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二
しおりを挟む「陽太大丈夫か!って怪我をしてるじゃないか!こいつらがやったのか?」
そう言って会長は凛含めた5人の生徒を指差す。
「違う、後ろの4人には殴られたけど凛は違う。」
転校生は凛以外にやられたと正直に答える。
「ああ、なるほど。俺様の親衛隊の隊長は相変わらずだな。自分は手を汚さず高みの見物だとはいいご身分だ。」
会長は凛が加害者だと決めつけてかかっているようでなかなか酷い言いようだ。
「神?何を言ってるんだ?凛は悪くないのに謝ってくれたし制裁を止めようとしてくれたんだ。悪いやつじゃない。」
「陽太、騙されるな!最初は良い奴に見えるかもしれないが、自分さえ良ければ良いと考えるような傲慢なやつだ。」
「でも!それでも!助けてくれた!凛が悪いやつなら俺が殴られている所を隠れて笑ってるはずだろ!」
転校生は今までだって親衛隊にいじめのようなことをされてきたはずなのにその親分的立ち位置である隊長を悪いやつと決めつけずに先程の事実だけを見て話しているのは好感が持てるところだろう。
これは友達として好かれやすいはずだ。
「そ、、、それは確かに。でも、、、だったら。2年前のあれはなんだったんだよ!」
「あははっ。転校生くんは頭お花畑だよね。親衛隊の隊長である僕が君を親切心で助けるわけが無いでしょ。」
凛は会長の言葉に被せるように笑いだして話し出す。まるで2年前のあの事件も自分のせいだよと主張するかのように。
「君がもっと僕を擁護して僕への会長の印象が良くならないかな?って思ってたのに、あーあ、役に立たないのっ。」
そう言って転校生を睨んだ。
「おーまーえー!!!」
激昂した会長は少し離れた位置にいる凛に向かって走り出し殴りかかる。凛はそれを見ながらゆっくりと目を閉じ避けようともせず自然体で拳が飛んでくるのを待った。
振りかざされた会長の拳は凛の顔の目の前まできたところで止められる。
俺が木から飛び出して止めたのだ。
凛に手を出すのは許さない。
「だっ、誰だ!」
俺は答えない。が、この学園に通う生徒の多数が分かることだろう。
「彩凪知晴!?なんでここに!」
「木に登っていた。凛が殴られそうだったから助けに来た。」
凛の視線が背中に突き刺さる。今まで気付かれないように手助け出来ることはしていたが、実際凜の目の前に出るのは初めてだった。
だから、凛は分からないのだろう。俺と凛の接点は何か。前に話したことがあっただろうか。そんなことを自問自答しながらその答えを求めているのだろう。
「てことは、陽太が殴られるところを見ていたんだな。なんで助けなかった!風紀委員だろ!」
会長は声を荒らげた。
「転校生なんてどうでもいい。それになんで尻拭いを俺がしないといけないわけ?………」
後半はボソボソと独り言のように話し会長には聞こえなかったが、前半の部分が怒りに触れたらしく今度は知晴に殴りかかる。
「凛は下がって。」
知晴は怒りに任せた単調な動きをする拳を危なげなく避けて、軽い蹴りをお見舞する。
「ぐっ……、氷の女王は喧嘩も強いだなんて聞いてないぞ。」
氷の女王とは学園内での通り名のようなもので人形のように整った容姿でありながら何にもあまり関心を示さず静寂を体現したかのような雰囲気を醸し出す知晴のことだ。
「強いだなんて言ったことないから。」
会長は懲りずにもう一度殴りかかるも、払う様に腕から力の向きを変えられ勢いが殺されなかった為前によろける。知晴はそこへすかさず会長の後頭部に手を添え地面に向けて力を加えた。
体勢を前に崩していた会長は頭から前に倒れ地面に顔面ダイブする。
綺麗な顔に傷がついたが俺は気にしない。凛も会長の美醜だなんて気にしていないだろうからどうでもいい。
顔の皮膚が所々擦り切れ血が出ているため非常に痛そうな顔面をしている会長はまたもや立ち上がり、今度は蹴りを繰り出してくる。
会長は知晴に全く歯が立たず、体力も減ってきたようで肩で息をする。
「風紀委員がこんなことやっていいと思ってるのか!陽太はあんな怪我までしたんだぞ!」
暴力が通用しないからと言葉で非難する方向に変えたらしい。会長は風紀のくせにと少ない語彙で知晴を責め立てる。
「凛は何も悪くないのに殴られるなんて可笑しい。転校生が殴られるのは周りに一切気を配らない生徒会のせいなのになんで風紀が守らないといけないの?」
転校生も悪い事したわけでは無いし、今回の制裁は理不尽なものだったが、目立つ立場にいながらも周りに一切の配慮をしない生徒会役員らが責任を取るべき問題ではないかと知晴は考えている。
しかし、生徒会がそれを理解してくれるはずもなく会長に加え、怒った副会長と会計も単細胞なのか3人で知晴一人を抑えつけようと暴力を奮ってくる。
3人でなら勝てると思っていたのだろう。背後にも目が着いているのではないかと疑わしい程の回避能力を知晴は見せ、3人の体力が無くなってきた頃にそれぞれを軽く殴り倒して抵抗できないように縛った。
知晴が携帯を取り出してコールするとすぐ様通話が開始したようで『 もしもし、知晴?知晴から電話してくるなんて珍しいな。』と風紀委員長の声が聞こえてくる。
「校舎裏に来て。」
凛は何の返事もせずに用件だけ伝えて通話を切る。
その数分後、息を切らした風紀委員長の高木宮澄晴がやって来たのだが
「これ、どういう状況?」
と、疑問符を浮かべたのだった。
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