グナーデ王子は一途過ぎ!

人生2929回血迷った人

文字の大きさ
18 / 25

独白

しおりを挟む
俺は自分で思っていたよりも非力な人間だった。
公爵家という恵まれた環境で産まれ、きっと同年代の奴らよりも出世してる方だろう。だからその地位を前に俺の目は曇っていた。
地位が高かろうとそれは俺の力ではないし、必要な時に必要な力が無ければそれは無力と同義である。


グナーデが刺されているのを見た時確かに愕然とした。そしてあの微笑みを見て昔を追想させられた。
でも、一番俺の心を動揺させたのはメルツェス殿下がグナーデの傷を治した時だった。

俺は人を傷つけることは出来るがその傷を治すことは出来ない。殿下が傷を治すのをただじっと見ていることしか出来なかった。
その後の処理も殿下に任せる他なかった。

自分が不甲斐ない。自分の好いている人が目の前で重症なのに俺は何も出来ずに突っ立ってるだけ。苦虫を噛み潰したような顔になるのも仕方がないだろう。


だからその不甲斐なさを誤魔化すように次の日からグナーデを気にかけた。噂のことが気になったし、ただ単に話しかけたかったと言うのもあるけど。それに元々俺がせフレになろうだなんて言わなければ噂も流れずグナーデが襲われる可能性もこんなに高くなることもなかったのだ。


あと1つ気になるのが噂の流れる速さが速すぎやしないかということ。グナーデの話だから皆が皆気になったっていう理由だけかもしれないが一日で第二師団全体に知れ渡るだろうか?俺とグナーデがヒルデ様に呼び出されるのもすぐだったから第一師団にも知れ渡ってしまっているのだろう。

ヒルデ様の耳にその噂が入る度に機嫌が急降下されるらしいから沈静化はされているらしいが…。


俺のせいで噂が広まったも同じであるし、そのせいでグナーデが第一師団にいかなければならないなんてそんなことさせるわけにいかない。
自分の尻拭いは自分でしなければ。
それにここで勝てれば少しはあの時感じた不甲斐なさを払拭出来るだろう。
明日はヒルデ様とグナーデを賭けた試合だ、俺は気合いを入れた。




グナーデが男と仲良くしている。
今日は合同練習中日。
あいつはグナーデの部屋に行った時にいたから、グナーデの近衛騎士か。たしか……シュティレと言っていたか。グナーデはいつも距離を置いて、というか置かれて生活している為あんなにボディタッチが激しいのは初めて見た。アルムでもあんなに近くない……というかアルムと家名が一緒か……なるほど。

あー、俺のグナーデに触るな!
俺のじゃないけど。
グナーデは俺の前ではあんな風に笑わないし拗ねた顔なんてしない!これが過ごした年数の違いというやつか。グナーデが第二師団に入った直後から構っていたらもう少し色んな表情を見せてくれていたのだろうか?
でも、あんなに気を許した顔をして……もしかしてグナーデはあいつが好きなのか……。いやでもそしたら俺とせフレなんてしないよな。


俺は二人がどんなに会話をしているのか気になって気付かれないようにそっと近づいた。


「…………俺を変態みたいに言わないでくださいよ!」

「でも、シュティレは好き勝手に僕にあんなことやこんなことしたことがあるじゃないっ。」

「いっ、いや、あれは────────」





………………。
俺はショックを受けすぎてそれ以上の会話は頭の中に入ってこなかった。
好き勝手に………あんなことやこんなこと……。
いや知っていた、どう考えても処女じゃなかったということを、俺は知っていた。
あんなにも簡単に俺のものを飲み込むし、あんなにも可愛く乱れられるなんて経験してないと無理だ。
だが!こう目の前に突きつけられると………精神が病みそうだ。
こうモヤモヤというかムカムカというか、この激情をどこに向ければいいのか分からない。
グナーデにはせフレを俺一人に絞って欲しい。いや、俺はグナーデの恋人になりたい。
俺のものにならないのなら、またこんなに会話を聞くことになるのなら監禁して誰にも会わせず大切にしまっておきたい。
自分の中にこんな危うい感情があるとは初めて知った。メルツェス殿下を好きだと思っていた時にはなかった感情だった。


俺は嫉妬心から生まれたこの激情をどうすることも出来ないまま一旦落ち着こうと執務室に向かった。俺の試合は今日は午後に1度あったはずだ。それまでに気持ちを落ち着かせなければならない。


俺は執務室に向かうために階段を上るが、先程のことに気を取られ注意散漫になっていたのだろう。


階段から足を踏み外した。
身体がひっくり返り、真っ白な天井を真正面に捉える。身体の浮遊感を感じた時にはもう足よりも頭が地面に近く、思いっきり頭を打ち付けたのだった。


ゴンッ


そんな音を聞いたのを最後に、俺の意識はブラックアウトしたのだった。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

その首輪は、弟の牙でしか外せない。

ゆずまめ鯉
BL
養子ゆえに、王位継承権を持たないオメガで長男のレイン(24)は、国家騎士団として秘密裏に働き、ただ義弟たちを守るためだけに生きてきた。 第一継承権を持つアルファで次男のリオール(19)は、そんな兄に「ごく潰し」と陰口を叩く連中を許せなかった。自分を犠牲にしてまで守る価値はないと思っていた。なにかと怪我の多い国家騎士団を辞めさせたかった。 初めて訪れた発情期のとき。約束をすっぽかされたリオールが不審に思い、兄の部屋へ行くと、国家騎士団の同僚──グウェンソード(28)に押し倒されるところを目撃して激高する。 「今すぐ部屋から出ろ!」 独占欲をあらわにしたリオールは、グウェンソードを部屋から追い出し、兄であるレインを欲望のままに抱いた。 翌朝、差し出されたのは特注の首輪──外せるのはリオールのみ。 「俺以外に触らせるな」 そう囁かれたレインは、何年も首輪と弟の執着に縛られ続けてきた。 弟には婚約者がいるのに、こんな関係を続けてもいいのか。 本当にこのままでもいいのか。 ひたすら執着して独占したがる弟と、罪悪感に苛まれる兄。 その首輪は、いつか弟の牙で血に染まるのか──。 どうにかしてレインを落としたいリオールと、弟との関係に悩むレインのオメガバースです。 リオール・グランケット(19)×レイン・グランケット(24) ※この作品は2015年頃に本文を書き、2017年頃にオメガバースに改稿、さらに2026年に手直しした作品になります。読みにくいかもしれません。ご了承ください。 三人称ですが攻めだったり受けだったり視点がよくかわります。攻め視点多めです。

【完結済】王子を嵌めて国中に醜聞晒してやったので殺されると思ってたら溺愛された。

うらひと
BL
学園内で依頼をこなしていた魔術師のクリスは大物の公爵の娘からの依頼が入る……依頼内容は婚約者である王子からの婚約破棄!! 高い報酬に目が眩んで依頼を受けてしまうが……18Rには※がついています。 ムーン様にも投稿してます。

過保護な父の歪んだ愛着。旅立ちを控えた俺の身体は、夜ごとに父の形で塗り潰される

中山(ほ)
BL
「パックの中、僕の形になっちゃったね」 夢か現か。耳元で囁かれる甘い声と、内側を執拗に掻き回す熱。翌朝、自室で目覚めたパックに、昨夜の記憶はない。ただ、疼くような下腹部の熱だけが残っていた。 相談しようと向かった相手こそが、自分を侵食している張本人だとも知らずに、パックは父の部屋の扉を開く。 このお話はムーンライトでも投稿してます〜

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

番に見つからない街で、子供を育てている

はちも
BL
目を覚ますと、腕の中には赤ん坊がいた。 異世界の青年ロアンとして目覚めた「俺」は、希少な男性オメガであり、子を産んだ母親だった。 現世の記憶は失われているが、 この子を守らなければならない、という想いだけははっきりと残っている。 街の人々に助けられ、魔石への魔力注入で生計を立てながら、 ロアンと息子カイルは、番のいない街で慎ましく暮らしていく。 だが、行方不明の番を探す噂が、静かに近づいていた。 再会は望まない。 今はただ、この子との生活を守りたい。 これは、番から逃げたオメガが、 選び直すまでの物語。 *本編完結しました

運命の番ってそんなに溺愛するもんなのぉーーー

白井由紀
BL
【BL作品】(20時30分毎日投稿) 金持ち‪社長・溺愛&執着 α‬ × 貧乏・平凡&不細工だと思い込んでいる、美形Ω 幼い頃から運命の番に憧れてきたΩのゆき。自覚はしていないが小柄で美形。 ある日、ゆきは夜の街を歩いていたら、ヤンキーに絡まれてしまう。だが、偶然通りかかった運命の番、怜央が助ける。 発情期中の怜央の優しさと溺愛で恋に落ちてしまうが、自己肯定感の低いゆきには、例え、運命の番でも身分差が大きすぎると離れてしまう 離れたあと、ゆきも怜央もお互いを思う気持ちは止められない……。 すれ違っていく2人は結ばれることができるのか…… 思い込みが激しいΩとΩを自分に依存させたいα‬の溺愛、身分差ストーリー ★ハッピーエンド作品です ※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏 ※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m ※フィクション作品です ※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです

【Amazonベストセラー入りしました】僕の処刑はいつですか?欲しがり義弟に王位を追われ身代わりの花嫁になったら溺愛王が待っていました。

美咲アリス
BL
「国王陛下!僕は偽者の花嫁です!どうぞ、どうぞ僕を、処刑してください!!」「とりあえず、落ち着こうか?(笑)」意地悪な義母の策略で義弟の代わりに辺境国へ嫁いだオメガ王子のフウル。正直な性格のせいで嘘をつくことができずに命を捨てる覚悟で夫となる国王に真実を告げる。だが美貌の国王リオ・ナバはなぜかにっこりと微笑んだ。そしてフウルを甘々にもてなしてくれる。「きっとこれは処刑前の罠?」不幸生活が身についたフウルはビクビクしながら城で暮らすが、実は国王にはある考えがあって⋯⋯?(Amazonベストセラー入りしました。1位。1/24,2024)

完結・オメガバース・虐げられオメガ側妃が敵国に売られたら激甘ボイスのイケメン王から溺愛されました

美咲アリス
BL
虐げられオメガ側妃のシャルルは敵国への貢ぎ物にされた。敵国のアルベルト王は『人間を食べる』という恐ろしい噂があるアルファだ。けれども実際に会ったアルベルト王はものすごいイケメン。しかも「今日からそなたは国宝だ」とシャルルに激甘ボイスで囁いてくる。「もしかして僕は国宝級の『食材』ということ?」シャルルは恐怖に怯えるが、もちろんそれは大きな勘違いで⋯⋯? 虐げられオメガと敵国のイケメン王、ふたりのキュン&ハッピーな異世界恋愛オメガバースです!

処理中です...