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第二章:勇者カイ
第二章:勇者カイ⑦
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「ぶふっ!」
「な……なんだと……?」
姫の言葉にカイが思わず飲んでいた紅茶を吹き出す。
今……何と言った?魔王、魔王だと言ったのかこの俺を。何故俺が魔王であると分かったのだ?俺の名前や見た目は人間たちにはバレていないはずだったのだが……。
まさか、鎌をかけたのではないだろうな?取りあえず、ここは誤魔化しておいた方がよかろう……。
「……姫はご冗談がお好きなようで」
「冗談ではないですわ。ダモサーラ、貴方は魔王なのでしょう?」
自信満々の瞳をこちらへ向ける姫。なぜそれほどまでに自信があるのか……どうやらハッタリという訳ではなさそうだが……。
「げほっごほっ!……はぁー……はぁ……」
「だ、大丈夫か。カイ」
吹き出した拍子に気管に入ったのか、涙を流しながらむせ込むカイに対して手元のハンカチを差し出す姫。カイがそれを受け取とるのを確認すると、今度はカイに向かって口を開く。
「勇者様。貴方も知っておられたのでしょう? ですのに私やお父様に内緒にして、このまま旅に出ようとするなんて……あんまりですわ」
「……げほっ」
咳き込みつつも目が泳ぐカイ。それでは俺が魔王だと認めているようなものではないか。まずい、まずいぞ……何とかして魔王ではないことを証明せねば。
「俺が魔王だという証拠はあるのですか、姫」
「……その頭から生えている角が証拠だと言いたいところですけれど」
とっさに角に手が伸びる。この角の事を言われてしまうと大変困るのだが……世にも珍しい角の生えた人間として何とか誤魔化す手もあると言えばある。誤魔化しきれるとは限らないが。
「分かりましたわ。では、あくまでダモサーラは魔王ではないということですのね」
「……あぁ」
姫が悲しそうに俯きため息をつく。何故そこで悲しくなったのかは分からないが、次に顔を上げた時には姫の顔は今まで見てきた優しい顔ではなく、敵を見るかのような険しい顔になっていた。
「ではお父様にお伝えしてもよろしいですわね? ダモサーラは魔王であると」
「ですからそれは誤解だと……!」
「えぇ、えぇ。わかっておりますわ。全て私の妄言なのでしょう? ならば、お父様にお伝えしても勇者様たちには何の問題もないではありませんか。そうでしょう?」
「姫……」
断固として譲らぬ姫の姿勢に困り果て次の言い訳を考えていたその時、ようやく咳が止まったのかおもむろにカイが口を開く。
「なぁ、ダモさん。もういいじゃん、言っちゃいなよ」
「カイ!」
諦めたかのようなカイの口調に驚く。俺が魔王だとバレたらお前も母君もどうなるかわからないのだぞ?それなのに、何故……。
「ダモさんは分かんないだろうけどさ。姫は本来こんな事いう人じゃないんだよ。でしょ? 僕は何回も会ってるから何となくわかるよ」
「…………」
姫が黙りこくったまま気まずそうに目を逸らす。目を逸らす、と言うことはカイの言っていることは本当なのだろうか。いやしかし、カイが今まで見てきた姫が本当の姫の姿とは限らぬ。今まさにでているこれが本性かもしれぬのだぞ?
「その姫がこんなキツイ言い方するってことは、何か理由があると僕は思うんだよね~」
「しかし、カイ……」
「まぁまぁ、僕は大丈夫だからさ。取りあえず先に進んでみようよ。それに、いざとなればお得意の瞬間移動でパパっと脱出すればいいじゃん! ね?」
「……決してお得意ではないのだが」
カイの言葉を聞いて考える。確かに、こののままでは埒が明かない。魔王だとバラし、その結果を見て行動するのも手か……。少なくとも、俺には誰にも負けぬ魔法がある。いざという時は、カイと母君の安全だけは必ず守って見せよう。
……魔王が勇者を必ず助ける、とは何とも滑稽だな。俺はいつからカイにこんなにも信頼を置いていたのだろうか。ふん……面白くなってきたではないか。
「分かった、全てを話そう。その代わり、姫にも全て話してもらうぞ。よいな?」
「えぇ……分かりましたわ」
「ちなみにもしダモサーラが暴れたら、僕がお守りしますからね~姫」
「まぁ! ありがとうございます、勇者様」
「カイ、お前……」
勇者としての立場で言えば至極当然の事であろうが、何だか仲間に裏切られたような気がするぞ……。
全く、仕様がない奴だ。せいぜい暴れないよう気を付けておくとするか。
「……姫。お察しの通り、俺は魔王。魔王ダモサーラだ」
「な……なんだと……?」
姫の言葉にカイが思わず飲んでいた紅茶を吹き出す。
今……何と言った?魔王、魔王だと言ったのかこの俺を。何故俺が魔王であると分かったのだ?俺の名前や見た目は人間たちにはバレていないはずだったのだが……。
まさか、鎌をかけたのではないだろうな?取りあえず、ここは誤魔化しておいた方がよかろう……。
「……姫はご冗談がお好きなようで」
「冗談ではないですわ。ダモサーラ、貴方は魔王なのでしょう?」
自信満々の瞳をこちらへ向ける姫。なぜそれほどまでに自信があるのか……どうやらハッタリという訳ではなさそうだが……。
「げほっごほっ!……はぁー……はぁ……」
「だ、大丈夫か。カイ」
吹き出した拍子に気管に入ったのか、涙を流しながらむせ込むカイに対して手元のハンカチを差し出す姫。カイがそれを受け取とるのを確認すると、今度はカイに向かって口を開く。
「勇者様。貴方も知っておられたのでしょう? ですのに私やお父様に内緒にして、このまま旅に出ようとするなんて……あんまりですわ」
「……げほっ」
咳き込みつつも目が泳ぐカイ。それでは俺が魔王だと認めているようなものではないか。まずい、まずいぞ……何とかして魔王ではないことを証明せねば。
「俺が魔王だという証拠はあるのですか、姫」
「……その頭から生えている角が証拠だと言いたいところですけれど」
とっさに角に手が伸びる。この角の事を言われてしまうと大変困るのだが……世にも珍しい角の生えた人間として何とか誤魔化す手もあると言えばある。誤魔化しきれるとは限らないが。
「分かりましたわ。では、あくまでダモサーラは魔王ではないということですのね」
「……あぁ」
姫が悲しそうに俯きため息をつく。何故そこで悲しくなったのかは分からないが、次に顔を上げた時には姫の顔は今まで見てきた優しい顔ではなく、敵を見るかのような険しい顔になっていた。
「ではお父様にお伝えしてもよろしいですわね? ダモサーラは魔王であると」
「ですからそれは誤解だと……!」
「えぇ、えぇ。わかっておりますわ。全て私の妄言なのでしょう? ならば、お父様にお伝えしても勇者様たちには何の問題もないではありませんか。そうでしょう?」
「姫……」
断固として譲らぬ姫の姿勢に困り果て次の言い訳を考えていたその時、ようやく咳が止まったのかおもむろにカイが口を開く。
「なぁ、ダモさん。もういいじゃん、言っちゃいなよ」
「カイ!」
諦めたかのようなカイの口調に驚く。俺が魔王だとバレたらお前も母君もどうなるかわからないのだぞ?それなのに、何故……。
「ダモさんは分かんないだろうけどさ。姫は本来こんな事いう人じゃないんだよ。でしょ? 僕は何回も会ってるから何となくわかるよ」
「…………」
姫が黙りこくったまま気まずそうに目を逸らす。目を逸らす、と言うことはカイの言っていることは本当なのだろうか。いやしかし、カイが今まで見てきた姫が本当の姫の姿とは限らぬ。今まさにでているこれが本性かもしれぬのだぞ?
「その姫がこんなキツイ言い方するってことは、何か理由があると僕は思うんだよね~」
「しかし、カイ……」
「まぁまぁ、僕は大丈夫だからさ。取りあえず先に進んでみようよ。それに、いざとなればお得意の瞬間移動でパパっと脱出すればいいじゃん! ね?」
「……決してお得意ではないのだが」
カイの言葉を聞いて考える。確かに、こののままでは埒が明かない。魔王だとバラし、その結果を見て行動するのも手か……。少なくとも、俺には誰にも負けぬ魔法がある。いざという時は、カイと母君の安全だけは必ず守って見せよう。
……魔王が勇者を必ず助ける、とは何とも滑稽だな。俺はいつからカイにこんなにも信頼を置いていたのだろうか。ふん……面白くなってきたではないか。
「分かった、全てを話そう。その代わり、姫にも全て話してもらうぞ。よいな?」
「えぇ……分かりましたわ」
「ちなみにもしダモサーラが暴れたら、僕がお守りしますからね~姫」
「まぁ! ありがとうございます、勇者様」
「カイ、お前……」
勇者としての立場で言えば至極当然の事であろうが、何だか仲間に裏切られたような気がするぞ……。
全く、仕様がない奴だ。せいぜい暴れないよう気を付けておくとするか。
「……姫。お察しの通り、俺は魔王。魔王ダモサーラだ」
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