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第百五十八話 救援
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次の病気か怪我になっている人の所へ向かう。
同じように光の線を辿ろうとしたけど、この方法はどれくらい離れているかが分からないんだよな。
下手をすると、同じような場所を行ったり来たりするかもしれない。
時間をかけず無駄なく探すには、残りの候補者6人の位置を一度に把握したい所だ。
6人のステータスに「現在地を大陸地図に赤い点で示す」と書いてみる。
6人とも色を分けて区別できるようにしておく。
大陸地図を見ると6つの点が散らばっているのが確認できた。
「わあ。これって、知らない間に何処にいるのか知られちゃうんですね」
「こういう発想ができるのは変態さん、ならではなのです?」
「もしかして、パパも?」
「待った!僕はしてないよ!だいたい同じ家に住んでて、居場所を知るも何も無いし!それに、ステータスを見れば分かっちゃうんだから、そんなバレるような事はしないって」
「あら、バレないのならする、と言うように聞こえるわよ?」
くっ。
こういう時、うちの家族は何故か団結力が強いんだよ。
とにかく、この地図上の点の中で一番近い所から行ってみることにする。
「この辺り、ですよね?」
「うん。もう点の位置に着くと思うよ」
「あ、あれです?葉っぱのおうちです」
言われてよく見ると、葉っぱや枝を上手く組んで、家、とまではいかないけど、小屋のような物が作られている。
ここに人が居るのだろうか。
「ご、ごめんください。どなかた居ますか?」
「………」
返事が無いけど、人の気配はする。
と言うより枝と枝の間から中が透けて見えている。
「開けますよ?」
枝を避けて中が見えるようにする。
中には狭い中に十数人の人が座っていた。
大人が数人と小さな子供も何人か。お年寄りもいる。
大人は男女関係なくこっちを睨んでいる。
「何だ、お前らは?あの街の兵士か?」
「いいえ。私達はノルドから逃げて来た人達を助けに来ました。どなたか、病気かお怪我をされてませんか?」
「ああ、ちょうどいい。こっちのジイさんが足をやられて動けないんだ」
パッと見た感じ太ももに枝か何かが刺さってしまったようだ。
枝は抜かれているようだけど、治療どころか消毒さえもしていない為、化膿してしまっていた。
でも、これくらいなら普通の治療魔法で治りそうだ。
「早くしろよ。ジイさんが死んじまうだろう!」
「は、はい。リーカ、お願い」
「……分かりました……。リーフデの癒し」
お爺さんの足の傷は瞬く間に治っていく。
足の中に残っていた枝の破片も外に追い出されてぽろっと下に落ちたから、もう大丈夫でしょう。
「はい。これで、治りましたよ」
「チッ!だいたい助けに来るのが遅いんだよ!食料ももう無くなっただろうが!」
「小さい子も居るのよ!お腹を空かせてカワイソウと思わないの?何で食べ物を何も持ってないのよ!助けに来たんならそれくらい用意しておきなさいよ!」
「そうだそうだ!こっちは必死な思いで逃げて来ているんだぞ!」
うわあ。
気が立ってるなあ。
国から逃げて来て、お腹も空かせて、苛立つ気持ちは分けるけど、ちょっと酷いな。
「シリカ。食料を人数分出してあげて」
「う、うん。分かった」
インベントリにしまってあった緊急用の食料をシリカに出して貰う。
インベントリの中に入れば、そこで暖かい食べ物が出せると思うけど、ここでは乾燥させた肉や芋のような非常食だけにする。
「何だよこのマズそうな飯は!!俺達が下層民だからって舐めてんのかよ!もっと美味いものを寄越せよ!」
「奴隷じゃ無いんだから!バカにしないでよ!」
むかっ。
ラナとリーカをバカにされてる。
別に2人は待遇が奴隷なんじゃなくて、都合上そうなっているだけなんだけど、それでも、今のはむかっ、ときた。
というか、その前から皆んなの意見は一致していると思う。
なので、僕達のやる事は一つだ。
「それでは、救援が完了しましたので、私達はこれで失礼します。また生き延びていたら何処かでお会いしましょうね」
「な、何言ってるんだ!助けに来たんだろ!早く安全な場所に連れて行けよ!」
「いいえ。私達は助けに来たとは言いましたが、安全な場所に連れて行くとは言っておりません。怪我人の治療と食料の提供。これが今回の救援内容となります。では、さようなら」
唖然とする男性達を尻目に僕達は踵を返して、その場を立ち去る。
「ちょっと待てよ!何見放してるんだよ!お前ら責任持って助けろ!」
「待ってよ!小さい子も居るのよ!これからどうすれば良いのよ!」
「この人でなし!訴えてやる!覚悟しておけよ!」
後ろから、罵詈雑言が飛んでくる。
そう言われたら余計に戻る訳ないと思わないんだろうか。
子供用の食料はかなり多めに置いてきたし、あとは、自分達の責任でなんとかしてもらおう。
「とても、嫌な気分になりましたね……」
「覚悟はしていたけど、ああいう人達もいるのよね。軍人時代に戦地近くの村に寄った時も、ああいった言葉を投げ掛けられて傷付いた事もあったわ」
自分が助けられる立場なのに、自分達が選んでそうなっているのに、どこかでお店に来たお客様気分になってしまう人達なんだろうか。
下層民という境遇から、人の上に立つ事があまり無かったのだろうけど、こんな時に自分達が上の立場になったと勘違いしてしまうのかもしれないな。
別に助ける側が上位で、助けられる側が下位というわけでは無いし、どの国とも関係なくなった僕達にとっては、下層民という立場でさえ、無関係になる。
お互い対等の立場であり、こっちは助けださないという選択肢があるだけだ。
あっちにだって助けられない、という選択肢があるのだから、やはりイーブンだと思う。
まあ、こっちだってあんな暴言吐きまくりの人をわざわざ助けて、嫌な思いをこれからし続けるなんて願い下げだしね。
「あの……」
「ん?どうしたの?リーカ」
「後ろ……」
「へ?後ろ?」
「付いてきちゃってます!あの人達、全員私達の後を付けてきています!」
ええ?!
そんな事するの?
怪我をした人が居なくなったから移動はできるようになったんだろうけど、こっちはもう救出はしないって言ったんだよ?
こっそり付いて行けば、僕達の居住区まで行けると思ったんだろうか。
「えっと、この点に行こうかと思ったけど、こっちの反対の点に行こうか」
「はい。後ろを巻くんですね!」
「このメンバーなら余裕なのですよ」
まあ、レベルが違いすぎるしね。
急激に僕が走り出す。
レリアとリーカは僕にピッタリと付いてきている。
シリカとアズライトはすこし離れたところを走っているけど、同時に振り向くと「ワハトヴュールの炎」「イルシーの影」とこれまた同時に幻の炎と幻の人影を出す魔法を唱える。
いつの間にかこの2人は息ぴったりだね。
「うわああ、火事だ!山火事だ!」
「兵士が来た!ノルドの兵士だ、もうダメだ!」
どっちもただの映像でしかなく、何も起きないけど、あの人達を足止めするくらいなら充分だ。
「最後まで騒がしい人達でしたね」
「う、うん。もう会いたく無いね」
皆んなうんうんと頷きながら、次の点を目指していた。
この後は順調に怪我や病気の人を治してから、お互い同意の上でインベントリに入ってもらう。
アズライトにはまたお世話係で一緒に入って、前に入っていた人達とも問題が起きないように、説明をして貰った。
また少ししたら「そろそろ出して欲しいのです」というチャットが来るはずだ。
「一箇所、断られてしまいましたね」
「残念だったけど、仕方ないわよね。あの方達はあそこで頑張ってみるって言うんですから、その考えを無視はできないわ」
そう。4つ目の点に居た人達は、僕達の救出を断ってきた。
2つ目のようにこっちから断ったわけでは無い。
「治療と食料の救援はありがたく受け取るけど、我々はこの地で何とか暮らしてみるさ。今はまだこの位だが、いずれ村や町と呼べるほどにしてみせるよ」
この点に居た人達は27人という大所帯だった。
家もただ木の枝を組んだだけの小屋とも言い難い物だったけど、6世帯分の家が集まっていて、畑もいくつか作ってあって、もう充分村と呼べる形になっていた。
こんな所もあるかもとは思っていたけど、こう見ると随分と前からノルド難民はいるんだろうなと思えてくる。
ここも、この数日で出来たようなものではなかったし、最近ノルドから出て来た人がここに住み着いて新たな住人にもなっているようだ。
なんだ、そうだったのか。
僕達と同じように集落を作った人もいるんだな。
さっきの人達もここに預けた方が良いのだろうか。
とも思ったけど、この村もギリギリでやっていけているという話だったので、ここで一気に人数を増やすわけには行かなかった。
もしかしてと思って、シリカに大量の木材をストレージに入れておいて貰っていたので、それを全部提供した。
「こ、こんなにいいのかい?とても助かるけど、そっちの村はこれだけを供出しても問題ないのかい?」
そんな心配をされたけど、木材は幾らでも作れるし、ここの村も発展してもらうのが、難民全体にとってはいい事だから、幾らでも資材は提供したい。
たまにここへ寄って、支援出来ればと思う。
「回想終わり」
「なんの話ですか?」
「さっきの村を思い出してたんだよ」
「あそこはきっと良い村になりますよ」
「うん。そうだね」
「あと一箇所ね。日が暮れる前にたどり着きましょう」
最後の点はだいぶ北の方にあった。
なので、一番後回しになったのだけど、ステータスに点を付ける細工をする時に気になった所があった。
種族 獣人族
獣人族だ。
初めて会うかもしれない。
いや、フォルクヴァルツでは知らずに会ってるのかも知れないけど、知り合いには居なかった、と思う。
点の付いている場所に行ってみると、太い倒木をうまく組み合わせてその隙間に住む場所を作っていた。
屋根も太めの木を倒木の上に渡してあり、今まで見た中では一番頑丈そうな住処だった。
中を覗くと、何人かの人がうずくまっていた。
「あの!大丈夫ですか?皆さん、病気ですか?今治療します!」
「怪我なら私が!リーフデの……」
「平気だ。俺らは怪我も病気もしていない」
あ、大丈夫そうだ。
ひとりの男性が顔を上げて返事をしてくれた。
獣人族というから、もっとモフモフで獣耳に尻尾付き!とか思っていたけど、そんな事は無かった。
その代わりに頬と額に金属が埋まっていて、鈍い銀色に光っていた。
よく見ると手の甲や喉、耳の先と言ったように至る所に小さな金属が、まるでアクセサリーのように付いている。
それに、髪の毛がやけにツヤがあるなと思ったら、髪の毛も金属質のようだ。
そして、獣耳があると思っていた所には、金属製の耳が付いていた。
本来の耳はあるようなので、これは耳に見える何か、という事になる。
獣のような見た目ではなくて、どちらかというと半分魔物の見た目が混じっている人型種という感じだ。
リュリュさんのようなほぼ獣の見た目の魔物と違って、人の成分が多いと獣人族と呼ばれるのかもしれない。
「こ、こんにちは。私達は…その…」
「はじめましてかな?ふむ。あなたは、神のマナを持つ天使に見える。だが、中身はただの人族にも感じ取れる。不思議な人だ」
「ど、どうも。色々見通されているみたいですね。ちょっと恥ずかしい……」
「いや、申し訳ない。勝手に見てしまった。して、あなた方はどのような用でこんな辺鄙な土地まで来られたのかな?」
ノルドから逃げて来た人達を救出して廻っている事を話す。
「そんな事を………。なるほど、中身と見た目の違いが面白い人だと思ったが、やっている事も変わっているようだ」
「そ、そうですかね……」
「だが、我らはこの通り、魔物混じりの集まりだ。あなた方に助けてもらっても、迷惑をかけてしまうだろうから、辞退させてもらうよ」
「魔物混じり?えっと、獣人族ですよね?」
「驚いた。その呼び名で再び呼ばれる日が来るとは思わなかったよ。外国ではまだ獣人族は健在なのか?」
「あ、いえ。私はまだ会った事は無いです。ノルドでは魔物混じりと呼ばれているんですか?」
ああ、と溜息がちに返事をして、ノルドでの獣人族の扱いを話してくれた。
獣人族は誰もが下層民として登録されており、建前上は人族の下層民と同じ立場だった。
だが、実態は下層民の中でも非公式に階級が分かれて、人族の下層民の下に獣人族の下層民が居るという、状況だったようだ。
「獣人族は呪われた種族だから、そうなるのも仕方なかったのだ」
呪われた種族?
本当に?
どっちかって言うとまたおかしな神が、実験とかしてるんじゃないの?
同じように光の線を辿ろうとしたけど、この方法はどれくらい離れているかが分からないんだよな。
下手をすると、同じような場所を行ったり来たりするかもしれない。
時間をかけず無駄なく探すには、残りの候補者6人の位置を一度に把握したい所だ。
6人のステータスに「現在地を大陸地図に赤い点で示す」と書いてみる。
6人とも色を分けて区別できるようにしておく。
大陸地図を見ると6つの点が散らばっているのが確認できた。
「わあ。これって、知らない間に何処にいるのか知られちゃうんですね」
「こういう発想ができるのは変態さん、ならではなのです?」
「もしかして、パパも?」
「待った!僕はしてないよ!だいたい同じ家に住んでて、居場所を知るも何も無いし!それに、ステータスを見れば分かっちゃうんだから、そんなバレるような事はしないって」
「あら、バレないのならする、と言うように聞こえるわよ?」
くっ。
こういう時、うちの家族は何故か団結力が強いんだよ。
とにかく、この地図上の点の中で一番近い所から行ってみることにする。
「この辺り、ですよね?」
「うん。もう点の位置に着くと思うよ」
「あ、あれです?葉っぱのおうちです」
言われてよく見ると、葉っぱや枝を上手く組んで、家、とまではいかないけど、小屋のような物が作られている。
ここに人が居るのだろうか。
「ご、ごめんください。どなかた居ますか?」
「………」
返事が無いけど、人の気配はする。
と言うより枝と枝の間から中が透けて見えている。
「開けますよ?」
枝を避けて中が見えるようにする。
中には狭い中に十数人の人が座っていた。
大人が数人と小さな子供も何人か。お年寄りもいる。
大人は男女関係なくこっちを睨んでいる。
「何だ、お前らは?あの街の兵士か?」
「いいえ。私達はノルドから逃げて来た人達を助けに来ました。どなたか、病気かお怪我をされてませんか?」
「ああ、ちょうどいい。こっちのジイさんが足をやられて動けないんだ」
パッと見た感じ太ももに枝か何かが刺さってしまったようだ。
枝は抜かれているようだけど、治療どころか消毒さえもしていない為、化膿してしまっていた。
でも、これくらいなら普通の治療魔法で治りそうだ。
「早くしろよ。ジイさんが死んじまうだろう!」
「は、はい。リーカ、お願い」
「……分かりました……。リーフデの癒し」
お爺さんの足の傷は瞬く間に治っていく。
足の中に残っていた枝の破片も外に追い出されてぽろっと下に落ちたから、もう大丈夫でしょう。
「はい。これで、治りましたよ」
「チッ!だいたい助けに来るのが遅いんだよ!食料ももう無くなっただろうが!」
「小さい子も居るのよ!お腹を空かせてカワイソウと思わないの?何で食べ物を何も持ってないのよ!助けに来たんならそれくらい用意しておきなさいよ!」
「そうだそうだ!こっちは必死な思いで逃げて来ているんだぞ!」
うわあ。
気が立ってるなあ。
国から逃げて来て、お腹も空かせて、苛立つ気持ちは分けるけど、ちょっと酷いな。
「シリカ。食料を人数分出してあげて」
「う、うん。分かった」
インベントリにしまってあった緊急用の食料をシリカに出して貰う。
インベントリの中に入れば、そこで暖かい食べ物が出せると思うけど、ここでは乾燥させた肉や芋のような非常食だけにする。
「何だよこのマズそうな飯は!!俺達が下層民だからって舐めてんのかよ!もっと美味いものを寄越せよ!」
「奴隷じゃ無いんだから!バカにしないでよ!」
むかっ。
ラナとリーカをバカにされてる。
別に2人は待遇が奴隷なんじゃなくて、都合上そうなっているだけなんだけど、それでも、今のはむかっ、ときた。
というか、その前から皆んなの意見は一致していると思う。
なので、僕達のやる事は一つだ。
「それでは、救援が完了しましたので、私達はこれで失礼します。また生き延びていたら何処かでお会いしましょうね」
「な、何言ってるんだ!助けに来たんだろ!早く安全な場所に連れて行けよ!」
「いいえ。私達は助けに来たとは言いましたが、安全な場所に連れて行くとは言っておりません。怪我人の治療と食料の提供。これが今回の救援内容となります。では、さようなら」
唖然とする男性達を尻目に僕達は踵を返して、その場を立ち去る。
「ちょっと待てよ!何見放してるんだよ!お前ら責任持って助けろ!」
「待ってよ!小さい子も居るのよ!これからどうすれば良いのよ!」
「この人でなし!訴えてやる!覚悟しておけよ!」
後ろから、罵詈雑言が飛んでくる。
そう言われたら余計に戻る訳ないと思わないんだろうか。
子供用の食料はかなり多めに置いてきたし、あとは、自分達の責任でなんとかしてもらおう。
「とても、嫌な気分になりましたね……」
「覚悟はしていたけど、ああいう人達もいるのよね。軍人時代に戦地近くの村に寄った時も、ああいった言葉を投げ掛けられて傷付いた事もあったわ」
自分が助けられる立場なのに、自分達が選んでそうなっているのに、どこかでお店に来たお客様気分になってしまう人達なんだろうか。
下層民という境遇から、人の上に立つ事があまり無かったのだろうけど、こんな時に自分達が上の立場になったと勘違いしてしまうのかもしれないな。
別に助ける側が上位で、助けられる側が下位というわけでは無いし、どの国とも関係なくなった僕達にとっては、下層民という立場でさえ、無関係になる。
お互い対等の立場であり、こっちは助けださないという選択肢があるだけだ。
あっちにだって助けられない、という選択肢があるのだから、やはりイーブンだと思う。
まあ、こっちだってあんな暴言吐きまくりの人をわざわざ助けて、嫌な思いをこれからし続けるなんて願い下げだしね。
「あの……」
「ん?どうしたの?リーカ」
「後ろ……」
「へ?後ろ?」
「付いてきちゃってます!あの人達、全員私達の後を付けてきています!」
ええ?!
そんな事するの?
怪我をした人が居なくなったから移動はできるようになったんだろうけど、こっちはもう救出はしないって言ったんだよ?
こっそり付いて行けば、僕達の居住区まで行けると思ったんだろうか。
「えっと、この点に行こうかと思ったけど、こっちの反対の点に行こうか」
「はい。後ろを巻くんですね!」
「このメンバーなら余裕なのですよ」
まあ、レベルが違いすぎるしね。
急激に僕が走り出す。
レリアとリーカは僕にピッタリと付いてきている。
シリカとアズライトはすこし離れたところを走っているけど、同時に振り向くと「ワハトヴュールの炎」「イルシーの影」とこれまた同時に幻の炎と幻の人影を出す魔法を唱える。
いつの間にかこの2人は息ぴったりだね。
「うわああ、火事だ!山火事だ!」
「兵士が来た!ノルドの兵士だ、もうダメだ!」
どっちもただの映像でしかなく、何も起きないけど、あの人達を足止めするくらいなら充分だ。
「最後まで騒がしい人達でしたね」
「う、うん。もう会いたく無いね」
皆んなうんうんと頷きながら、次の点を目指していた。
この後は順調に怪我や病気の人を治してから、お互い同意の上でインベントリに入ってもらう。
アズライトにはまたお世話係で一緒に入って、前に入っていた人達とも問題が起きないように、説明をして貰った。
また少ししたら「そろそろ出して欲しいのです」というチャットが来るはずだ。
「一箇所、断られてしまいましたね」
「残念だったけど、仕方ないわよね。あの方達はあそこで頑張ってみるって言うんですから、その考えを無視はできないわ」
そう。4つ目の点に居た人達は、僕達の救出を断ってきた。
2つ目のようにこっちから断ったわけでは無い。
「治療と食料の救援はありがたく受け取るけど、我々はこの地で何とか暮らしてみるさ。今はまだこの位だが、いずれ村や町と呼べるほどにしてみせるよ」
この点に居た人達は27人という大所帯だった。
家もただ木の枝を組んだだけの小屋とも言い難い物だったけど、6世帯分の家が集まっていて、畑もいくつか作ってあって、もう充分村と呼べる形になっていた。
こんな所もあるかもとは思っていたけど、こう見ると随分と前からノルド難民はいるんだろうなと思えてくる。
ここも、この数日で出来たようなものではなかったし、最近ノルドから出て来た人がここに住み着いて新たな住人にもなっているようだ。
なんだ、そうだったのか。
僕達と同じように集落を作った人もいるんだな。
さっきの人達もここに預けた方が良いのだろうか。
とも思ったけど、この村もギリギリでやっていけているという話だったので、ここで一気に人数を増やすわけには行かなかった。
もしかしてと思って、シリカに大量の木材をストレージに入れておいて貰っていたので、それを全部提供した。
「こ、こんなにいいのかい?とても助かるけど、そっちの村はこれだけを供出しても問題ないのかい?」
そんな心配をされたけど、木材は幾らでも作れるし、ここの村も発展してもらうのが、難民全体にとってはいい事だから、幾らでも資材は提供したい。
たまにここへ寄って、支援出来ればと思う。
「回想終わり」
「なんの話ですか?」
「さっきの村を思い出してたんだよ」
「あそこはきっと良い村になりますよ」
「うん。そうだね」
「あと一箇所ね。日が暮れる前にたどり着きましょう」
最後の点はだいぶ北の方にあった。
なので、一番後回しになったのだけど、ステータスに点を付ける細工をする時に気になった所があった。
種族 獣人族
獣人族だ。
初めて会うかもしれない。
いや、フォルクヴァルツでは知らずに会ってるのかも知れないけど、知り合いには居なかった、と思う。
点の付いている場所に行ってみると、太い倒木をうまく組み合わせてその隙間に住む場所を作っていた。
屋根も太めの木を倒木の上に渡してあり、今まで見た中では一番頑丈そうな住処だった。
中を覗くと、何人かの人がうずくまっていた。
「あの!大丈夫ですか?皆さん、病気ですか?今治療します!」
「怪我なら私が!リーフデの……」
「平気だ。俺らは怪我も病気もしていない」
あ、大丈夫そうだ。
ひとりの男性が顔を上げて返事をしてくれた。
獣人族というから、もっとモフモフで獣耳に尻尾付き!とか思っていたけど、そんな事は無かった。
その代わりに頬と額に金属が埋まっていて、鈍い銀色に光っていた。
よく見ると手の甲や喉、耳の先と言ったように至る所に小さな金属が、まるでアクセサリーのように付いている。
それに、髪の毛がやけにツヤがあるなと思ったら、髪の毛も金属質のようだ。
そして、獣耳があると思っていた所には、金属製の耳が付いていた。
本来の耳はあるようなので、これは耳に見える何か、という事になる。
獣のような見た目ではなくて、どちらかというと半分魔物の見た目が混じっている人型種という感じだ。
リュリュさんのようなほぼ獣の見た目の魔物と違って、人の成分が多いと獣人族と呼ばれるのかもしれない。
「こ、こんにちは。私達は…その…」
「はじめましてかな?ふむ。あなたは、神のマナを持つ天使に見える。だが、中身はただの人族にも感じ取れる。不思議な人だ」
「ど、どうも。色々見通されているみたいですね。ちょっと恥ずかしい……」
「いや、申し訳ない。勝手に見てしまった。して、あなた方はどのような用でこんな辺鄙な土地まで来られたのかな?」
ノルドから逃げて来た人達を救出して廻っている事を話す。
「そんな事を………。なるほど、中身と見た目の違いが面白い人だと思ったが、やっている事も変わっているようだ」
「そ、そうですかね……」
「だが、我らはこの通り、魔物混じりの集まりだ。あなた方に助けてもらっても、迷惑をかけてしまうだろうから、辞退させてもらうよ」
「魔物混じり?えっと、獣人族ですよね?」
「驚いた。その呼び名で再び呼ばれる日が来るとは思わなかったよ。外国ではまだ獣人族は健在なのか?」
「あ、いえ。私はまだ会った事は無いです。ノルドでは魔物混じりと呼ばれているんですか?」
ああ、と溜息がちに返事をして、ノルドでの獣人族の扱いを話してくれた。
獣人族は誰もが下層民として登録されており、建前上は人族の下層民と同じ立場だった。
だが、実態は下層民の中でも非公式に階級が分かれて、人族の下層民の下に獣人族の下層民が居るという、状況だったようだ。
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魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
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