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第一章、〘運命の歯車〙

ギア6、学校への道のり

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「前回、ギアヒーローエヴォと変身した主人公成也ナルヤ。初めての戦闘ではまだぎこちない動きだったが、なんとかジャアクサシバに見事勝利する。...皆様覚えてますか?実は穴闇ナグラ改めブラックは、この物語におけるラスボスの名を口にしました。それは誰でしょう?まぁ一瞬だったので覚えてない人が多々。今回の序盤で説明されますが、本当にちょっとだけなので気にしなくても良いですがね。では今回も、楽しんでください。」

「…ってかさ、俺たちは何から世界を救えばいいんだっけ?」
「…ん?言わなかったか?」
「あー、確かに言ったと思うけど、全然掘り下げてなかったような気がします。」
とある日、彼らは呑気に昼間を過ごしていた。そんな真昼間の最中、餃子とご飯を食べていたナルヤはふと思ったことを口にする。2人はモーニングコーヒーならぬヌーンコーヒーを飲み、一息ついたあと説明の続きをゆっくりとする。
「まぁ俺達の敵はデスブレイドなんだが、それの親玉は、破滅を望む無名ノーワードだ。」
「のーわーど?名無し?」
「ノーワードの目的は、世界の破滅。僕たちはその世界が破滅する日を止まる歴史ストップヒストリーと呼んでます。」
「すとっぷひすとりー...なんでそういう名前を付けたん?」
「...博士バカ学者の趣味です。」
「...りょーかいした。」
成也ナルヤはノーワードの話を一通り聞き、少しばかりの疑問を抱く。
「そのノーワードってさ、なんで世界の破滅を願ってんだろ。」
「知らん。だが、知ったところで俺達は変わらん。」
「えぇ。どんな理由だろうと、こっちの方が失ったものが大きいですから。」
「ふーん。」
それから数時間後、成也ナルヤはカレンダーを見てある重大なことに気付く。
「…学校。」
口を開く。
「ん?どうした?」
「学校やん。」
下を向く。
「あ、なんかカレンダーに書いてある。えっと、休み明け…」
「…学校か。」
目の光を失う。
「…成也ナルヤ?」
「…学校だわ。」
軽くにやける。
「ちょ…父さん!?目が死んでますよ!?」
そしてしばらく学校という単語しか発せなくなった成也ナルヤだった。
翌日
「ハァァ…何か、ゆっくり寝たはずなのに全然疲れが取れない…筋肉痛も凄いし、前の戦いで体を急に動かしたからか…まぁあの後、新しいギア何個か貰って、それを自主的に試したからかも…って、それが一番の原因だわよく考えたら。」
平日、学校へと登校中の成也ナルヤは、初戦闘(7割は自主練が原因)から疲れが取れず満身創痍近くまでいっていた。すると、マイナスは歩くのを止め、右側を見上げる。
「ここの廃病院、やっぱ怖いんだよなぁ。心霊スポットみたいな…ん?なんだこのポスター?」
[藤原フジハラ マコト!貴方の為に!誠を尽くす!]
そのポスターはとても古いポスターであった。ボロボロで、インクも擦りきれて細かい字がかすれていた。
「んーと確かこの人、今の市長だっけか。つーかなんで古いポスターが…どうでもいいや(興味ねぇし)。そんなことより…あいつら、今ごろ俺の家でのんびりしてんだろうなぁ…」
それからしばらく歩き、成也ナルヤは学校へ着く。
「着いたけど、今日はいつもより早く来てしまったなぁ。アイツ・・・とばったり出会わなければいいけど...」
成也ナルヤは下を向けていた顔をそっと上げた。するとそこには、綺麗なロングヘアーをした美人が立っていた。その美人は成也ナルヤと目が合った時、明るくニッコリ微笑む。
「...ゲッ。」
「おはよっ!成也ナルヤ君♪」
「...」
成也ナルヤはその美人を見た後、まるで光のごとく猛ダッシュする。
「あークソ!予感的中!いつもより早く来たのが間違いだった!」

雄星ヶ丘高等学校ゆうせいがおかこうとうがっこう
成也ナルヤは猛スピードで靴を履き替え、猛スピードで階段を上がり、猛スピードで教室へ駆け込む。
「ハァ...ハァ...ハァ.......流石に..ハァ...もう....大丈夫...だ....ろ。」
「もー、なんで逃げるのー?」
「...どうやって来たん?」
美人は何処から来たのか分からないが、いつの間にか成也ナルヤの背後を取っていた。そしてその美人は彼を抱き締めようとするが、全力で振りほどかれ距離を取られる。
「やめろ!マイ!お前にいっつも付きまとわれてんの知ってんだよ!そんなやつに近づいてほしくないね!」
「えー、でも家の中は見てないよー?」
「家の庭まで入ってただろうが⁉あと俺の干してたタオル三枚返せ!」
彼女の名前は赤羽アカバネ マイ。テストでは毎度学年一位を取り、運動神経は抜群。誰しもが必ず恋を抱く程の整った顔で、非公認ファンクラブが存在する程の超絶美人である。が、とある欠点が成也ナルヤを困らせている。
「フフッ、やっぱ成也ナルヤ君って可愛いなぁ...私の物にしたい!」
「どうせお前はそれを冗談で言ってないんだろ⁉ってかおいやめろ近づくな!」
その欠点とは、マイ成也ナルヤのストーカーである、ということ。それが彼女の欠点であり、彼の数少ない悩みのひとつである。
「...あ、そろそろ皆が来る時間だ...じゃあ成也(ナルヤ)君!今日もよろしくね!」
マイは自分の席へ戻る。なんとか一命を取り留めた成也ナルヤはひとまず安心するが、戦いの疲れが相まってため息が出る。
「...ハァ、本っ当に最悪だ....」
そこから少し時間が経ち、約30個の座席が全て埋まる。しかし、見覚えのない二席が教室にあることに生徒全員は気付く。そして担任が教室へ入り、いつものような日常では聞かない言葉を口にする。
「みなさん、おはようございます。色々諸連絡がありますがその前に、今日、新しく転校生が来ます。」
その場にいた生徒は全員驚き、転校生がどういう人なのかを当てるゲームが始まった。
「何か、アニメで見たことあるような展開...まさかな...」
「(?) 成也ナルヤ君、どうしたの?」
「...いや、なんでもないけど。ハハハ....」
「では、入りなさい。」
入ってきたのは二人の男。可愛らしい男の子、悪っぽいイケメン男...成也ナルヤはその時、驚愕した表情で叫ぶ。
「お前らなんでここにいる⁉」
生徒達のコソコソ話が増す。
「もしかして、成也ナルヤの知り合いかな?」
「あの黒いひと…かっこいい...」
「めっちゃかわいい奴がいる...ホントに高校男子かよ…」
「だよな。あれって本当に俺らの同級生か?」
「つーか、成也アイツも顔が広いなぁ。あんなにいい友達がいるなら、あいつは恵まれすぎだろ。」
そんな会話が続く中、満を持して二人は軽い自己紹介をする。
「僕は元岡モトオカ 真大ナオタです!よろしくお願いします!」
「...春宮ハルミヤ 穴闇ナグラだ。」
「(いや、名前の一部合わせたら元宮モトミヤじゃねぇか⁉偽名ならもっと面影なくした方が良いだろ⁉)」
しかし周りはそれに気がついていない様で、成也ナルヤはひとまず安心する。だが、舞は少し違和感を抱いていた。何故なら、この転校生二人の雰囲気は、誰かに似ていたから。
「...ねぇ成也ナルヤ君、この二人って知り合い?」
「え?あ、いやーなんつーかー...友達...」
「ふーん?」
そこからしばらく経ち、食事の時間となる。そして成也ナルヤは二人を呼び、校舎裏の巨大な木の下で弁当を食べる。
「...あのさぁ、なんでお前らいんの?」
「ふぇ?ふぉうふぁんふぉひょうふほふぁんひふふはへへふへほ?」
「なんて?口んなか色々詰めすぎだろお前。ほら水。」
「つまり、お前の様子を見に来たってことだ。デスブレイドがいつ来るかも、何をするかも分からんからな。」
「まぁ、そういうことならありがたいけど...」
箸を置き、両手を頭の後ろで組む。そこでふと疑問が浮かび、成也ナルヤは躊躇いもなく二人にサッと質問する。
「そういえばお前らは何歳なん?」
「ん?二人とも17才ですが?」
「だよね?じゃあ何で俺と同級生なん?」
「...年齢詐称した。」
「...俺と行動する為に必死過ぎん?」
三人は楽しく弁当の時間を過ごしていた、するとそこに、奴が来る。
「やっほー♪」
「...場所を変えよう」
「ちょ!待って待って待って待って!」
めんどくさそうな顔をして場所を変えようとする彼だったが、マイはそれを必死に止める。
「ところでさ!...多分だけど二人とも、成也ナルヤ君と血の繋がりあるでしょ...?顔と名前で分かったよ...!」
「…何だと?」
「...もひひゃひへ、ふぁへはもしかして、バレた?」
マイは逃げようとする成也ナルヤの制服を引っ張りつつ、穴闇ナグラ真大ナオタに自身の思ったことを正直に伝える。真大ナオタはモゴモゴしていた口を治すため、口の中を先程貰った水で流し込む。
「...えっと、バレるの早くない?」
「...仕方ない、成也ナルヤに迷惑をかけないように偽名を使ったが....」
「え?いや、おいお前ら...言わなくてもいいっt...!」
パシャンッ!!
すると、何かが割れた音と共に、大勢の悲鳴が響く。
「え?何かあったのかな?」
「...まさか!成也ナルヤ真大ナオタ!行くぞ!」
「え?あ、おう!!」
「…はい!」
三人はマイをおいて行こうとするが、彼女は成也ナルヤを追いかけ呼び止めようとする。
「え?ま、待って成也ナルヤ君⁉待って!」
「お前は来るな!」
ビリッとした空気がマイを襲う。
「…え?」
「...そこで待ってろ。いいか、絶対だ。」
成也ナルヤは彼女を止める。そして、緑色のギアを二つ取り出す。
「…成也ナルヤ君...?その…歯車は...?」
「...まぁ、格好つけんなら…世界を守る力だ、とでも言っておくか。」
そしてマイナスはマイをおいて悲鳴の方へ駆けつける。

声なる方へ走り、するとそこには美術室があった。様々な作品を壊すジャアクカルマと、その粉々に壊された作品が無惨にも散っていた。その壊された作品の中には壺があった。先程の何かが割れた音は、この作品が割れる音だったのかもしれない。
「おいお前!何してんだ!」
「…何なの貴方達!部外者は引っ込んでて!」
ブラックは構わず1歩を踏み出し、言葉を挟む。
「残念だったな。俺達はそれを言われても引っ込まないぞ。」
「...どういうこと?」
ジャアクカルマはゆっくりこちらを振り返り、牙を見せつける。三人はトランスギアを取り出し、ベルトを装着する。
「もしかしてそれは...」
「皆!あれはおそらくヒゲジロハサミムシのギアです!尻尾のハサミに気を付けてください!」
「分かった。」
「ヒゲジロ....え?なんて?名前が長くて分からな...」
「そんなことより!さっさとやりますよ!」
「えぇ...まぁ、了解...」
[エヴォライト!][エヴォレフト!][ダヌア!][クイップ!]
「「「変身!」」」
[QUIP THE HENSHIN!][GEAR HERO DANUA...THE HENSHIN.][EVO THE HENSHIN.]
「...さぁ、行くぞ。」
「はい!」
「あー待って待って。....この前お前らに言われた通り、俺の決め台詞考えておいたよ。」
成也ナルヤは昨日寝る前、学校の次に考えていたことは、実は決めセリフをどうするかということであった。
「おぉ!」
「...良いだろう。言ってみろ。」
2人は楽しみそうな笑みを浮かべる。
「あぁ!」
マイナスは、二人の承諾を得て、きっちりと、しっかりと、自作決め台詞を吐く。
「...さぁ、最高の負けイベントを始めようか!」

次回ギア7、殺された悲鳴の鳴る方へ

おまけ
成也ナルヤくん....」
「あ、あの.....」
「え?」
「ここで....英雄さん・・・・を見ましたか....?歯車とベルトがある.....」
「な、なんでここに子供がいるの...?どうしたの...?」
「...」
「...私は見てないよ。でも駄目だよ?こんな所に来たら....パパとママは?」
「...ありがとうございました。さようなら。」
「え?あ、ちょっと!...何だったんだろ....?....歯車ってまさか.....行かなくちゃ!」
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