コバナシ

鷹美

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外伝 東野

外伝 東野11

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「赤子の頃から知っている仲…、殺してしまうには少し惜しい。

貴方が私の指示通りに動いてくれるのなら…その三人も含めて生かして差し上げましょう。
幼きその身に、政治など荷が重たいだろうから悪い話ではない。
私の元で政治とは何かを知り、それから始めるのも良いとはおもいますがなぁ。」


「断る。
余は、いつ受け継いでもいいように教育されてきた。
そのような心配は無用。」


やはり、東の口からそう合わせた方が得策だと考えたのだろう。
しかし、東が首を縦に振る事はなかった。

キッパリとそう言い張った東を忌々しそうに見ると、小次郎は腰にある瓶の水で刀の刀身を濡らす。



「まったく、人生とは上手くいかないものだ。
出て行った奴らも私の下につけばいいものの。

東様には嬲り殺しにあって頂きます。
気が変わったら、是非お知らせください。」


【水魚之交(すいぎょのまじわり)】


小次郎が刀を振ると、刀身に付着した水が2つの大きな球となり小次郎の周りを浮遊する。
そして、小次郎はそのまま東に向かって刀を縦に振り下ろした。


東が振り下ろされた刀を難なく受け止めると、小次郎の浮遊する2つの水の球が東に向かっていく。

東は驚いた表情をしたが、すぐに小次郎の刀をいなし、後ろに飛んで水の球の一つを弾くが残りの一つは肩に思い切りぶつかった。


棍棒のようなもので思い切り殴られたような痛みと衝撃に声を上げそうになったが、歯を食いしばり堪える。



「おや、もう終わりですか?
私としては、早く根を上げてくれたほうが助かりますが。
早く言えば、そこの者たちも無駄死にしなくてすみますよ?」


小次郎は、完全に東を馬鹿にしている様子だ。

圧倒的に経験の差で不利。
そして、早く白旗をあけまれば東にも利はあると言葉をチラつかせるが東が首を縦に振る事はなかった。

小次郎は軽くため息をつく。


「強情なお方だ…。
では、続けましょうか?」


そう言うと、小次郎のは再び攻撃を再開した。

自分の拳や蹴り、水の球を中心に時々刀の攻撃。
まるで東をサウンドバックにしているような動きだった。

最初の苛立ちはなくなり、寧ろ小次郎は開き直っており清々しい表情までしている。
ここまでやったのなら、あとは一緒だと。


身体中ボロボロになり、顔が腫れ上がっても東は根をあげなかった。


「どうして領主の座に執着する?」


東は、少し息を切らし始めた小次郎にそう声をかけた。
小次郎は、自分の体力回復の時間稼ぎも含めて話に乗る。


「武士の高みを目指すため。
かつて下民だった、私が武士としてどこまで行けるかやれる所までやりたい。

四大の力、領主の力。
その力を強め何は…この地を一つに纏めて我が天下にしたいのです。」


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