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第4話
第4話 5
しおりを挟む診療所から出た蓮は、紙を見た後にトーロにも渡す。
「ワシには地図は読めん。
お前さんに頼むわ。
ついでに籐麻にも見せてやってくれ。」
トーロは右手で紙を蓮から受け取り、左手で籐麻を抱える。
赤子じゃないんだ、わざわざ抱えなくてもいいだろうに。
そんな風に呆れながらも紙の内容を見た。
紙は3枚。
1枚目は地図。
2枚目は、高級と嫌味をいった診療所に話をつけるための手紙。
3枚目が一番重要なようだ。
読みにくいような殴り書きの文字でこう書かれていた。
奇病は病にならず毒殺の可能性有。
蠍の毒を調べろ。
籐麻は、驚いて目を見開いてしまったがトーロは大きく笑った。
そしてゆっくりと藤麻を下におろす。
「流石の籐麻もビックリしたか、こんなに字が汚いと困るよな。
蓮殿もやられたんじゃないか?」
「やかましいわい。
籐麻の服代だと思って今回は勘弁してやる。
汚い文字でも地図としては何とか機能している、とりあえずいくぞ。」
蓮の後ろに続くように路地からでる2人。
表通りをでると、トーロが地図を片手に先頭に立った。
ここからが本場だ。
トーロは蓮のように野外なら力技で戦線を離脱することができない。
慎重に退路を選び頭に入れていく。
「またせたな、行こう。」
トーロがそういうと再び行動が始まる。
先程の道順とは真逆で、華やかで明るい道を進む。
大きい石を疎らに埋め込んで作った趣のある道、煉瓦が綺麗に埋め尽くされた歩きやす道、おいしそうな匂いを漂わせている飲食店。
他にも玩具屋なども並んでいる。
しかし包丁や布団、八百屋などの日常のものが売っている店は見当たらない。
なんでなんだろう…。
そう藤麻が首を傾げている間に目的地の診療所に到着していた。
トーロが医者からもらった地図を何度も確認した後に地図を懐に入れる。
「地図通りだとここだろう。」
目の間にある診療所は最初の場所と比べられないほど綺麗な建物だった。
高級そうな和紙で作られた提灯で薄暗さなどなく頼りがいがありそうな雰囲気さえある。
蓮はまたもや臆することもなく堂々と診療所の扉を開いた。
いらっしゃいませ。
聞きやすい声で看護師である女性が優しく響いた。
「〝土井(どい)〟先生の紹介で伺いました。
お手数をおかけしますが…こちらの先生はお手すきでしょうか?」
蓮の紳士的な対応に今の姿も相まって猛烈な違和感に藤麻の表情が思わず固まる。
もしここにいるのが椿なら幽霊でもみるような表情になっただろう。
土井と言う名前をきいて一瞬だけ眉をピクリと動かしたが…蓮から紹介状を受け取ると看護師の女性はすぐにこの診療所の先生の所まで案内した。
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