コバナシ

第4話

第4話 17

まずは野宿の拠点作り。
木と蔓を使い、骨組みをつくりそこに大きめな葉っぱを敷き詰める簡易な小屋を手際良く蓮は作った。


問題はトーロが収まるかどうか…。
蓮はチラリとトーロを見たが、トーロはトーロで蓮と同じように小屋を作っていた。




「拠点は良しとして…後はどうするんだ？」

「…狩り人のルートはいくらか検討はついとる。
ワシが不意打ちをかけるから、2人には援護してもらう。」



蓮の足の速さに頼った脳筋な作戦。
トーロも作戦をたてるような人間ではないため、楽でいいと二つ返事で答えた。

籐麻と蓮が普段着に着替えた後に3人は食料の調達を始める。

野生の猪を狩り焚き火で火を通しておき、水も清潔な物を用意。
一晩待てばいいくらいの量だ、火が沈み始めた頃には全ての準備が終わった。



「後は火を消して、暗闇に目を慣らしておこう。
全員が慣れたら出発じゃ。」




完全に火が沈み、虫や蛙の鳴き声が響く時間になった頃に3人は行動を始めた。
頼りになる明かりは、月と星だけ。


「この高揚感は悪くないな。」


蓮と籐麻が自分の武器を確かめている中、トーロはウキウキした様子でそう言った。
実は悪者成敗系の話が好きな人間なのだろうか。

ヤレヤレと言った様子で籐麻は息を吐き出す。


「遊びではないんじゃ。
気を引き締めていくぞ。」


蓮が先頭に暗闇を進む。
風の探知ができるのか迷いなくグングンと進んでいく。

草むらをかき分けるように進んでいくと、静かに進む馬車が見えてきた。
蓮は手で静止すると、後ろの2人は止まる。


港町と同じ服装の人物が馬車の周囲にいた、数は4人。
後、馬車を操っている1人。



「なんだ…あの服はアイツらにとって正装なのか？」

「分かりやすくてワシは助かる。
…少し様子を見るぞ。」


蓮の指示に従い、草むらに隠れながら狩り人達の後を追う。
蓮が注意深く狩り人達を観察していると、退屈そうに欠伸をしている狩り人がいる。

相当疲れているから…上がいないか。

夜とはいえまだ火が沈んで時間は浅い。
疲労が溜まるような時間じゃない為、恐らく後者だろうな。


「…これなら、楽そうじゃな。」


茂み側を見ている狩り人が欠伸をしている隙を見計らって、蓮は高く跳躍して真上から馬車の屋根に音を立てないように飛び乗る。

まずは後ろを向いて進行方向の逆を警戒している狩り人。
馬車の上から後ろを警戒している狩り人に向かって飛び降りて首元を殴り気絶させる。


後は3人。
次は、籐麻達と真逆の方向を警戒している狩り人。

今度はわざと音を立てて狩り人を倒す。
他の人狩り人の意識が蓮の方に向いた瞬間に、近くにいる狩り人をトーロ、遠くにいる狩り人を籐麻。

最後に馬車を操る狩り人を蓮が倒した。