、多忙な父に甘えられる貴重な時間だったために東は大人しくしていた。
たしか…大介と出会ったのもこの時期だ。
当時、穀つぶしと集落を追い出され転々としていた戦士であてもなく歩いていたら東野に辿りついたようだった。
しかも辿り着くタイミングも悪く作物を荒らされた時期にだったため、たまたま居合わせた現在の門番2人と一緒に捕縛されたのだ。
最初は抵抗はしたようだが、領主がきてしまった事から諦めて大人しくしていた。
騒がなければ、牢で少し過ごす程度。
屋根があるだけ野宿よりマシだと割り切っていた時に東が違うと言ったのだ。
「彼らはやってない。
丸腰の彼らに、畑にある爪後のような痕跡は残せないだろう。
よそ者とか風貌だけで判断はしてはいけない。
そこの三人には疑いが晴れるまでは、申し訳ないが客室で大人しくしてもらおう。」
岬が話を聞いて考えている間に東は兵たちにそう指示をだしたそうだ。
畑を荒らした犯人は思いの外早く見つかり大介達の疑いが晴れた。
たしか…熊だったかな、大介達を軟禁して二日後に討伐し事件の幕は下りた。
東の公平で正確な判断に惚れこんだ3人は、岬に東の護衛として志願した。
冤罪をかけてしまった手前断り難かったな岬は見習いとして鍛錬をつんでからと、条件をつけて了承する。
冤罪をかけてしまったとはいえ、どこの馬の骨ともわからない者の話をよく聞いてくれたものだ。
東や護もそうだが、岬も他の領主たちと比べてもかなり甘い人間だったのだろう。
護衛に選ばれたのは、大介だけだったが…それでも岬は残り2人を追い出さず門番の役を与えた。
結果としては、岬の都合がいい方に状況は進んだようで直属の部下を与えることで人の上に立つことを学ぶことがさせられる。
これには、妻の清澄も同じ意見だったようだ。
東も順調に訓練をこなし、大介も守護者としての資質が見えてきたそんな順調だったときだった清澄が病気で急死したのは。
頑丈なのが取り柄ともいわんばかりの人だったが、心臓はそこまで強くなかったみたいで心臓発作をおこし眠るように息を引き取った。
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