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第4話
第4話 4
しおりを挟む支度を終えた蓮は、蓮の花模様がついた和装をピシッと身につけ、ボサボサの髪をポニーテールのように一つに纏め、無精髭を剃った。
パッとみて家柄の良さそうな男に見える。
普段の姿がだらしないだけに、ピシッと清潔な格好をしているだけで最早変装だ。
「ここまでくると変装みたいだな蓮殿。」
「やかましいわい。
…っと、口調も変えなければな…。
全く、格式とか見栄とか気にする連中はめんどくさい。」
はぁとため息をついた蓮。
医者の部屋を出ようとした蓮だが、ピタッと止まって籐麻を見る。
先ほどの蓮より悪い格好はしてないが…この2人と一緒だと悪目立ちしそうだ。
「…オヤジ、なんか…子供用の正装があれば良い値で買ってやるが何かないか?」
「ウチは、子供屋じゃねーんだぞ。」
蓮の一言に憎まれ口を叩いた医者だったが、棚をゴソゴソと漁り出した。
え…あるの?
籐麻は驚きを隠せない様子で棚を漁る医者の背中を眺めた。
そして動きを止めた医者はクルリと顔だけを籐麻に向ける。
突然の動きにビクッと肩を揺らした藤麻だったが、医者が気にしている様子はない・
「…そういや、坊主…名前はなんだ?」
「籐麻…です。」
一応、蓮の知り合いだ。
とってつけたような感じになってしまったが、すぐに丁寧な言い方に直す。
そんな籐麻を見た医者は一瞬だけ優しく笑ったがすぐに先ほどのめんどくさそうな顔つきに戻る。
「へっ…ガキが一丁前な言葉使いやがって。
籐麻…ねぇ…、なんかの因果なのか。」
医者は棚から取り出した布から一着の服を取り出した。
子供用ではなさそうだが、多少裾上げしてあげれば問題なく着れるだろう。
その和服の襟の方には小さな藤の花が刺繍されていた。
医者は籐麻にそれを着させるとなれた手つきで裾上げを始める。
「これは金はいらねぇ、餞別でやる。
だから、納得いく情報が得られなくても文句を言ういんじゃねーぞ。」
「オヤジじゃあるまいし、ワシはそこまでケチではない。」
簡単な裾上げだったが、花街を過ごす短い時間なら問題ないだろう。
医者は満足そうに藤麻の姿を見た後に背中をポンと叩く。
「せっかく決めたんだ、花街で同じ年頃の女の1人や2人おとしてこい。」
「それは同感だ。
せっかくだ、一回くらい女を口説いてみろ。」
トーロや医者がにニヤニヤと藤麻を見ていたがパンパンと蓮が手の叩く音を響かせる。
全員が蓮を見るとやれやれとため息をつく。
「それは、周りが茶化すことではなかろう。
遊びにきているわけじゃない、そろそろ次にいくぞ。」
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