117 / 151
第4話
第4話 6
しおりを挟む
優秀な看護師が一瞬だけとはいえ表情を歪ませたのだ、よほど嫌われているのかあのオヤジは。
そんな事を考えながら看護師の後をついていく。
受付から先生の控える診察室は遠くなく1分もかからず診察室の扉までついた。
看護師がノックをして先に一人で入って事情の説明を室内でやりとりして出てくる。
「先生もこのあとは診察のご予定がないようなので対応ができるそうです。
どうぞ室内へお進みください。」
ガラガラと扉を引いた看護師は蓮達が診察室に進むように誘導する。
蓮はありがとうと短く礼をした後に診察室に入った。
診察室は土井の所とは違いアルコールの匂いに包まれた清潔感のある部屋だった。
器具の一つ一つがピカピカに磨かれ、壁や床にも汚れやゴミが落ちてない。
「ようこそいらっしゃいました、私はこの診療所の医師をさせて頂いている〝蛇杖(へびづえ)〟と申します。
どうぞ、お見知り置きを。」
「私は蓮、和国の守護者をしています。
急な来訪に対応していただき感謝します。」
蛇杖と蓮は、深い握手を交わした。
蛇杖は、黒髪の短髪に白いシャツと綺麗な白衣を着た好青年だった。
細身ではあるが筋肉のついた体つきをしており、身長と低すぎず高すぎず。
これで医者ときたら大層モテるだろう。
蓮は笑顔の下でそんな事を考えていた。
しかし、そんな事を知らずにトーロは流石だと言わんばかりの視線をおくり、東野でもだらしない感じだった蓮がちゃんとやっていると籐麻は少し動揺している。
「土井先生のお話だと、奇病について調べているとか…。」
「ぇえ、和国でもついに被害者が出たので対策をと情報収集しております。」
蓮の話を聞いてウーンと唸った後にコツコツとカルテのある本棚を漁る。
奇病と該当した人たちのカルテを見始めた。
そしてサラサラと紙に何かを描き始める。
「個人情報になるので誰が…とまでは教えられませんが…。
私が見て感じた奇病についてと、それに使った薬と材料をお教えします。
この紙を薬屋に渡せば、同じものを渡してくれるでしょう。」
なんだか、おつかいのようになってきたな。
そう考えながら蓮は蛇杖から手紙を受け取る。
そして、懐から金貨を2枚取り出して蛇杖に差し出した。
しかし、蛇杖はそれを断る。
「どうして断るのです?
少ないとはいえ、情報をコチラに渡したのだ見返りがないと其方も面白くないでしょう。」
「そうですね、これは…借りにしましょう。
領主のコネや借りは、この街では箔になりますから。」
一瞬の大きな利益よりこの先も続く小さ目の利益。
長い目を見れば後者の方がいい。
医者とはいえ客商売。
強かだな。
蓮はそう思いながら蛇杖と再び握手して診療所を出る。
そんな事を考えながら看護師の後をついていく。
受付から先生の控える診察室は遠くなく1分もかからず診察室の扉までついた。
看護師がノックをして先に一人で入って事情の説明を室内でやりとりして出てくる。
「先生もこのあとは診察のご予定がないようなので対応ができるそうです。
どうぞ室内へお進みください。」
ガラガラと扉を引いた看護師は蓮達が診察室に進むように誘導する。
蓮はありがとうと短く礼をした後に診察室に入った。
診察室は土井の所とは違いアルコールの匂いに包まれた清潔感のある部屋だった。
器具の一つ一つがピカピカに磨かれ、壁や床にも汚れやゴミが落ちてない。
「ようこそいらっしゃいました、私はこの診療所の医師をさせて頂いている〝蛇杖(へびづえ)〟と申します。
どうぞ、お見知り置きを。」
「私は蓮、和国の守護者をしています。
急な来訪に対応していただき感謝します。」
蛇杖と蓮は、深い握手を交わした。
蛇杖は、黒髪の短髪に白いシャツと綺麗な白衣を着た好青年だった。
細身ではあるが筋肉のついた体つきをしており、身長と低すぎず高すぎず。
これで医者ときたら大層モテるだろう。
蓮は笑顔の下でそんな事を考えていた。
しかし、そんな事を知らずにトーロは流石だと言わんばかりの視線をおくり、東野でもだらしない感じだった蓮がちゃんとやっていると籐麻は少し動揺している。
「土井先生のお話だと、奇病について調べているとか…。」
「ぇえ、和国でもついに被害者が出たので対策をと情報収集しております。」
蓮の話を聞いてウーンと唸った後にコツコツとカルテのある本棚を漁る。
奇病と該当した人たちのカルテを見始めた。
そしてサラサラと紙に何かを描き始める。
「個人情報になるので誰が…とまでは教えられませんが…。
私が見て感じた奇病についてと、それに使った薬と材料をお教えします。
この紙を薬屋に渡せば、同じものを渡してくれるでしょう。」
なんだか、おつかいのようになってきたな。
そう考えながら蓮は蛇杖から手紙を受け取る。
そして、懐から金貨を2枚取り出して蛇杖に差し出した。
しかし、蛇杖はそれを断る。
「どうして断るのです?
少ないとはいえ、情報をコチラに渡したのだ見返りがないと其方も面白くないでしょう。」
「そうですね、これは…借りにしましょう。
領主のコネや借りは、この街では箔になりますから。」
一瞬の大きな利益よりこの先も続く小さ目の利益。
長い目を見れば後者の方がいい。
医者とはいえ客商売。
強かだな。
蓮はそう思いながら蛇杖と再び握手して診療所を出る。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
3歳で捨てられた件
玲羅
恋愛
前世の記憶を持つ者が1000人に1人は居る時代。
それゆえに変わった子供扱いをされ、疎まれて捨てられた少女、キャプシーヌ。拾ったのは宰相を務めるフェルナー侯爵。
キャプシーヌの運命が再度変わったのは貴族学院入学後だった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
氷の公爵は、捨てられた私を離さない
空月そらら
恋愛
「魔力がないから不要だ」――長年尽くした王太子にそう告げられ、侯爵令嬢アリアは理不尽に婚約破棄された。
すべてを失い、社交界からも追放同然となった彼女を拾ったのは、「氷の公爵」と畏れられる辺境伯レオルド。
彼は戦の呪いに蝕まれ、常に激痛に苦しんでいたが、偶然触れたアリアにだけ痛みが和らぐことに気づく。
アリアには魔力とは違う、稀有な『浄化の力』が秘められていたのだ。
「君の力が、私には必要だ」
冷徹なはずの公爵は、アリアの価値を見抜き、傍に置くことを決める。
彼の元で力を発揮し、呪いを癒やしていくアリア。
レオルドはいつしか彼女に深く執着し、不器用に溺愛し始める。「お前を誰にも渡さない」と。
一方、アリアを捨てた王太子は聖女に振り回され、国を傾かせ、初めて自分が手放したものの大きさに気づき始める。
「アリア、戻ってきてくれ!」と見苦しく縋る元婚約者に、アリアは毅然と告げる。「もう遅いのです」と。
これは、捨てられた令嬢が、冷徹な公爵の唯一無二の存在となり、真実の愛と幸せを掴むまでの逆転溺愛ストーリー。
魅了魔法に対抗する方法
碧井 汐桜香
恋愛
ある王国の第一王子は、素晴らしい婚約者に恵まれている。彼女は魔法のマッドサイエンティスト……いや、天才だ。
最近流行りの魅了魔法。隣国でも騒ぎになり、心配した婚約者が第一王子に防御魔法をかけたネックレスをプレゼントした。
次々と現れる魅了魔法の使い手。
天才が防御魔法をかけたネックレスは強大な力で……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる