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POCHI 4わん
しおりを挟むチコから頼まれた場所へポチは向かっていた。
ポチ(風が暖かい…そして自分のペースで歩ける幸せ…最高だぜ…)
ポチ「ああ~春だなぁ~…おっと、和んでる暇はねえ、早く行かねえと!ちょっと走るか!」
ポチ、物凄い速さで走り出す
?「…」
ポチ(ふぉー!全速力で走るのきもちいいぃー!!このまま待ち合わせ場所までひとっ飛びだぜ!)
勢いが良すぎてポチの帽子が飛ばされる
ポチ「あ!!やべぇ!!」
謎の人物が高く跳び 帽子を取る
ポチ「!」
?「大丈夫ですか?…ってあれ、やっぱり人間じゃなかったのか」
ポチ「え、やっぱりって…!?」
?「俺も犬なんだよ」
ポチ「えー!!!」
犬「ほら、帽子。早く被るんだな。人間にバレたら困る」
ポチ「あ、ああ、ありがとう」
ポチ(本当に外には人間のふりをした犬がいるんだな…)
犬「…物凄い速さで走ってたな。お前」
ポチ「いや、少し鍛えただけで普通の犬とあまり変わらないさ」
犬「へぇ。飼い主はどうした?」
ポチ「今は飼い主はいない。つい最近自由の身になった」
犬「最近?捨てられたのか?」
ポチ「ああ、まあ、そんなところだ。だけど運良く他の犬に会えたんで、その犬の所で世話になってる」
犬「なるほどな。それは災難だったな…。人間っていうのは身勝手だ。俺達を不要な物みたいに捨ててしまう。俺達だって立派な生き物なのに。捨てられた命は野垂れ死んで、命を捨てた人間はのうのうと生きる。命なんてこれっぽちも平等じゃない」
ポチ「…確かにそうかもしれない」
ポチ「俺は自由を求めていた。だから捨てられた事は苦じゃなかったけど、他の犬だったらどうなってたんだろうな…」
犬「人間には、俺達の命の価値を分からせる必要がある。その為にも俺達が頑張らないとな」
ポチ「ああ、確かに!それもそうだな!」
犬「キミとは、仲良くできそうだ」
ポチ「あ、そうだ」
ポチ ポケットからひまわりのチラシを渡す
ポチ「ここで世話になってるんだ。しわくちゃだけど勘弁してくれ。捨て猫や捨て犬の保護なんかもしてるんだ。もし見つけたらここに連れて行ってくれよ」
犬はひまわりのチラシを見つめる
ポチ「じゃあ、急いでるからこのへんで!帽子ありがとう!」
ポチ、先を急ぐ
犬「ひまわり…」
----------
ポチ「えっと…この辺かな…」
ポチ マタタビを上に掲げる
何の反応もなく、静寂がその場をつつむ
ポチ(え…これで来るって聞いたんだけど…なんか間違ってんのか…?ポーズが違うとかか…?)
ポチ、色んなポーズでマタタビを掲げてみる
ポチ(やばい!!全然手応えがない!!)
ポチ「仕方ねえ…服を脱いで…」
猫「何してるんだにゃ?」
ポチ「!!」
猫「君、見ない顔だにゃぁ…」
ポチ「お、俺はポチ!チコから情報を聞いてこいって言われて…」
猫が物凄い速さでポチに近づく
猫「その事について大きな声で話すでにゃい」
ポチ 猫の気迫にビビって固まってしまう。
猫「こっちにゃ。ついて来い」
ポチ「…はい」
猫「例のブツは?」
ポチ「例のブツ…?」
猫「…まさか手ブラで来たのかにゃ?」
ポチ「え!?いや、何かあったかな…」
ポチ 焦って鞄を漁る
鞄の中から分厚い封筒が出てくる
ポチ「え…なにこれ…」
猫「おー!あるではにゃいか!」
ポチ「え、これですか?」
猫は封筒を奪い取る
ポチ「あ!」
猫「毎度あり~コイツがにゃいとやってけないからにゃ~」
ポチ(一瞬やべえもんが入ってると思ったぜ)
猫「さて…」
猫「まずチコを襲った犬について探ってみたが、以前聞いた話の通り、犬種は秋田犬で間違いにゃいと思う。秋田犬が最近色んにゃ場所にいるのを見てるにゃ」
猫「いつも黒のウインドブレイカー着てるにゃ。同一人物で間違いはなさそうだにゃ」
ポチ「変装してるのに分かったんですか?」
猫「手に包帯を巻いていたにゃ。あれはきっとチコがやった跡だにゃ」
猫「秋田犬は色んな場所に出歩いているが、特に滞在時間が長い場所がある。氷原公園、卍大橋、六社神社この三つだにゃ。時間帯は深夜ばっかりだにゃ」
猫「今日のところはこんなもんだにゃ…面倒事にならなきゃいいけど…まあ、気をつけるんだ事だにゃ」
猫「僕は春菊、これからよろしくにゃ」
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