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第3話
第3話 28
しおりを挟む「なるほどな…それなら、籐麻を貰ってもいいかの?
足が速いやつが欲しい。」
「いいよ。
こっちは、調査が終わり次第戻るから君らは君らで戻ってきてくれ。
護には僕から言っておく。」
優はそういうと、楓と空を連れて宿から離れていった。
優を見送った蓮は地図を広げる。
籐麻も地図を覗き込んでみてみると、どうやら花街はここから東の方にあるみたいだ。
「…よし、出発するぞ籐麻!」
蓮が懐に地図を戻してグングンと歩き出す。
今の方角がわからないのに、そんなにグングンと行っていたのだろうか?
籐麻は直ぐに蓮についていかず、少し様子を見てみた。
「…あんた…進む方角が逆だぜ。」
トーロは我慢できなかったようで思わずそう言った。
蓮は直ぐにピタッと足を止める。
そんな風に面倒を見てしまうのがお母さんと言われてしまう所以なのでは?
そんな風にトーロに視線を送る籐麻だったが、そんなのを気にせずにトーロは方位磁石を籐麻に渡した。
「坊主に渡したほうが良さそうだ。
それをやる代わりに、花街まで俺も同行していいか?
仲間は多い方が助かる。」
「ワシも道が分かる者と一緒だと助かる。
是非、同行してくれ。」
トーロは蓮と籐麻と握手を交わすと人当たりの良さそうな笑みを浮かべる。
道のりは長い、携帯食料を手に入れてから港町から出発しよう。
トーロの提案に、二人は頷くと優達とは大分遅れて宿から離れる。
花街はどんなところなのだろか。
籐麻は期待を膨らませて2人についていった。
………少し離れた高台。
黒焦げになった人と破壊されたガトリング砲があり、それの中心に1人の男が座っていた。
地面に刺した七支刀に寄りかかるようにして寝ている。
グーグーと少しだけ響く寝息を立てていたがピタリと止まった。
「…なんだ、テメェか。」
「あら、テメェなんて女性に対して失礼じゃない?
お姉さんショックよ、プロト君?」
〝プロト〟と呼ばれた男は大きく息を吸って体を伸ばした後に声をかけた女性の方を振り向く。
そこには、肩にかけた黒い大きい三つ編みの女…〝ピオ〟がいた。
「んで、アイツに振られた仕事は終わったのか?」
「そうね。
怪しまれても困るし、結構時間が過ぎてから騒がれると思うわ奇病として。
…それにしても、プロト君も罪な男ね。
あんな可愛い知り合いがいるなんて。」
ピオがそう話題を振るとプロトは面白くなさそうに小さく舌打ちを響かせる。
そんな様子をクスクスと笑った後に、黒焦げになった人とガトリング砲を優しくなぞった。
「プロト君もあの子と接している時は満更じゃないんでしょ?
なんせ、あの子がある先に攻撃を向けた狩り人を1人残らずお掃除したんですもの。」
「…あたりめぇだ、あの小娘の命は俺の物だ。
強者だろうが、雑魚だろうが、神だろうが…誰にも横取りはさせねぇよ。」
忌々しげに近くにあったガトリング砲を踏み砕いてそう言ったプロト。
情熱的なプロポーズだこと。
そんなピリピリしたプロトを鼻で笑うピオ。
「それで次の仕事はなんだ?
俺を合流させるんだ、ちっとは骨がある仕事なんだろーな?」
「それは…受けてみてのお、た、の、し、み。
ほら、行きましょ。」
2人は、ゆっくりとその場を離れた。
ギャンギャン騒ぐプロトとクスクス笑うピオ。
遊び相手に困らないのは嬉しいわぁ。
そんな事を考え、鼻歌混じりでピオは次の目的地に向かっていった。
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