39 / 40
第39話(慎二視点)
しおりを挟む
俺は地面に座り込んだ那月の背中を撫でる。
泣いてる那月を置いて行くなんて、俺に出来るわけがない。
那月はしゃくりあげながらも、話したいことがあるのか、俺の服を掴んでくる。
可愛すぎて襲いかねないので、早く泣きやんで欲しい。
「僕ずっと……ひっく、我慢してた……」
「那月?」
那月がゴシゴシと目を擦るので、その手をのかして涙をすくう。
「慎二は、佐々木さんのことが好きなんだと思って、ずっと我慢してた」
「はっ……?」
なんだろう。何故だか今とんでもないことを聞いたような…………。
「だって二人ともすごく仲良いし、水曜日だって昼休憩に佐々木さんを会議室に連れ込んでたし、二人は出来てるんだって思ってた」
「待て、待て、待て、待てッ! 水曜日の昼に俺が会議室に佐々木を連れ込んだッ!?」
俺の言葉に那月は肩を震わせる。
「ご……」
「謝らないで」
那月の手に口を塞がれた。
「僕が怖いのは……慎二じゃない。慎二は好き」
「じゃあ、なんで?」
俺は那月の震えた肩を撫でる。
そう疑問を口にしたものの、実はさっきの会議室に佐々木を連れ込んだ話の方を弁明したい。
しかし、那月の震える声に耳を傾ける。
「僕ね……」
那月は身体をギュッと丸めるように体育座りをして、ゆっくりと言葉を続けた。
「昔、DV受けてた」
「…………っ」
息を飲む。
「だから慎二が怖いんじゃなくて、急に触られたり、大きな声出されたりするのが苦手なんだ」
俺は言葉が出なかった。
二年だ。二年も一緒に生活していたのに、俺はそれを知らなかった。
那月は地面をジッと見つめている。俺はその横顔を眺めることしかできない。
「…………情けないよね」
ポツリと呟かれた。
俺は、その言葉を聞いた瞬間、自分のやるべきことが分かった。
「誰だ?」
「だれ……?」
「那月にDVしてた奴は、誰なんだ? 親か? 元彼か? 俺の知らないやつか?」
「……とうや、だけど?」
「とうや? どこかで聞いたことある気がするような……元彼か?」
「うん、この間、恋人だって連れてきた人」
俺は絶句した。
「待て、那月。DV男とまだ付き合ってるのか?」
「ううん、あれは彼氏のフリをしてもらっただけ」
「彼氏のフリ?」
俺は眉根を寄せる。
何故彼氏のフリなんてする必要があるのか?
「慎二が佐々木さんと付き合ってるなら、僕が嫉妬して佐々木さんに酷いことしちゃう前に、身を引こうと思って。それで、離婚届も書いてた」
俺は「まあ、一週間前に佐々木さんの頬叩いちゃったんだけどね……」と暗い顔をする那月を見て、頭を抱えた。
そして、暫く気持ちを落ち着かせてから、「那月、抱き上げるよ」と声をかける。
「うぇっ! 慎二?」
「とりあえずこの場を離れよう」
「じゃあ、家に来てくれる?」
心配そうな顔で聞いてくるので、俺は那月を落ち着かせようと背中を撫でながら「ああ」と頷く。
家に帰ってゆっくり話をしよう。
泣いてる那月を置いて行くなんて、俺に出来るわけがない。
那月はしゃくりあげながらも、話したいことがあるのか、俺の服を掴んでくる。
可愛すぎて襲いかねないので、早く泣きやんで欲しい。
「僕ずっと……ひっく、我慢してた……」
「那月?」
那月がゴシゴシと目を擦るので、その手をのかして涙をすくう。
「慎二は、佐々木さんのことが好きなんだと思って、ずっと我慢してた」
「はっ……?」
なんだろう。何故だか今とんでもないことを聞いたような…………。
「だって二人ともすごく仲良いし、水曜日だって昼休憩に佐々木さんを会議室に連れ込んでたし、二人は出来てるんだって思ってた」
「待て、待て、待て、待てッ! 水曜日の昼に俺が会議室に佐々木を連れ込んだッ!?」
俺の言葉に那月は肩を震わせる。
「ご……」
「謝らないで」
那月の手に口を塞がれた。
「僕が怖いのは……慎二じゃない。慎二は好き」
「じゃあ、なんで?」
俺は那月の震えた肩を撫でる。
そう疑問を口にしたものの、実はさっきの会議室に佐々木を連れ込んだ話の方を弁明したい。
しかし、那月の震える声に耳を傾ける。
「僕ね……」
那月は身体をギュッと丸めるように体育座りをして、ゆっくりと言葉を続けた。
「昔、DV受けてた」
「…………っ」
息を飲む。
「だから慎二が怖いんじゃなくて、急に触られたり、大きな声出されたりするのが苦手なんだ」
俺は言葉が出なかった。
二年だ。二年も一緒に生活していたのに、俺はそれを知らなかった。
那月は地面をジッと見つめている。俺はその横顔を眺めることしかできない。
「…………情けないよね」
ポツリと呟かれた。
俺は、その言葉を聞いた瞬間、自分のやるべきことが分かった。
「誰だ?」
「だれ……?」
「那月にDVしてた奴は、誰なんだ? 親か? 元彼か? 俺の知らないやつか?」
「……とうや、だけど?」
「とうや? どこかで聞いたことある気がするような……元彼か?」
「うん、この間、恋人だって連れてきた人」
俺は絶句した。
「待て、那月。DV男とまだ付き合ってるのか?」
「ううん、あれは彼氏のフリをしてもらっただけ」
「彼氏のフリ?」
俺は眉根を寄せる。
何故彼氏のフリなんてする必要があるのか?
「慎二が佐々木さんと付き合ってるなら、僕が嫉妬して佐々木さんに酷いことしちゃう前に、身を引こうと思って。それで、離婚届も書いてた」
俺は「まあ、一週間前に佐々木さんの頬叩いちゃったんだけどね……」と暗い顔をする那月を見て、頭を抱えた。
そして、暫く気持ちを落ち着かせてから、「那月、抱き上げるよ」と声をかける。
「うぇっ! 慎二?」
「とりあえずこの場を離れよう」
「じゃあ、家に来てくれる?」
心配そうな顔で聞いてくるので、俺は那月を落ち着かせようと背中を撫でながら「ああ」と頷く。
家に帰ってゆっくり話をしよう。
203
あなたにおすすめの小説
恋人がキスをしてくれなくなった話
神代天音
BL
大学1年の頃から付き合っていた恋人が、ある日キスしてくれなくなった。それまでは普通にしてくれていた。そして、性生活のぎこちなさが影響して、日常生活もなんだかぎくしゃく。理由は怖くて尋ねられない。いい加減耐えかねて、別れ話を持ちかけてみると……?
〈注意〉神代の完全なる趣味で「身体改造(筋肉ではない)」「スプリットタン」が出てきます。自己責任でお読みください。
付き合っているのに喧嘩ばかり。俺から別れを言わなければならないとさよならを告げたが実は想い合ってた話。
雨宮里玖
BL
サラリーマン×サラリーマン
《あらすじ》
恋人になってもうすぐ三年。でも二人の関係は既に破綻している。最近は喧嘩ばかりで恋人らしいこともしていない。お互いのためにもこの関係を終わらせなければならないと陸斗は大河に別れを告げる——。
如月大河(26)営業部。陸斗の恋人。
小林陸斗(26)総務部。大河の恋人。
春希(26)大河の大学友人。
新井(27)大河と陸斗の同僚。イケメン。
キミと2回目の恋をしよう
なの
BL
ある日、誤解から恋人とすれ違ってしまった。
彼は俺がいない間に荷物をまとめて出てってしまっていたが、俺はそれに気づかずにいつも通り家に帰ると彼はもうすでにいなかった。どこに行ったのか連絡をしたが連絡が取れなかった。
彼のお母さんから彼が病院に運ばれたと連絡があった。
「どこかに旅行だったの?」
傷だらけのスーツケースが彼の寝ている病室の隅に置いてあって俺はお母さんにその場しのぎの嘘をついた。
彼との誤解を解こうと思っていたのに目が覚めたら彼は今までの全ての記憶を失っていた。これは神さまがくれたチャンスだと思った。
彼の荷物を元通りにして共同生活を再開させたが…
彼の記憶は戻るのか?2人の共同生活の行方は?
僕の策略は婚約者に通じるか
藍
BL
侯爵令息✕伯爵令息。大好きな婚約者が「我慢、無駄、仮面」と話しているところを聞いてしまった。ああそれなら僕はいなくならねば。婚約は解消してもらって彼を自由にしてあげないと。すべてを忘れて逃げようと画策する話。
フリードリヒ・リーネント✕ユストゥス・バルテン
※他サイト投稿済です
※攻視点があります
平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法
あと
BL
「よし!別れよう!」
元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子
昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。
攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。
……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。
pixivでも投稿しています。
攻め:九條隼人
受け:田辺光希
友人:石川優希
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグ整理します。ご了承ください。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。
【完結】好きな人の待ち受け画像は僕ではありませんでした
鳥居之イチ
BL
————————————————————
受:久遠 酵汰《くおん こうた》
攻:金城 桜花《かねしろ おうか》
————————————————————
あることがきっかけで好きな人である金城の待ち受け画像を見てしまった久遠。
その待ち受け画像は久遠ではなく、クラスの別の男子でした。
上北学園高等学校では、今SNSを中心に広がっているお呪いがある。
それは消しゴムに好きな人の前を書いて、使い切ると両想いになれるというお呪いの現代版。
お呪いのルールはたったの二つ。
■待ち受けを好きな人の写真にして3ヶ月間好きな人にそのことをバレてはいけないこと。
■待ち受けにする写真は自分しか持っていない写真であること。
つまりそれは、金城は久遠ではなく、そのクラスの別の男子のことが好きであることを意味していた。
久遠は落ち込むも、金城のためにできることを考えた結果、
金城が金城の待ち受けと付き合えるように、協力を持ちかけることになるが…
————————————————————
この作品は他サイトでも投稿しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる