さよならの後

由亜

文字の大きさ
2 / 2

一昨年の夏

しおりを挟む
私達はまだ、中学三年生だった。
あの頃はいつも一緒にいた四人でよく遊びに行っていて、夏休みなんかは朝から晩まで一緒だったんじゃないかというくらいだった。

「私、健斗のこと、好き、かもしれない」
そう告げたのは、いつもの四人のうちの一人で私以外の唯一の女の子である実咲だった。
当時、私は恋愛には興味があったけれど、自分がするとなると実感が湧かず、好きな人といったような人はいなかった。
それでも私は、実咲の恋を応援しようと思った。
実咲は親友だったし、なにより勇気を出して言い出してくれたことが嬉しかった。
私は実咲が健斗を好きだということを、同じグループだったもう一人の男の子、拓哉にも言ってはどうかという提案をした。
しかし実咲が、言わないで、と言ったので言わなかった。
こうして、私は実咲を応援する日々が始まったのだが、私は恋を知らなかった。
特定の一人を愛しいと思うことはあまりなかったから、実咲の気持ちに共感することができなかった。
だからどうすればいいのかわからず、とりあえず実咲と健斗との距離を近づけようとした。それも、物理的に。
そんなことをしているうちに、拓哉に勘づかれるようになった。
「お前さ、なにやってんの?」
なんの含みもないような笑顔で聞いてきた拓哉は、こちらもこちらでひどい勘違いをしていたようだ。
「健斗が嫌いなのか?なにかあったなら、言ってみろよ。俺で良ければ話聞くぞ?」
そんな風に見えてた?私、健斗のこと嫌いなんかじゃなくて、寧ろ…。
「そ、そんなんじゃないよー。私にはしなきゃいけないことがあるだけ!大丈夫」
「なら、いいんだけどさ。まあなんかあれば言えよ?どうせ、いつも一緒にいるんだしな」
拓哉の言葉は、もう聞こえなかった。
私は今、寧ろなんだと思った?
好き?いや、私は実咲を応援しているわけだから、好きとは違うんじゃないか。
でも…好きって言ったら、私も実咲みたいになる?恋してるってことになる?それは、実咲を裏切ることになる…?

この時、恋の端の、ほんの僅かな部分を見つけたのだろう。
私は確か、この後…なにをしたんだったかな。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

いちばん好きな人…

麻実
恋愛
夫の裏切りを知った妻は 自分もまた・・・。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...