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第38話(慎二視点)
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仕事終わり。帰路につこうとビルを出ると、そこには那月がいた。
彼の前を通り過ぎようとした時、声がかけられる。
「離婚届出してきたよ」
その言葉に、俺の足は止まった。
「今なんて?」
「だから僕と慎二は、無事に離婚しましたっ!」
那月は、少し乱暴な手つきで何やら紙を渡してくる。
「離婚届、受理証明書……」
「これで信じてくれる?」
頭がボーッとしてくる。
離婚?
俺と那月が?
俺は那月を手放すのか?
「あぁ……ありがとう」
俺は受け取った紙を片手に、再び歩き出す。しかし、那月が進路を塞ぐ。
「離婚届出したら、話してくれるって言ったよね?」
「…………言ったっけ?」
すっとぼけると、那月に睨みつけられた。
「言ったとしても、もう話すことなんてないだろう?」
「ある! 慎二にはなくても、僕にはあるんだって」
「俺は、那月の話が聞きたくない!」
俺はそう言い切ると、那月の横を通り過ぎる。すると後ろから、衝撃の事実が聞こえてきた。
「僕、実はコーンスープ嫌い」
「…………はぁっ!?」
「そもそもトウモロコシが不味いのに、それをスープにして固形なのか液体なのかよく分からないドロっとした未知の食べ物にするのが謎」
「いやでも、美味しいって言って、毎朝食べてたよねッ!?」
俺はついつい振り返って、那月の肩を掴んだ。それに那月はビクッと身体を震わせる。
「あ、ごめん……」
俺は、素早く手を引っ込めようとする。しかし、那月にその手を掴まれた。
そして、その掌にスリスリと頬を寄せてくる。
「何をして……」
「慎二の手って大きくて頼りがいがあるよね」
那月はそう言いながら、今度は抱きついて、俺の胸に顔を埋める。
「あぁー、慎二の匂い落ち着くー」
「いやっ、えっ……どうしたの?」
那月を見下ろすと、手持ち無沙汰な腕を取られ、背中に回すように誘導される。
「抱きついて、いいの……?」
「僕達、離婚はしたけど番ではあるんだよ? そんなのいいに決まってる」
「でも、番になったのは俺が無理矢理……」
「僕は、慎二が好き」
那月は俺の言葉に被せるように言った。そして、ギュッと抱き締められる力が強くなった。
「だから僕は、慎二に抱きしめて欲しいし、本当はずっと抱いてだって欲しかったんだよ……」
「那月……」
俺は那月の頭を撫でる。そして、ひとつ息を吐いてから「嘘はつかなくていい」と言う。
「嘘じゃない!」
那月は顔を上げて否定する。
俺はそんな那月の頭をポンポンと叩く。
「あの家は那月にあげるし、金だって言ってくれれば、欲しいだけあげる。だから、別れたあとの生活の心配はしなくていい」
「そんな心配してないよッ!!!」
那月はまた俺の服に顔を埋める。しかし俺は、背中に回された那月の腕を取って、彼から離れようとする。
「あれだけの量の離婚届を書くくらいに、俺と離婚したかったんでしょ?」
「あれはっ……!」
「本当にごめん。今まで手放してあげられなくて。それと、トラウマを植え付けて」
那月から離れて頭を下げる。
すると、困惑げな声が聞こえた。
「トラウマ……?」
「俺が急に触ったりすると震えたり、ラット状態で抱こうとすると怖がったり。それって俺が那月を番にしたあの日から、だよね?」
俺は「本当にごめん!」と、一層深々と頭を下げる。
それから、那月の顔が見たくなくて、その場を颯爽と去ろうとする。
しかし後ろから、鼻をすする音が聞こえて、足が止まる。
「ちがっ……ちがうっ……全部ちがうっ……何もかも。すれ違い、ばっかり…………なんで…………」
那月の瞳からはポロポロと涙が零れ落ちる。
「慎二のことがッ…………好きなだけなのにっ…………うぅっ…………」
那月は膝から崩れ落ちると、声を上げて泣き出した。
彼の前を通り過ぎようとした時、声がかけられる。
「離婚届出してきたよ」
その言葉に、俺の足は止まった。
「今なんて?」
「だから僕と慎二は、無事に離婚しましたっ!」
那月は、少し乱暴な手つきで何やら紙を渡してくる。
「離婚届、受理証明書……」
「これで信じてくれる?」
頭がボーッとしてくる。
離婚?
俺と那月が?
俺は那月を手放すのか?
「あぁ……ありがとう」
俺は受け取った紙を片手に、再び歩き出す。しかし、那月が進路を塞ぐ。
「離婚届出したら、話してくれるって言ったよね?」
「…………言ったっけ?」
すっとぼけると、那月に睨みつけられた。
「言ったとしても、もう話すことなんてないだろう?」
「ある! 慎二にはなくても、僕にはあるんだって」
「俺は、那月の話が聞きたくない!」
俺はそう言い切ると、那月の横を通り過ぎる。すると後ろから、衝撃の事実が聞こえてきた。
「僕、実はコーンスープ嫌い」
「…………はぁっ!?」
「そもそもトウモロコシが不味いのに、それをスープにして固形なのか液体なのかよく分からないドロっとした未知の食べ物にするのが謎」
「いやでも、美味しいって言って、毎朝食べてたよねッ!?」
俺はついつい振り返って、那月の肩を掴んだ。それに那月はビクッと身体を震わせる。
「あ、ごめん……」
俺は、素早く手を引っ込めようとする。しかし、那月にその手を掴まれた。
そして、その掌にスリスリと頬を寄せてくる。
「何をして……」
「慎二の手って大きくて頼りがいがあるよね」
那月はそう言いながら、今度は抱きついて、俺の胸に顔を埋める。
「あぁー、慎二の匂い落ち着くー」
「いやっ、えっ……どうしたの?」
那月を見下ろすと、手持ち無沙汰な腕を取られ、背中に回すように誘導される。
「抱きついて、いいの……?」
「僕達、離婚はしたけど番ではあるんだよ? そんなのいいに決まってる」
「でも、番になったのは俺が無理矢理……」
「僕は、慎二が好き」
那月は俺の言葉に被せるように言った。そして、ギュッと抱き締められる力が強くなった。
「だから僕は、慎二に抱きしめて欲しいし、本当はずっと抱いてだって欲しかったんだよ……」
「那月……」
俺は那月の頭を撫でる。そして、ひとつ息を吐いてから「嘘はつかなくていい」と言う。
「嘘じゃない!」
那月は顔を上げて否定する。
俺はそんな那月の頭をポンポンと叩く。
「あの家は那月にあげるし、金だって言ってくれれば、欲しいだけあげる。だから、別れたあとの生活の心配はしなくていい」
「そんな心配してないよッ!!!」
那月はまた俺の服に顔を埋める。しかし俺は、背中に回された那月の腕を取って、彼から離れようとする。
「あれだけの量の離婚届を書くくらいに、俺と離婚したかったんでしょ?」
「あれはっ……!」
「本当にごめん。今まで手放してあげられなくて。それと、トラウマを植え付けて」
那月から離れて頭を下げる。
すると、困惑げな声が聞こえた。
「トラウマ……?」
「俺が急に触ったりすると震えたり、ラット状態で抱こうとすると怖がったり。それって俺が那月を番にしたあの日から、だよね?」
俺は「本当にごめん!」と、一層深々と頭を下げる。
それから、那月の顔が見たくなくて、その場を颯爽と去ろうとする。
しかし後ろから、鼻をすする音が聞こえて、足が止まる。
「ちがっ……ちがうっ……全部ちがうっ……何もかも。すれ違い、ばっかり…………なんで…………」
那月の瞳からはポロポロと涙が零れ落ちる。
「慎二のことがッ…………好きなだけなのにっ…………うぅっ…………」
那月は膝から崩れ落ちると、声を上げて泣き出した。
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