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第4話
第4話 1
しおりを挟むトーロの方位磁石、蓮の地図を頼りに花街に進む籐麻達。
港町から距離的にはそんなに離れているわけでもなく、徒歩で4時間くらいの道のりのようだ。
蓮、籐麻は肉体特性のおかげで疲労が溜まり為にトーロは驚いていた。
「大丈夫かトーロ?」
「ぁあ、大丈夫だが…籐麻は凄いな。
あれから、結構歩いたが…疲れをみせていない。」
まるで親戚のおじさんみたいな事を言うトーロ。
赤髪で筋肉隆々なら、近寄り難い感じなはずなのだが…今となっては何も感じない。
守護者のような立ち位置の人間がそれでいいのだろうか。
籐麻は、うーんと考えながら瓢箪の水を口にする。
「しかし、晴れで助かったわい。
商魂の強い花街だ、雨が降った日には足元を見られる。
ぼったくられるぞ。」
蓮は、パタパタと手で仰ぎながら言った。
その口ぶりだと、何度か来たことがあるのだろう。
トーロの休憩が終わり先に進むと、稲荷鳥居に似た建造物が籐麻達を出迎えてくれた。
鳥居のようなもの一つ一つにカラフルな薔薇が、道の両サイドには柵と花が配色よく植えられている。
思わず籐麻も感動の声がでた。
「ぼったくられる事もあるが、悔しいことにやる事は一流。
己の流儀を通す人々が暮らす街…それがここじゃ。」
鳥居を抜けた先には、豪華絢爛な建物が多く並んでおり温泉施設もあるのか一部の建物から湯気が出ている。
日光を多く当てる為に斜面に植えられた花々が特に印象的だ。
和国の道は規則正しく作られたレンガの道だが、花街の道は大きい岩が一定間隔で埋められていて歩き難いだろうがとても粋な作りになっている。
大人の綺麗な面を具現化させたような街に籐麻の目の輝きは止まらない。
「ここが花街か、俺も初めてきたが…こんな所だとは。
安全なようだったら、花が好きな嬢ちゃんも連れてこよう。」
「…ここは、あまり来るのは奨められん。」
感動する2人を他所に何処か気だるそうにいう蓮。
蓮がチラッと視線を送った先には目立たない小さな路地の中で小さな子供の口を押さえて袋に詰める狩り人の姿があった。
明らかな誘拐だ。
トーロが走っていこうとしたが、蓮に肩を掴まれて止められる。
「…狩り人の本拠地がここなんじゃよ。
尻尾は出さぬが、おそらく花街の有権者の誰か…。
護様も色々と対策を講じているが…結果はこの有様。
街中で下手に叩けば、濡れ衣を着せられて簡単に処刑される。
仮に投獄されなかったとしても、目をつけられた者が逃げれるわけも無く再び捕まってしまう。」
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