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第4話
第4話 8
しおりを挟むとりあえず目についた饅頭屋で肉まんを2つ籐麻は購入した。
肉まんを食べるのは初めてだな。
そんな自分にとって未知の食べ物に心を躍らせて食べるところに向かって歩く。
食べる場所はもう決まっている。
ここに向かう途中に見えた高台みたいなところだ。
あそこから街を眺めながら肉まんを食べたらきっと美味しいだろう。
じゅるりと早る気持ちを抑えて早足で向かっていく。
高台から街を眺めた景色は籐麻が思っていた通りの景色で山や花、建物が調和した絵画のような風景だった。
高所の場所に花街があるため時折、噴き上げるような強い風が起こるがその風で少量の花びらが待っていて幻想的だ。
港町の様子を見ると空と楓も花街に来た事がないだろう。
一緒に来た時は、3人でこの景色を眺めたいな。
そんな事を考えながら、籐麻は肉まんを頬張る。
グゥー。
突然、お腹の鳴るような音が響く。
飢えていた人たちで集まっていた頃でも他人の腹の鳴る音は聞こえなかった。
もしや自分?
食べ物が入っているのにまだ求めるようとするなんて贅沢な体だ。
籐麻は自分の腹を触ってみるが特に胃や腸が動いていない為、自分の腹の音ではなさそうだ。
猫か何かの鳴き声を聞き間違えたのかな?
そう辺りをキョロキョロとするとうつ伏せで倒れている人を見つけた。
驚いた籐麻は食べている途中の肉まんを袋に戻して側に駆け寄る。
倒れているのはどうやら藤麻と同じ位の女の子のようだ。
黒い癖っ毛で唸ったようなセミロングの髪型をしていて可愛らしいライオンの刺繡がされたエルトリア製の服を着ている。
「大丈夫か?」
藤麻の声に気がついてあげた顔はジト目の幼い顔つきをしていた。
口を栗のような三角形にしていてなんで話しかけられたのか分からない様子だ。
しかしその答えは女の子自身が教えてくれたようで、再び腹の音を響かせる。
「ぁあ、またやっちゃた…。」
それだけを呟くとズンッと顔を地面におとした。
そんなに顔を地面につけても飢えはいえないだろうに。
恰好からして飢えるような身分の人間ではないはずだが…。
藤麻はため息をつくと猫を抱えるような感じで女の子の両脇を持ち上げて先ほど藤麻が座っていた場所まで運ぶ。
頭に?を浮かべたような様子の女の子をよそに今度は顔を服の袖で拭いて女の子の砂を落としてあげた。
綺麗になった女の子の顔に満足した藤麻は、まだ口をつけていない肉まんを手渡す。
「これは?」
「ん、肉まん。」
女の子の質問に短くそう答えると途中まで食べていた肉まんを袋から取り出して再び食べ始める。
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