54 / 151
外伝 東野
外伝 東野11
しおりを挟む「赤子の頃から知っている仲…、殺してしまうには少し惜しい。
貴方が私の指示通りに動いてくれるのなら…その三人も含めて生かして差し上げましょう。
幼きその身に、政治など荷が重たいだろうから悪い話ではない。
私の元で政治とは何かを知り、それから始めるのも良いとはおもいますがなぁ。」
「断る。
余は、いつ受け継いでもいいように教育されてきた。
そのような心配は無用。」
やはり、東の口からそう合わせた方が得策だと考えたのだろう。
しかし、東が首を縦に振る事はなかった。
キッパリとそう言い張った東を忌々しそうに見ると、小次郎は腰にある瓶の水で刀の刀身を濡らす。
「まったく、人生とは上手くいかないものだ。
出て行った奴らも私の下につけばいいものの。
東様には嬲り殺しにあって頂きます。
気が変わったら、是非お知らせください。」
【水魚之交(すいぎょのまじわり)】
小次郎が刀を振ると、刀身に付着した水が2つの大きな球となり小次郎の周りを浮遊する。
そして、小次郎はそのまま東に向かって刀を縦に振り下ろした。
東が振り下ろされた刀を難なく受け止めると、小次郎の浮遊する2つの水の球が東に向かっていく。
東は驚いた表情をしたが、すぐに小次郎の刀をいなし、後ろに飛んで水の球の一つを弾くが残りの一つは肩に思い切りぶつかった。
棍棒のようなもので思い切り殴られたような痛みと衝撃に声を上げそうになったが、歯を食いしばり堪える。
「おや、もう終わりですか?
私としては、早く根を上げてくれたほうが助かりますが。
早く言えば、そこの者たちも無駄死にしなくてすみますよ?」
小次郎は、完全に東を馬鹿にしている様子だ。
圧倒的に経験の差で不利。
そして、早く白旗をあけまれば東にも利はあると言葉をチラつかせるが東が首を縦に振る事はなかった。
小次郎は軽くため息をつく。
「強情なお方だ…。
では、続けましょうか?」
そう言うと、小次郎のは再び攻撃を再開した。
自分の拳や蹴り、水の球を中心に時々刀の攻撃。
まるで東をサウンドバックにしているような動きだった。
最初の苛立ちはなくなり、寧ろ小次郎は開き直っており清々しい表情までしている。
ここまでやったのなら、あとは一緒だと。
身体中ボロボロになり、顔が腫れ上がっても東は根をあげなかった。
「どうして領主の座に執着する?」
東は、少し息を切らし始めた小次郎にそう声をかけた。
小次郎は、自分の体力回復の時間稼ぎも含めて話に乗る。
「武士の高みを目指すため。
かつて下民だった、私が武士としてどこまで行けるかやれる所までやりたい。
四大の力、領主の力。
その力を強め何は…この地を一つに纏めて我が天下にしたいのです。」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!
音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ
生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界
ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生
一緒に死んだマヤは王女アイルに転生
「また一緒だねミキちゃん♡」
ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差
アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。
王妃様は死にました~今さら後悔しても遅いです~
由良
恋愛
クリスティーナは四歳の頃、王子だったラファエルと婚約を結んだ。
両親が事故に遭い亡くなったあとも、国王が大病を患い隠居したときも、ラファエルはクリスティーナだけが自分の妻になるのだと言って、彼女を守ってきた。
そんなラファエルをクリスティーナは愛し、生涯を共にすると誓った。
王妃となったあとも、ただラファエルのためだけに生きていた。
――彼が愛する女性を連れてくるまでは。
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる