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第4話
第4話 22
しおりを挟む男の後ろについていくように歩く籐麻達。
蓮も意識が安定してきたのか、トーロに背負われている状態で口を開いた。
「お前さんは、何者だ?
少なくともあの程度の狩り人に捕まるような人間ではあるまい。
お前さんがいたから、1番の手練れであろう普斎が馬車の中で見張っておったのじゃろ?」
「ははは、そういえば自己紹介がまだだったな。
俺の名前は“オルト”、しがない商人の仲間さ。
今回は、仲間の依頼で人身売買に関わる場所の調査の為に乗り込んだのだが…流石に脳筋すぎたな。」
オルトは、終始ニコニコしていて人当たりの良さそうな声を上げて笑っていた。
オルト。
籐麻は、その名前に聞き覚えがあった。
確か、シュリが言ってた保護者の1人だった筈。
「もしかしてシュリのお兄さん?」
「おう、そうだが…。
なんだ、花街でシュリとあったのか?
あの人見知りと話すなんて、少年は中々やるじゃないか。」
籐麻は移動しながら、シュリとリアと会った出来事を話しした。
すると、オルトは嬉しそうに籐麻の頭を撫で始める。
シュリを助けてくれて感謝すると。
皆、頭を撫でるのが好きだなぁ。
「取り引き現場に向かうために乗り込んだのに邪魔して悪かったな。」
「あーあ、気にしないていい。
ダメで元々の作戦だったし、リアは期待したなかった。
人身売買に賛成じゃない力のありそうな勢力と知り合えただけでも十分十分。」
トーロの一言に、軽いトーンでオルトは返事した。
いきなりオルトは足を止めてふぅ…を諦めたような表情を浮かべた。
「すまん…気がつかれたようだ。
ここは、俺がなんとかするから…この道を真っ直ぐ進んでくれ。
多分、港町に向かう大きい道にぶつかる筈だ。
そこなら、狩り人も大手をふって行動はできないだろう。」
踵を返すようにテコテコとオルトは戻っていく。
そんなオルトの背中をみて意を決して籐麻は隣まで歩いた。
オルトは驚いたように籐麻を見下ろす。
「俺もいく。
足を引っ張らないようにするから。」
力になれるとは思ってはいないが、怪我をしている蓮の為に何かしたかったのだ。
仮にあちらに何か会ったときに戦えるのがトーロだけだと心許ない。
しかし、そんな籐麻の様子を見てその言葉を飲み込んだオルトはグリグリと籐麻の頭を撫でる。
「おぅ、頼りにしているぞ少年。
いや…少年は失礼だな、名前はなんて言うんだ?」
「籐麻。」
ふんふんと籐麻の名前を聞いたオルトは、人懐っこい笑みを浮かべた。
「改めて、頼りにしているぞ籐麻。」
そう言い直して、オルトは少し駆け足で進んでいった。
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