ギアヒーローズ

オルタナ(並能シウキ)

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第二章、〘飛び交う依頼〙

ギア16、再来・花の双剣士

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「前回、主人公であるギアヒーローエヴォ兼元宮モトミヤ 成也ナルヤ及びコードネームはマイナスの彼は、今回の依頼主であるお化け屋敷のスタッフ、そしてナルヤ程の特撮ファンでもあるハルナが、今回の依頼の標的である敵怪人、ジャアクカルマの正体だと突き止めた。しかし、そのハルナという女は今回の依頼を送った張本人でもあることは先程説明した通り。一体なにが目的なのだろうか。…それに、少し緊急事態のようですね。彼らから連絡が来ましたが…『ハルナさんが見つからない。』…との事です。…え、真面目にあらすじ紹介しましたけど結構ヤバくないですか??ジャアクカルマが見つからないなんて…早急に彼らのサポートをしなくては…!」

「…ダメです、やっぱりどこにもいません。ネストさんにも連絡を入れましたが…今のところ一切見当たらないとの事です…」「えぇ…なんでさっきまでいたハルナさんが消えるんだよ…?いくらなんでもタイムリー過ぎん…?」「…消えた理由は正直分からん。分からんが、どちらにせよかなりまずい。」
前回から3人は、マイナスのふとした気付きに賭け、敵怪人であるジャアクカルマの正体かもしれないという疑いのあるハルナを、遊園地の端から端へとくまなく探していた。しかし、まるで幽霊だったのか、それともただ単に、家で特撮を観る事を考えながら定期で帰っただけなのか。何処にも見当たらず、どこにいるのかはもちろん、真相は誰にも分からなかった。
「…1回、お化け屋敷に戻ろう!」
「え?!父さんが…珍しい…」「あれだけ嫌がっていたのが嘘みたいだな。」
しかしマイナスは2人の言葉に対して首を振り、「いや、流石に館内までに戻るわけないだろ」と即答した。
「スタッフルームに1回戻るんだよ。くまなく探したと言っても、お化け屋敷のスタッフルームにだけは行ってなかったんだよ。」
「ふむ、しかし、もしそこにいなかったらあの女は…」
「逃げたのか…それとも定期で帰っただけなのか…」
3人は少し頭を悩ませるが、とやかく考えても仕方が無いと思い、そのままお化け屋敷のスタッフルームにへと走った。

[スタッフルーム廊下]
「…さっきの場所って、ここだったよな…」
「あぁ。…しかしなんだ?何か、胸騒ぎがする…」
「2人とも、突入は少し待っててください。ここは僕が。」
するとエヌはとあるギアを取り出し、ベルトにセットする。
[GOOD!WEAPON UP!][カンガルー探索機!]
そして、エヌの手元に小さなカンガルーのラジコンと、そのラジコンのカメラと連動したモニター付きの操作機が出でくる。エヌはそこにあった廊下の換気口からラジコンを入れて操作する。
「おーこりゃ便利な…(音声的に武器ウェポンなのか知らんけど…)」「エヌの能力は便利だからな。アイテム系なら何でも持ってると言って過言では無い。(音声的にも武器ウェポン扱いなのかどうかは不明だが…)」「2人とも静かに…!これは……誰か、もう1人います…ハルナさんと…誰かが…!」
2人は「え?」とエヌのラジコン操作機のモニターを覗き見する。するとそこには、ハルナともう1人、古臭いフードを被った女がいた。マイナスはその見覚えのある姿に小声で驚く。
「あ…こいつは…!!」「(!)2人とも!避けて!!」
その瞬間、エヌは2人を担ぐように飛び、3人が避けた位置を通るように真っ直ぐ、スタッフルームから斬撃のような光が飛び出てくる。
「…ッつつつ……2人とも、大丈夫ですか…?」「あ、あぁ。エヌは大丈夫か…?」「えぇ…何とか…無傷です…あえて言うならラジコンがぶっ壊れたくらいです…」
大きな爆発音と共に、砂埃が大きく蔓延する。そこからひとつの影が、3人の前に立ちはだかる。
「…やっぱりお前だったか……廃病院では世話になったな……フォリカ!」
「な…フォリカだと!?」「まさか!?デスブレイド所属…あの華の双剣士の!?」
「ん?あー!あの時の英雄さん!久しぶり♪どう?アレから強くなったのー?」
「…フッ、そうだな…ま、強いて言うなら……なんも変わってないッッ!!!」
辺りの空気が台無しになる。思わずエヌとブラックはコケッとバランスを崩す。しかし、それには反してフォリカは少し残念そうな態度をとる。
「えー?つまんないの。ねーそう思わない?アリさん♪」
「え、アリさん…?」
まだ蔓延する砂埃の中、フォリカとは別の、もうひとつの影が現れる。
「…まさか…父さん!あの人は…!!」
「…あの女だ…!あの女が変身した姿だ!!」
影が姿を現す。影の正体は黒く刺々しく、そして鋭利な爪を持った怪人であった。
「あ、あれが…ハルナさん…?やっぱり、俺の予想は当たったのかよ……おいフォリカ!ハルナさんに…何かしたのか!?」
「何ってそりゃあもちろん、暴走させたんだよ♪だってこの人全然変身しないんだもーん。だーかーらー♪ノーネーム様に頼まれてやってあげたんだー♪」
フォリカはバレリーナの様にクルクル回りながらそう説明する。エヴォは怒りの目を向け、手を震わせる。
「お前…やっていい事と悪い事くらい…分かんねぇのか!!」
[エヴォライト!][エヴォレフト!]
「エヌ!ブラック!お前らはハルナさんをどうにかしろ…」
「と、父さん…?」「マイナス……分かった。エヌ、俺達も行くぞ。あのアマを救出する。」「え!?あ、はい!わ、分かりました!」
[ダヌア!][クイップ!]
二人はジャアクカルマの方に視線を向け、ギアヒーローに変身する。
[[TRANS FROM.]]
[闇ノ破滅、敵ヲ殲滅、望ム絶滅、闇ニ堕チタ者ヘノ宿命、審判ノ刻...]
[I AM THE GEAR HERO!RISING!SHINING!GO!GO!GO!Q・Q・Q・QUIP!]
[GEAR HERO DANUA...THE HENSHIN.][QUIP THE HENSHIN!]
「戦友の為の生贄…にはしないが、倒させてもらう。」「It’s Show Time!正義の歴史に名を刻め!…ダヌア、あの人は生贄にしないでくださいね!」
二人はジャアクカルマの方へと突っ走り、その勢いで3人はスタッフルームへと突入し壁をぶち破る。そしてそのまま何処かへと消えていってしまった。
「…フォリカ……だったよな。てめぇ。俺が潰す前に1つ教えといてやる。」
「んー?なになに?」
「…どういう流れでハルナさんが暴走されたんか知らんが、多分前の廃病院でいたバニーガールの野郎と同じ手順だろ?じゃあ話は早いな。」
ギアを握り締め、下を向いていたマイナスは顔をゆっくり上げる。
「…いいね、その目。戦いが楽しくなりそう…!」
「あーそうかい。ま、どうだろうと関係ねぇ。」

「てめぇはぶっ殺す。」
 
その瞬間、マイナスから殺意に満ちたオーラが溢れ、その怒りに振り回されるかの如く、ふたつのギアをベルトに思いっきりセットし、両サイドの持ち手を内側に全力で押し込む。
[TRANS FROM.]
[Let's Go!Ready Go!SEIGINO HERO!GEAR・HERO!]
[EVO THE HENSHIN!]
「フフフ♪なんで英雄さん、そんな怒ってるの?フツーはそんな怒ることじゃないって♪フツーよりも怒ってるのなんでー?」「俺にも過去ってもんがあるんだよ…てめぇの行いに対する、この異常な程の怒りが込み上げてくる理由ワケでもある、俺の過去がなッ!!」
[ギアバッシャー!]
エヴォは怒りで震える手で、ギアバッシャーをグッ!と掴む。フォリカはそれでも、いつもと変わらぬ声で「フフッ」と笑う。
「…じゃ、殺ろっか!」「…上等だ。最高の負けイベントを始めようぜ……」
二人は母指球をしっかり踏み、バネのように前へ跳び、お互いぶつかり合う様に真っ直ぐ突っ走る。
「ハァァァァーーーッ!!!!」「今回も私が勝つよ!英雄さんっ!!」

[その頃遊園地の大広場]
「ハァーッ!!」「てりゃーッ!!」「…」
ダヌアとクイップは、ハルナが変身した姿であるアリのジャアクカルマと激しい闘争を繰り広げていた。
「…!」「右ストレートか…甘いッ!」
ダヌアはジャアクカルマの攻撃をサッと避ける。しかし、ダヌアはその攻撃の違和感にすぐさま気が付く。
「これはまさか…右ストレートをわざと外して…!?」
すると、ジャアクカルマの手の甲からひとつ、光る何かが見える。
「まさか…!?ダヌア!!そのジャアクカルマはパラポネラです!!早く逃げて!!!」
しかし、その言葉が届く頃には、その光る何かはとっくに発射されていた。その光る何かは彼の左腕の装甲を貫き、直接本体に突き刺さる。
「な…ッ?!」「ダヌアッ!!」
すると、その突き刺さった左腕から、まるで弾丸に打たれたかの様・・・・・・・・・・・・・な痛みが発し、思わず左膝を地につけてしまう。
「…な、なるほど…パラポネラか…通称弾丸アリの異名を持つ危険生物…実際のパラポネラが持つ毒針に刺された者は神経毒により、約24時間、まるで弾丸に打たれたかのような痛みを発すると言われている……しかし、流石はジャアクカルマだ…弾丸の比ではない痛みだ…ッグゥ…!」
ダヌアは右手で左腕を押さえつけつつ、面をクイップのいる方へと向けて「あとは頼んだ…」と言い、二人はゆっくり頷き合う。
[クロサイシールド!][キョクトウサソリムチ!]
「僕がやるしかない…!ダヌア…時間稼ぎ・・・・は任せてください!」
「…」
「ハァァァァッ!!!」
獣が繰り出す毒のムチと、怪物が打ち出す毒の弾丸がぶつかり合う。ムチで防ぎ切れなかった弾丸はシールドで防ぎ、徐々に敵との距離を縮めていこうと、ゆっくりかつ確実に一歩一歩を踏む。
「…時間稼ぎ…か…あぁ、頼ん…だ…!」
[クロカタゾウムシ!][トウブモグラ!]
「…あいつに対抗出来て……対策も取れる……そして…欠点を補える組み合わせを……!」

[その頃ジェットコースター線路上]
[カワラバッタ!][ハナカマキリ!]
「ハァッ!!」「よいしょっ!」
お互いはガキンッ!と双剣と双剣をぶつけ合う。エヴォはカワラハナカマキリバッタとなり、両腕にカッターのような双剣が取り付けられた形態となっていた。ギリギリ…と音を立てて競り合い、お互いは睨み合う。
「なーんだ♪変わらないとか言ってたくせに、ちゃんと前より強いじゃん♪」「あっそーですかッ!!」
二人は何となく、下斜面で勢いのついたジェットコースターがここを通ってくると察し、一度お互いの距離を離す。
「…」「…フフッ♪」
すると下から、とても焦った様な男性の大声が、ジェットコースターが過ぎた後から徐々に聞こえてくる。
「おぉーい!!君たち何をしているんだぁーー!!何があったか知らんがぁー!!そこは危ないぞぉーー!!!」
「…警備員か。」「…危ないのはそっちなのにね♪おりゃっ!」「(!?)危ないッ!!!」
フォリカはその警備員とその野次馬達のいるポイントの付近に設置されていた、ジェットコースターの線路の支えである鉄骨を一刀両断した。崩れ落ちる鉄骨を見たエヴォはすぐさま飛び降りる。
「やりやがるなアイツ…ッ!!でも、あの時よりはギアヒーローについてのマニュアルは読んでんだよ!!ギアシューター!!」
[ギアシューター!]
エヴォは落ちてくる鉄骨よりも早く地面に着き、ギアシューターにメガロドンギアをセットし、トリガーを引く。
[メガロドン!クラッシュストライク!グチャバッシャーン!!]
そしてエヴォは銃口を鉄骨に向け、メガロドンの幻影を纏った弾丸が放たれる。メガロドンの幻影は落ちてくる鉄骨全てに噛みつき、そのままフォリカに突撃する。
「おー!かっこいいー♪よっ!」
しかし、フォリカはメガロドンの幻影をいとも容易く真っ二つにし、鉄骨とともに爆発を起こさせる。
「…お前ら!……死にたくないなら逃げろ。」
「「は、はいぃー!!」」
「あーあ、逃ーがしちゃったー☆」
フォリカは右手を頭にポンッと当てて「あちゃー」と言う。エヴォは容赦無くギアシューターで数発弾丸を放つが、フォリカが左手に持っていた剣で球は全て弾かれてしまう。
「…おいフォリカ、俺をぶっ倒そうとするのはいいけどさ、他人を巻き込むのは違うだろ?」
「…だって、英雄さんならあの人達を助けてくれると信じてたもん!だから邪魔者を退かすためにやったんだー♪」
フォリカは不安定な足場でも「アハハハハー♪」と余裕にクルクルと回りながらそう説明する。
「随分と俺は信頼されてんだな?ならそれに免じて俺にやられてくれよ?」「無理ー♪」
相変わらずの楽しそうな声でフォリカは踊りながら話す。エヴォは「だろうな」とため息をつく。
「…あーしゃーねぇな。こんなとこで使いたく無かったけど…コイツを使うしかないわな…!」
エヴォはマスタフォンのアプリで、白いギアを召喚する。
「…ネストさんと一緒に(博士に内緒で)造ったホワイトライオンギア…ここで使わせていただくわ!!」
[ホワイトライオン!]
「…形態変化フォームチェンジ!!」

次回ギア17、協力すれば超強力!我ら、ギアヒーローズ!

おまけ
「ナルヤさん…まさかここであのギアを使うとは……イチゲンさんが私のパソコンで観てるのに……」
「……ワシのすぅぅぅんばらしいギアを改造した…だとぉ?!ぬぁんてことをぉッ!!??私のすぅんばらしいエヴォのデザインすらも改造したとでも言うのかナルヤァァ!!!!」「…そうですね。」「ヌゥグゥァァァ!!!…いいだろう……貴様の考えたエヴォのデザインと愛情、そしてスペックと変身音と能力を…見せてみろォォォッ!!!!!」
「…これは……最悪ですね………あとスペックと能力はほぼ同じ意味です…」
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