コバナシ

鷹美

文字の大きさ
112 / 151
第4話 

第4話 1

しおりを挟む

トーロの方位磁石、蓮の地図を頼りに花街に進む籐麻達。

港町から距離的にはそんなに離れているわけでもなく、徒歩で4時間くらいの道のりのようだ。



蓮、籐麻は肉体特性のおかげで疲労が溜まり為にトーロは驚いていた。


「大丈夫かトーロ?」

「ぁあ、大丈夫だが…籐麻は凄いな。
あれから、結構歩いたが…疲れをみせていない。」



まるで親戚のおじさんみたいな事を言うトーロ。
赤髪で筋肉隆々なら、近寄り難い感じなはずなのだが…今となっては何も感じない。

守護者のような立ち位置の人間がそれでいいのだろうか。

籐麻は、うーんと考えながら瓢箪の水を口にする。



「しかし、晴れで助かったわい。
商魂の強い花街だ、雨が降った日には足元を見られる。

ぼったくられるぞ。」


蓮は、パタパタと手で仰ぎながら言った。
その口ぶりだと、何度か来たことがあるのだろう。



トーロの休憩が終わり先に進むと、稲荷鳥居に似た建造物が籐麻達を出迎えてくれた。

鳥居のようなもの一つ一つにカラフルな薔薇が、道の両サイドには柵と花が配色よく植えられている。
思わず籐麻も感動の声がでた。



「ぼったくられる事もあるが、悔しいことにやる事は一流。

己の流儀を通す人々が暮らす街…それがここじゃ。」



鳥居を抜けた先には、豪華絢爛な建物が多く並んでおり温泉施設もあるのか一部の建物から湯気が出ている。

日光を多く当てる為に斜面に植えられた花々が特に印象的だ。

和国の道は規則正しく作られたレンガの道だが、花街の道は大きい岩が一定間隔で埋められていて歩き難いだろうがとても粋な作りになっている。


大人の綺麗な面を具現化させたような街に籐麻の目の輝きは止まらない。


「ここが花街か、俺も初めてきたが…こんな所だとは。

安全なようだったら、花が好きな嬢ちゃんも連れてこよう。」


「…ここは、あまり来るのは奨められん。」


感動する2人を他所に何処か気だるそうにいう蓮。

蓮がチラッと視線を送った先には目立たない小さな路地の中で小さな子供の口を押さえて袋に詰める狩り人の姿があった。
明らかな誘拐だ。

トーロが走っていこうとしたが、蓮に肩を掴まれて止められる。


「…狩り人の本拠地がここなんじゃよ。
尻尾は出さぬが、おそらく花街の有権者の誰か…。

護様も色々と対策を講じているが…結果はこの有様。
街中で下手に叩けば、濡れ衣を着せられて簡単に処刑される。

仮に投獄されなかったとしても、目をつけられた者が逃げれるわけも無く再び捕まってしまう。」



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

親友面した女の巻き添えで死に、転生先は親友?が希望した乙女ゲーム世界!?転生してまでヒロイン(お前)の親友なんかやってられるかっ!!

音無砂月
ファンタジー
親友面してくる金持ちの令嬢マヤに巻き込まれて死んだミキ 生まれ変わった世界はマヤがはまっていた乙女ゲーム『王女アイルはヤンデレ男に溺愛される』の世界 ミキはそこで親友である王女の親友ポジション、レイファ・ミラノ公爵令嬢に転生 一緒に死んだマヤは王女アイルに転生 「また一緒だねミキちゃん♡」 ふざけるなーと絶叫したいミキだけど立ちはだかる身分の差 アイルに転生したマヤに振り回せながら自分の幸せを掴む為にレイファ。極力、乙女ゲームに関わりたくないが、なぜか攻略対象者たちはヒロインであるアイルではなくレイファに好意を寄せてくる。

【完結】遺棄令嬢いけしゃあしゃあと幸せになる☆婚約破棄されたけど私は悪くないので侯爵さまに嫁ぎます!

天田れおぽん
ファンタジー
婚約破棄されましたが私は悪くないので反省しません。いけしゃあしゃあと侯爵家に嫁いで幸せになっちゃいます。  魔法省に勤めるトレーシー・ダウジャン伯爵令嬢は、婿養子の父と義母、義妹と暮らしていたが婚約者を義妹に取られた上に家から追い出されてしまう。  でも優秀な彼女は王城に住み、個性的な人たちに囲まれて楽しく仕事に取り組む。  一方、ダウジャン伯爵家にはトレーシーの親戚が乗り込み、父たち家族は追い出されてしまう。  トレーシーは先輩であるアルバス・メイデン侯爵令息と王族から依頼された仕事をしながら仲を深める。  互いの気持ちに気付いた二人は、幸せを手に入れていく。 。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.。oOo。.:♥:.  他サイトにも連載中 2023/09/06 少し修正したバージョンと入れ替えながら更新を再開します。  よろしくお願いいたします。m(_ _)m

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

処理中です...