コバナシ

鷹美

文字の大きさ
106 / 151
第3話

第3話 23

しおりを挟む

皆がいなくなり、部屋には優とコルノの二人だけになった。
コルノは氷のはいった2つのグラスに酒を注ぎこみ優に1つ渡すと、椅子に腰かける。


「どれ、2人きりになったね。」


グラスを回しカランと中で氷を鳴らしたコルノは、色っぽく微笑む。
綺麗な夜景を背景に椅子に片足を乗せて優を見るコルノはとても絵になる。


優はそんなコルノをみて、呆れたように息を吐きだす。


「大人をからかうものじゃない。」

「おや、私はもう子供ではないのだか?」



クスッと笑うコルノと呆れ顔のままの優はグラスをぶつけて乾杯を始める。

名前は知らないが、ジュースとリキュールを合わせたカクテルというものか。
始めて飲むが悪くないな。

優の飲む反応が悪くない事を確認すると、安心したように表情を緩ますとコルノもグラスの中の酒に口をつける。


「優殿の口に合ってよかった。
私の故郷の味なんだ。」

「うん、おいしいよ。

…それで、僕は君に何を話せばいいのかな?」


せっかちな人だ。
結論を急ぐ優にやれやれとぼやいたコルノは、余裕そうな表情を止めて真剣な表情に変わり優を見つめる。


「ささいな事でいい、ヨウの情報が欲しい。
当主とはぐれた後にヨウらしき人物を東野から少し離れた所で見た情報があった。

そして、和国の重鎮達が東野を訪問したのを。」

「それに関しては、僕らの方でも情報があまりないんだ。

スー様からきいた特徴の人間とは会ったけど彼は、ヨウではなくプロトと名乗っていた。

四大とは違った力…なにやら雷のような力を扱っていたな。」


信頼に当たる組織だと判断した優は、楓に口止めしていた情報をコルノに話した。

優と会ったプロトは、スー達の仲間であるヨウであっているようでコルノが答えを言わなくても彼女の表情が全てを物語っている。

あのバカ…。
呆れたような声を漏らした後にグラスの酒を口に運ぶ。



「今度は僕の番だ。

スー様と君達はなんで逸れたんだい?
スー様は目が使えないとはいっても、索敵に関しては一流だし…君たちも主人を見失う程の無能でも裏切りそうな薄情者でもないじゃないか。」



優の問いにコルノは、静かになった。
情報を隠すとかではなく、どういえばいいのかわからない様子だ。

そして恐る恐る慎重に言葉を選ぶように短く言葉にした。


「消えたんだ…突然、私達の目の前で。」


目を離したわけでもなく、賊の襲撃にあっていたわけでもない。

賊の襲撃だけだったらどれだけよかったことか…。
コルノは大きくため息をつく。

「原因が分からないのが一番恐ろしい。」

コルノは左手で顔を覆ってそういう。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...