コバナシ

鷹美

文字の大きさ
116 / 151
第4話 

第4話 5

しおりを挟む


診療所から出た蓮は、紙を見た後にトーロにも渡す。


「ワシには地図は読めん。
お前さんに頼むわ。

ついでに籐麻にも見せてやってくれ。」



トーロは右手で紙を蓮から受け取り、左手で籐麻を抱える。

赤子じゃないんだ、わざわざ抱えなくてもいいだろうに。
そんな風に呆れながらも紙の内容を見た。



紙は3枚。
1枚目は地図。

2枚目は、高級と嫌味をいった診療所に話をつけるための手紙。


3枚目が一番重要なようだ。
読みにくいような殴り書きの文字でこう書かれていた。


奇病は病にならず毒殺の可能性有。
蠍の毒を調べろ。


籐麻は、驚いて目を見開いてしまったがトーロは大きく笑った。
そしてゆっくりと藤麻を下におろす。


「流石の籐麻もビックリしたか、こんなに字が汚いと困るよな。
蓮殿もやられたんじゃないか?」

「やかましいわい。
籐麻の服代だと思って今回は勘弁してやる。

汚い文字でも地図としては何とか機能している、とりあえずいくぞ。」


蓮の後ろに続くように路地からでる2人。
表通りをでると、トーロが地図を片手に先頭に立った。

ここからが本場だ。

トーロは蓮のように野外なら力技で戦線を離脱することができない。
慎重に退路を選び頭に入れていく。


「またせたな、行こう。」


トーロがそういうと再び行動が始まる。
先程の道順とは真逆で、華やかで明るい道を進む。

大きい石を疎らに埋め込んで作った趣のある道、煉瓦が綺麗に埋め尽くされた歩きやす道、おいしそうな匂いを漂わせている飲食店。
他にも玩具屋なども並んでいる。


しかし包丁や布団、八百屋などの日常のものが売っている店は見当たらない。

なんでなんだろう…。
そう藤麻が首を傾げている間に目的地の診療所に到着していた。


トーロが医者からもらった地図を何度も確認した後に地図を懐に入れる。


「地図通りだとここだろう。」


目の間にある診療所は最初の場所と比べられないほど綺麗な建物だった。
高級そうな和紙で作られた提灯で薄暗さなどなく頼りがいがありそうな雰囲気さえある。

蓮はまたもや臆することもなく堂々と診療所の扉を開いた。

いらっしゃいませ。
聞きやすい声で看護師である女性が優しく響いた。



「〝土井(どい)〟先生の紹介で伺いました。

お手数をおかけしますが…こちらの先生はお手すきでしょうか?」


蓮の紳士的な対応に今の姿も相まって猛烈な違和感に藤麻の表情が思わず固まる。
もしここにいるのが椿なら幽霊でもみるような表情になっただろう。

土井と言う名前をきいて一瞬だけ眉をピクリと動かしたが…蓮から紹介状を受け取ると看護師の女性はすぐにこの診療所の先生の所まで案内した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた

しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。 すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。 早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。 この案に王太子の返事は?   王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。

犬の散歩中に異世界召喚されました

おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。 何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。 カミサマの許可はもらいました。

3歳で捨てられた件

玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。 それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。 キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。

【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜

るあか
ファンタジー
 僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。  でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。  どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。  そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。  家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。

毒舌アイドルは毒の魔物に転生する。

馳 影輝
ファンタジー
毒舌を売りにして芸能界で活躍できる様になった。 元々はアイドルとしてデビューしたが、ヒラヒラの衣装や可愛い仕草も得意じゃ無かった。 バラエティーの仕事を貰って、毒舌でキャラを作ったらこれがハマり役で世間からのウケも良くとんとん拍子で有名人になれた。 だが、自宅に帰ると玄関に見知らぬ男性が立っていて私に近づくと静かにナイフで私を刺した。 アイドル時代のファンかも知れない。 突然の事で、怖くて動けない私は何度も刺されて意識を失った。 主人公の時田香澄は殺されてしまう。 気がつくとダンジョンの最下層にポイズンキラーとい魔物に転生する。 自分の現象を知りショックを受けるが、その部屋の主であるリトラの助言により地上を目指す。 ダンジョンの中で進化を繰り返して強くなり、人間の冒険者達が襲われている所に出くわす。 魔物でありながら、擬態を使って人間としても生きる姿や魔王種への進化を試みたり、数え切れないほどの激動の魔物人生が始まる。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

さようならの定型文~身勝手なあなたへ

宵森みなと
恋愛
「好きな女がいる。君とは“白い結婚”を——」 ――それは、夢にまで見た結婚式の初夜。 額に誓いのキスを受けた“その夜”、彼はそう言った。 涙すら出なかった。 なぜなら私は、その直前に“前世の記憶”を思い出したから。 ……よりによって、元・男の人生を。 夫には白い結婚宣言、恋も砕け、初夜で絶望と救済で、目覚めたのは皮肉にも、“現実”と“前世”の自分だった。 「さようなら」 だって、もう誰かに振り回されるなんて嫌。 慰謝料もらって悠々自適なシングルライフ。 別居、自立して、左団扇の人生送ってみせますわ。 だけど元・夫も、従兄も、世間も――私を放ってはくれないみたい? 「……何それ、私の人生、まだ波乱あるの?」 はい、あります。盛りだくさんで。 元・男、今・女。 “白い結婚からの離縁”から始まる、人生劇場ここに開幕。 -----『白い結婚の行方』シリーズ ----- 『白い結婚の行方』の物語が始まる、前のお話です。

処理中です...