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第十三話
グルコと南風
しおりを挟むシンケー領に大雪が降った
馬は喜び庭駆け回り 俺は布団で丸くなる
「グルコ、暖炉のある部屋で寝なよ」
「ボリルのベッドが置けないから嫌」
「だったらこの部屋に暖炉買いなよ」
「寒くなるのが早すぎる。お金まだ貯まってない。ドロイお金貸して」
「ごめん。それはばっちゃんの遺言でやっちゃダメって」
〈ペンッ〉
俺?
「アタシャ生きてるよ」
「うん。生きてるよ?」
ハァ「遺言ってのは死んでから守るもんだ」
「今は守らなくていいの?」
「グルコ!調べな!」
めんどくさくなったな
「ハイハイ」
これはアタシの遺言だよ守りなーとか言っちゃったんでしょ
そもそも古代兵器魔女は不死身だから遺言を開示する日は永遠に訪れませんよ だいたいこの備忘録にマトモな情報が無いの知ってるくせに
無詠唱(遺言)
俺は布団から頭と手先だけ出し備忘録を開く
ほらね 手書きでヤバいの載ってるよ しかも個人名がリアルタイムで存在してる 先代の持ち主が本音で書いた遺言書だね
モゾモゾ「ハイどうぞ」
「僕には難しくて読めないよ?」
「グルコ!」
〈ペンッ〉
なんで俺?
「俺にはわかりません」
「ばっちゃん、読んで」
「ったく!貸しなっ!」
店長それ書いたの誰か分かるでしょ 無闇に読んじゃダメなやつだよ 公にしたら相続争いで国が傾くよ 読み上げる勇気があるなら本人に確認してからにして
「⋯⋯⋯⋯⋯。まあ、今度、教えるよ」
そーなるよね
「うん。待ってる」
それにしても二人なんでそんなに元気なのかな ずっと衣替えしないけど寒くないの?防寒魔法とかあるなら俺にもかけてよタダで
「ボリルは?」
「庭でイイズナと鬼ごっこしてる」
「そっか。雪でも元気に遊んでるんだね」
「そだね」
「なあグルコも遊びに行こうよ」
「俺の前世は雪割草なんだ。春までそっとしておいて」
今年は表の年 来年の天秤祭りまで山神さまの魔力の恩恵を受け 何でもかんでも大収穫だ
でもさ大雪は要らないよね
「この町の雪は初めてじゃないでしょ?がんばって雪祭り行こう?」
「調査員で来た時と全然違う。なんで?」
「さあ何でだろうね?僕にわかるのは今夜は猛吹雪だって事くらいかなぁ?」
「何言ってるかわからない」
「濃紺の雲、雪雲なんだよ。かなり厚みがある重い雲。猛吹雪が来るんだ」
「うちには来ないよう伝えてよ」
〈ペンッ〉
「ドロイ行くよ!」
「んー。帰りに寄るからね。ちゃんとご飯食べてね」
モゾ「ハイハイ」モゾ
今日はシンケー領の雪祭り 例年より2ヶ月早い積雪に合わせ急遽開催された
この町はいつでも祭りが出来るように 様々な準備が整っている
昨夜は想定外の大雪だったが中止にはしなかった 魔法使い達が総出で意地と根性で除雪作業をするからだ
町の円舞台に大きな雪だるまが奉納され 商店街の店先には氷像が飾られ観光客で賑わっている
円舞台前に設営された舞台は今年も熱気に包まれていた
〈さあ~それでは~次のチャレンジャーはシンケー領のヒデキこと、A級冒険者ドロイ君です!どぉ~ぞぉ~~〉
《きゃあああーーーーー》
「ドロイ~ステキ~~」
「こっち向いてぇ~」
「ドロイ~がんばってぇ~」
ガチデカ冒険者に黄色い声援が飛び交う 今年も他領のマダム達に大人気
〈ドロイ君、会場の皆さんに一言〉
〈皆さん、雪祭り来てくれてありがとう!〉パチ☆
〈おっとぉ~悩殺ウィンクだぁ~~〉
《きゃあああーーーーー》
「ドロイーー!コッチにもちょーだい!」
〈それではドロイ君、意気込みをどうぞ~〉
〈君が望むなら、命をかけても良いです〉パチ☆
《きゃあああーーーーー》
〈おっとぉ~雪祭り定番~壇上のプロポーズだあ~お相手の幸運な女性はどこかなぁ~〉
コソリ「あそこです」
コソリ「おや、奥地の子だね。お幸せにね」
コソリ「はい」
《きゃあああーーーーー》
「あたしよあたしーーーー」
「ドロイーワタクシですわよねー」
《きゃあああーーーーー》
〈でわ!どうぞ!〉
「フンッ」
〈バキッ〉
《きゃあああーーーーー》
〈ドロイ君おみごと~!冷凍本マグロを真っ二つです!〉
《きゃあああーーーーー》
〈はいっ!はいっ!続きましてオークションを始めます!さあ、ドロイ君の割りたて冷凍本マグロ!木炭10袋から!スタート!〉
「20!」
「30!」
「40!」
⋯⋯⋯⋯
「今年もマダム達すげぇな」
「引きますね。」
「ドロイの髪と同じ色の毛皮着てるぞ」
「ワイルドボアって知ってて着てるんですかね。」
「あんなもんどこで買ったんだよ。趣味わ」
〈ゴツンッ〉
「イテッ」
「商業ギルドのカタログ販売ですが何か?モデルは山奥兄弟よ。ワイルド・ボアシリーズ売れに売れたわ。」
「お前なぁ」
「外眺めてないで真面目に仕事してくださいね。」
「皆んな寝てるじゃねーかよ」
冒険者ギルド5階大会議室は静まり返っている
「あの方達は徹夜でやり切ったんですよ。除雪作業で魔力カツカツなんです。今夜の猛吹雪に向けて魔力回復中です。」
「帰って寝りゃいーのに」
「そうもいきません。不測の事態に備えて待機して貰ってるんです。」
「骨の髄まで搾り取るな」
「お気の毒さま。」
〈バサバサッ〉
「サブさん、追加書類です。」
「はあっ!?」
「サッサと終わらせてくださいね。」
「ちょっと待って下さい!雪祭り運営委員の書類は終わらせましたよ?これギルマスの分ですよね?私に関係ないですよね?」
フフン「オレを裏切るのか?」
「当たり前ですよ。冒険の仕事と両立なら運営委員なんてクソめんどくさい仕事引き受けませんでしたよ。」
〈ゴツンッ〉
「イテッ なんでオレ」
「連帯責任です。」
〈アーブクタッターニエタッターアーブクタッターニエタッター〉
デスクに置かれた転送ポストから歌声
「あら!ボリルさんからお手紙だわ♡」
「アホか着メロだろ」
〈ゴツンッ〉
「イテッ」
「ほら、遊んでないで仕事しますよ。」
〈パシッ〉
「なんすか!保湿クリーム剥げるでしょ!私のほっぺちゃんは敏感肌なんすよ!」
「よく見なさい。あなた宛てよ」
「私宛て?」
[冒険サブ君へ 南の森のオリザより]
「やっと来たか。」
「お。なんだなんだ?」
「待機の職員、帰らせて大丈夫です。」
〈ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン〉
なんだよもー 店休日の札下げてるでしょ 俺は休日出勤が大嫌いなの 降り積もる雪の中お越し頂きましたが そのままきびすを返してサッサと帰ってくださいね
ん あれ? 庭でボリルが遊んでるはず 店長が雪まつりに連れて行ったのかな
「グルコ起きて」
ああ 行かなかったのね
「グルコ起きて!」
「起きなさい」
〈ドカッ〉
「グェッ」
脇腹岩に踏まれた
「グルコ痛くしないで!」
「ボリルちゃんめんごめんご~」
俺は布団からそっと頭を出した
20歳くらいの美人さんがボリルの首に抱きついてスリスリしてる
嫌がらないんだ
「どちら様ですか?」
「南の森のオリザです」
めっちゃ既視感 これはフラグ回収か?
「俺に何か用ですか?」
「へえー」
「何か用ですか?」
「ふーん」
「何か用ですか?」
「なるほどねー」
「用が無いなら帰ってください。俺は寒いんです」
「寒さに弱いグルコを助けに来たのよ」
嘘だ
「あなた、南の森代表ですよね?何の用ですか?」
クスクス「代表~?何のことかしら~?」
サブマスさんそっくりだ めんどくさ
モゾ「オヤスミナサイ」モゾ
「グルコォー」
「この子がどうなっても知らないわよ?」
〈ガバッ〉
「てめーっ!」
「グルコォーこのブラシサイコォー」
「でしょでしょ~♡」
黒鹿毛のタテガミをとかされて気持ちよさそう
「尻尾もやって良いよ」
「あらん♡ツヤツヤ尻尾にしてア・ゲ・ル♡」
「ツヤツヤ~」
うふふ「高級尾脇毛百%だもんね~」
尾脇毛?
ブエックショイ「寒っ」
「汚いわね~」
ズビ「オリザさんでしたっけ。そのブラシ」
「なぁに?欲しくなっちゃった?あげないわよ~」
「あげないわよ~」
ボリル懐きすぎ
チーン「要りませんよ。それワイルドボアの毛ですよ」
「はぁ?」
「その毛、こないだスタンビって討伐されたワイルドボアのタテガミと同じです」
「はあっ💢」
怒った怒った ん? 急に暖かくなったぞ
「グルコわかるの?」
「うん。バイト先で扱ってたからね。目が腐る程見たよ」
大収穫には魔獣も含まれる この町はスタンビート万歳なのだ
そしてワイルドボアの解体はバイト代がお高いのである 俺は腕が細く薄く長いので皮剥ぎや内臓の取出し作業も奥まで傷つけずゴニョゴニョ
「ボリルも見たい」
「んー。ボリルにはまだちょっと早いかな?」
「何回寝たらいい?」
昼寝の回数もいれる気だな 最近トンチが利くんだよね
「んーそーだなぁ。来年の天秤祭りが終わったら見に行こうか?」
「わかった」
その頃にはワイルドボアも普通サイズだろ
「そーだ。グルコご飯食べる?」
「食べる」
「行くよ」テコテコテコテコ
「あ、オリザさんも行くよ」
歩く暖炉
「💢」
「ホットオレンジです」
「ありがとう」フーフーフーフー
「オリザさん、バッタもん掴まされたんですよ」
「バッタ?」
「偽物です。高級ブランド品を真似た粗悪品ですね。大量生産して安く売るんですよ」
「安くないわ。これ、チラシ」
[高級尾脇毛百%ノヨウナ]
「うわっ高。ん?よく見てココ。小さい文字で、ノヨウナ って書いてあります」
「なんで!?貴族の紹介で買ったのよ!」
「ちょっと見せてください」
後付けされた飾り彫 接着剤がハミ出てる ヤスリ掛けが甘い 発色の悪い絵の具 着色も雑 そして これは
「備忘録で調べますね」
詠唱「商業ギルドカタログ ワイルド・ボアシリーズ」
開く
[お馬さんブラシ子供用 ワイルド・ボア タテガミ100%]
「同じですね」
高級ブランド品の偽物に使われたんだ
「クソッタレ💢」
おお~ 南風~ ぽかぽか~
「汚い言葉真似しちゃダメだよ」
「うん」
「年寄りを馬鹿にしてんのさ」
「にったん!」
「また騙されたんだろ?」
「ちがうわ、たまたま見落としただけ」
フンッ「何度騙されりゃ覚えるんだか」
「もおー意地悪言うなら帰ってよ」
「あのね、ここは俺んちです。店長も普通に出てきて会話してるけど、やってること不法侵入ですからね」
「ケチな男ね」
「グルコ、なんかこの部屋暖かいね。何買ったの?」
マイペース君おかえり
「買ってない。で、それは何かな?」
どこかで見たことあるような無いような
「景品だよ。除雪バズーカ砲。風魔法で稼動するんだ。便利だよね」
道路の除雪に使うやつか そんなもんがイベントの景品って
「便利だね。うちの庭の除雪やってよ」
「うん。いいよ」
あらま嬉しそう 人んちの庭で遠慮なく試すつもりだな
「ドロイー。ボリルもやりたい」
「うん。いいよ」
「え。ドロイちゃん?」
「あ。こんにちは。ドロイです。わかりますか?」
「わかるわかる。大きくなったわねぇ。今何歳なの?」
知り合いか 俺とのおしゃべりの前に挨拶が先だよね
「20歳です。結婚できます」
「あらあらそんなに?あたしも年を取るはずだわ~」
おやおや
「何歳ですか?」
チョン〈ドカッ〉
「ギャッ」
弁慶の泣き所! 軽くつま先で触れただけで何この衝撃!?
ヒヒーン「グルコ痛くしないで!」
「ボリルちゃんめんごめんご~」
またそんな抱きついて
「弱いグルコにはもっともっともっと優しくして」
ドロイ君 カッコイイ声で真実をありがとう
「そらA級ポーション」グイグイ
「ング」ゴキュッ
やめて自分で飲めるから
「あらま。すっかりお兄ちゃんになったわね~」
俺の方が5歳年上です
「オリザさんは昔も雑だったよね。チカラ加減気を付けてね」
「気を付けてね」
クスクス「気を付けるわぁ。グルコめんごめんご~」
何故ボリルに抱きつく? そこは俺じゃないのか? 嫌だけど
ケホッ「厳重に気を付けてくださいよ?」
「はいはい」
あ 人から聞くとムカつくわコレ
窓の外 ドロイとボリルは庭で除雪作業ごっこ
俺は暖炉に手のひら足の裏をかざし温まる 感じでオリザさんが纏う暖かい魔力で暖を取る 体の芯までぽかぽかしてきたよ 遠赤外線効果かな
「それで、アンタ達が辞退した理由はなんだい」
ん 辞退?
「南の森にはデカイ虫がいるから嫌」
「今更かい?」
「あのね、森の主がね、挨拶に来たのよ」
「あー、代表候補になったからだね」
「デカイダンゴムシだったのよ。良い声でしゃべるデカイダンゴムシだったのよ」
「それは⋯⋯まあ、無理だな⋯」
「でしょでしょ?」
「ミルはなんて?」
「ミルは王都で働きたいって。イケメンいるから」
「チマリはなんて?」
「チマリは別にやっても良いよって。あの子デカイ虫を従魔化する変人だもん。あの森に向いてるよ」
ハァーーーー「そうかい。三人で決めたなら仕方ないね」
三人娘か
「今回の候補辞退は推薦人達の落ち度でもある。すまなかったね」
「いいのよ。この10日間は実力以上のチカラが使えて面白かったから」
「サブには話したのかい?」
サブマスか
「手紙で伝えた」
「大事な事だ。会って話しな」
辞退 大事な事
「そのうちね」
ようするに
「オリザさんって、南の森代表じゃないんですか?」
「候補なのよ。よそもんなのに凄くない?」
北の森代表もよそもんだし 珍しい事なのか?選定基準がわからん
「へぇー」
〈ペンッ〉
「凄いんだよ」
キャハッ「にったん、あたしもソレ欲しい~片方ちょうだい」
「ユガにあげたよ」
「あら残念ね~」
人族の足が2本でよかった
「まあ、アンタが来たから今夜は大丈夫だね」
「うん。猛吹雪は止める」
「えっマジっすかっ!」
〈ペンッ〉
「言葉遣いに気を付けな」
「にったん、気にしないわ。あたしはチマリのような子供じゃないから」
「一応うちの従業員だからね。ちゃんと躾ないとさ」
便所って書いたスリッパで叩く躾って何?
「オリザさんの加護、俺に話せますか?」
遠い異国の種族 風神信仰者 南風の使い手
「良いわよ。風神さまの加護『永遠の17歳』 今夜使う上級魔法はね『南風よ伝えて』 強いわよ~」
「17歳。へえー17歳」
〈ペンッ〉
「俺を叩いて肩のリハビリですかね?」
〈ペンッ〉
「おだまり」
「男爵」
〈ペンッ〉
「マセガキ」
「とっくに成人してます」
〈ペンッ〉
キャハハハッ「二人は面白いわね~」
笑うと確かに17歳に見えなくもないね 見た目の事じゃないんだろうけど
「あの、猛吹雪の原因をご存知なんですか?」
「にったん?」
「大丈夫だ。既にアタシと秘匿魔法を交わしてる」
「あ、そんな重大な話なら聞かなくて大丈夫です」
「にったんお願い」
「いや、知らなくて大丈夫ですから」
「魔力を温存するんだね。いいよ」
「俺に拒否権は無いんですか?」
「無いね」
「無いわ」
無詠唱
白い仄めきが出て俺に纏わりつく ゾワゾワする
オリザさんにも白い仄めきが纏わりつく
店長を仲介してオリザさんと秘匿魔法が交わされた
生粋の魔女は魔法の祖 人間の魔女には出来ない技術を所有している
「始まりは2週間前だ。
アタシと東とユガの3人の夢枕に山神さまが立ち啓示を受けた」
詠唱「走馬灯」
何も無い空間に映写機で映すより鮮明な映像が発現した
「すげぇ散らかってます。店長の寝室ですね」
〈ペンッ〉
「真面目に見とけ」
「ハイハイ」
〈クスクス〉
ベッドの枕元に紅い目の大きな白い蛇がトグロを巻いて鎌首をもたげている
『南の森代表の引退が決まった
次代の代表を3人推薦せよ
魔女のチカラを候補者に3等分する
更に2週間後、最も魔女らしい者を代表に選出する』
〈パァーーーーーーー〉
「眩しっ」
ハアァー「青天の霹靂だ」
「にったんの推薦はあたし。凄いでしょ」
「優秀な弟子だからな。任せて大丈夫だと安易に考えてしまった」
師弟関係なんだ
「グルコ、気分悪くない?」
「いえ、特には。まだ目がチカチカしますけど」
「魔力無しって、ほんと影響されないんだね」
「だろ?秘匿魔法ですら平気な顔してる」
「無敵だわ」
「ある意味な」
これは褒められてるのかな
「そして10日前、南の森代表が引退した」
「冷え込んで雪が降り始めた頃ですね」
「ええ。南の魔女が不在になって北の魔女の影響が強く発現したの。それで表の年なのに異常気象をもたらしたのよ」
「西の森は他より大雪の災害が深刻だ。今夜の予報は猛吹雪。代表の選出を待たずオリザに飛んで来て貰ったんだ」
「山神さまが引退した代表から魔女のチカラを剥奪したんですか?」
「ちょっと違うな。借りたチカラを返し山神さまが受け取る。そんな感じだったんだろ?」
「ええ。先代はそう言ってたわ」
「町の史実にも記録されてるが、東西南北の森の代表制度は新領設置の際に初代が導入したものだ。
代表の引退は今回が初めてなんだよ」
「シンさんは何か啓示を受けたんですか?」
「シン坊は何も言ってこない。アンタは何か聞いてるか?」
なるほど 俺を巻き込んだ理由はそれか
「昨夜もBARで飲んでましたが、いつものメンバーがいつもの様に飲んで騒いでって感じでした」
「他に誰が居た?」
「領主さんと冒険さんと商業さんが居ました。俺はボリルと先に寝たので後から誰かが来たのかはわかりません」
「領主はシン坊が連れて来たのか?」
「ですね」
「商業さん、除雪作業の手配とかで忙しいはずよね?」
「ああ。雪祭りの総括だからな」
「ねえ、あの人達、念話をしている様子はあった?何か重要な話を交わしてなかった?」
「さあ?」
〈ペンッ〉
「なんで?」
「修行が足りん」
どんな修行だよ
「気になったんですが、山神さまにとっても代表引退は初めてなんですよね?人族がする退職の手順みたいなのがあるんですか?」
「先代は夢枕に山神さまを呼び出して引退を申し出たんですって。何度も何度も呼び出して話し合いを重ねたそうよ」
「山神さまって呼び出せるんですね」
「いや、そんな事初めて聞いた。
引退を願う切実な思いが山神さまに届いたんだろうな」
「余程の理由があったんですね」
「そうね。でも、引退の理由は秘匿されててあたし達も知らないの」
「これ以上は話せない。
グルコ、これは強い秘匿だ。心に固く閉じ込めな」
「ハイ。秘匿は得意です。充分お話しいただきました。
ありがとうございました」
「それで、チマリはいつからだい?」
「うん。明日、日の出と共に南の森の魔女が発現するって啓示があった。
その時あたしとミルは普通の魔法使いに戻るわ」
「今チマリの実力はどのくらいだ?」
「チマリはまだ若いからね。発現の波紋は小さいわ」
「雪を溶かしきるチカラはないか」
「そうね。西の森は積雪量が多いから派生で雪崩があるかも」
「わかった。皆に動かないよう手紙を出す。グルコ急ぐよ」
「ハイハイ」
カウンター端の壁にある転送ポスト
奥地と森の住人への無料配布が終わってて良かった
薬局の注文以外に災害や緊急の連絡も取れる
[みなみかぜ ふいた こんや ふぶき こない しずかに まて あした あさ なだれ ちゅうい ナナフシより]
簡単な文章なら冒険者ギルドの読み書き勉強会に来る子供達にも読める 大人より子供達への注意喚起が何より大事だ
「うん。いいね。複製するよ」
店長が白く仄めく 柔らかい魔力だ
取り引き先名簿を見て宛名を書く
「うん。いいね」
「投函しますね」
「ああ」
〈転送します〉キラキラ⋯
クスクス「ボリルちゃんの声可愛いわね。あたしも欲しいなぁ」
⋯キラキラ〈転送完了しました〉
「量産型を商業ギルドで販売してます。ついでにブラシとチラシを持って相談されると良いですよ」
「やっつけてくれるのね」
「ハイ。根まで枯らします」
貴族を介してチラシまで作る金がある 巧妙な手口 きっとどこかの組織が絡んでる
「ついでに冒険者ギルドにも寄りな」
「うん。そうね。そういう風向きなのね。従うわ」
「奥地の子供達が喜びますね。勉強会を楽しみにしてるので」
先週の勉強会 村から使い捨て魔法陣で教室に直通で来たルダ達は 雪ん子姿で雪まみれだった 子供は頑固だ 村長が仕方なく貴重な魔法陣を使い送り出したのは明白だ
豪雪災害の危険が去るまで休みなさい
店長が子供達に厳しく言って聞かせた
そのまま転移魔法で送り返す時 しょんぼりしてた
うふふ「大丈夫。任せて。その為に飛んで来たのよ」
「奥地はここより雪が酷いからね。上手くがんばりな」
「うん。がんばる。にったん今夜よろしくね」
「勿論さ」
消えた
俺の暖炉が消えてしまった
もう少しゆっくりして欲しかったなぁ
庭に出ると腰まで積もった雪がデコボコに荒らされている 除雪はされていない かなり激しく遊んだな 厩舎とかは防壁魔法で無事だ
「ボリルーー どーーこーー ボリルーー」
この頃はボリルと繋がる従魔の波長がわかりにくい
隠蔽や結界魔法を学び始めたせいなのかもしれない
一時的なものだと良いけど
「んーやっぱり。ボリル掻っ攫われたな」
「ボリルさんが攫われたっ!?」
「わあっビックリしたなぁもおー」
「ボリルさんが」
「店長ですよ。アノ人黙って連れてくんです」
ホッ「犯人は西さんですか」
「こんな時間にどうされました?」
制服姿 商業さん仕事帰りかな
「ええ。グルコさんに先日のバイトのお礼をお持ちしました。」
「あー。もうコレ貰いましたから」
ワイルドボアのロングコート ブカブカだけど
「それは製造部からです。今回は販売部からお持ちしました。」
「そうなんですね。あの、中で話します?」
「あら、ごめんなさい。」
収納魔法発現
〈ボフッ〉
「フード付きロングコート、防寒ブーツ、帽子、手袋です。」
「売り物じゃないんですか?」
「残り物です。棚卸しをしたら婦人向けの高身長サイズが大分ありましたので、どうぞお受け取りください。前合わせはユニセックスです。グルコさんに合いますよ」
そうなのだ。ガチデカ男性を基準にしたこの町の紳士服は合わないのだ
「寒くないよう試着室魔法を掛けますのでお着替えをどうぞ。」
そんな魔法があるんだな
「細いっ!薄いっ!長いっ!」
試着室なのに見えるんだね ちゃんと服着てて良かった
コホン
「失礼しました」
「大丈夫です強めに自覚してます」
「まあ!まあ!まあ!」
鏡はないが商業さんの反応からして悪くはなさそうだし 貰えるもんは貰っとこう ブカブカのはコレに重ね着できるな
「これで森をウロついたらワイルドボアと間違われませんかね?」
「ご心配には及びません。」
ですよね
「婦人向けの方が裏地のキルトが厚いですね。軽くてほんと暖かいです」
「初級オールシーズン魔法が掛かってます。冬季限定魔法よりお安く掛けられます。」
「なるほど」
店長とドロイは衣替えをしていない あの二人は超特級なんだろうな
「ありがとうございます」
「ご遠慮なく。では、失礼しますね。お風邪を召しませんようにお過ごしください。」
「ハイ。お気をつけて」
ボリルが居ないとサッサと帰るな
布団に潜りウトウトしていると かすかに篠笛の音色が聞こえた 西の森の方角だ
ランタンを手にワイルドボアフル装備で庭に出る 雪は止んでいる
真っ暗闇 厩舎の横に建てた御者休憩所で雪雲に覆われた黒い空を見上げる 西の森と空の境目が薄っすら明るい
夕飯はすっかり忘れて布団に入ってしまった 元気飴で小腹を満たす 菓子袋には色んな味がまぜこぜに入っている ひとつ口に入れた 蜂蜜味 アタリだ ハズレはゴボウエキスとか変な味 ああ やっぱり
「ボリルが居ないと淋しいなぁ」
黒い空を見上げ独り言
「ガリガリのワイルドボアだ」
「わあっ!」
あっぶねー飴が飛び出すとこだった
「グルコか」
「ナナフシ薬局の庭ですね。」
暗闇に白く仄めく幽霊が2体
やめてよもう 心臓バックンバックンだよ
「冒険さん、お揃いで何の用ですか?」
「こんばんは。ボリルさんは?」
「わあっ!」
振り返ると商業さん 制服姿 残業してたのか
「ボリルは今夜はお泊まりです。店長がオリザさんの魔法を見学させてるんですよ」
「私達も見学しに来たんです。西さんの庭先に転移したら傲慢な結界魔法に弾かれてここに出ちゃいました。」
それで店長の白い魔力残留を纏っていたのか
候補とはいえ南の森の魔女だからね 魔法の発現現場は秘匿するよね
「グルコさん、この庭先への町民の転移が弾かれてますよ。苦情が何件かありました。」
「そうなんですか?」
店長がここの結界を強めたんだ 建物の結界を拡張したんだな
「ナナフシ薬局は町の外れ、西の森のお隣です。異常を感じた事情を知らない町民が、とりあえずここへ集まろうとしてます。」
マジか?うちの庭で南風魔法見物とか勘弁して欲しい どうせ酒盛り始めて勝手に台所入ってツマミ作って宴会になるよね
「よお。お前達も来てたのか」
シンさんまで うちは族の溜まり場ですか
「お。ワイルドボアが座ってるぞ。ガリガリで不味そうだ」グビ
またドブロク呑んでる
「何しに来たんですか」
「おう、グルコ君だったか」
「お似合いでしょ?この冬イチオシ商品ですよ。族長の所で扱いませんか?」
商談始めたよ
「さては余ってんだな?サイズは?」
「グルコさんが身につけてるサイズ。フルセット揃ってます。在庫全部買い取ってください。」
下手っぴな商談
「グルコ君、まっすぐ立って両手広げてごらん」
えー俺マネキンじゃないんだけど
「チカラ入れないで楽にして」
全身が明るくライティングされた 風魔法で操られる ゆっくり回される 俺は今オルゴール人形だ
「うん。初級オールシーズン魔法が効いてるな。毛皮の処理も縫製も上手いな」
「所詮はワイルドボアだぜ?」
「見てるだけで魔獣臭いです。」
〈ゴツンッゴツンッ〉
《イテッ》
黙ってられないのかな
「あ」
「おう」
篠笛の音色が変わった オリザさんらしい雑で力強い音色 逞しい音色
「始まりました。」
「サブ、これが南風魔法か?」
「いいえ。山神さまへのご挨拶です。大きい魔法を使う時はお許しを得るんです。」
「なるほどなぁ」グビ
篠笛が止んだ
《シーーーーーーーーーーーーン》
「どうなってる?何も聞こえんぞ」
「無詠唱か?」
「いいえ。西さんが結界で隠してますね。」
「隠す?」
「オリザの大きい魔法は無詠唱で発現できません。」
「結界の中はどうなってる?西は大丈夫なのか?」
「オペラハウスですね。」
「オペラハウス?」
「オリザは『歌』で発現します。今夜は声の限り歌い続けます。観客は二人だけですけど。」
「贅沢ですね。」
俺も聞きたかったなぁ
「あっ!」
黒い空が所々灰色に変わる
「風か⋯」
「南風」
「ぽかぽかしますね。」
「オリザ。がんばれ。」
西の森から白い光の柱が立った
「店長です!ほらあれ!店長の魔力です!」
興奮して立ち上がる
「ああ、西が加勢してる」
「西さん、凄いです。オリザと波長を合わせるなんて、双子の私でも出来ません。」
「失敗して会議室の壁吹き飛ばした案件な」
「まあ、そのおかげで町一番の広い会議室が出来ましたから。」
「5階大会議室ですね。」
「ん!?鼻腔がムズムズしてきた!鼓膜が痒い!」
気圧変化だ 冒険さん人族だけどほぼ犬だからね
「空が変わるぞ」
黒い雲 灰色の雲 星空
「キレイですね」
あ 急にボリルの波長が伝わってきた 興奮してる?ピョンピョン跳ね回ってるのかな 楽しんでる あれ?歌ってる?
目を閉じて耳を塞ぎボリルの波長に集中
ああ 歌ってる オリザさんと店長の声は聞こえない これが南風魔法
『ミナミカゼヨツタエテ アフレルオモイ ホシゾラノカナタマデ』
黒い空が満点の星空に変わった
ワイルドボアを脱ぎ
心地よい南風に包まれた
~グルコと南風 完~
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そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
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ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします
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異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは
――〈ホームセンター〉
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気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。
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異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
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ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
家族転生 ~父、勇者 母、大魔導師 兄、宰相 姉、公爵夫人 弟、S級暗殺者 妹、宮廷薬師 ……俺、門番~
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三好家は一家揃って全滅し、そして一家揃って異世界転生を果たしていた。
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ただ、三好家第三子の神太郎だけは異世界において冴えない立場だった。
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【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
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世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
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異世界で大往生した私、現代日本に帰還して中学生からやり直す。~最強の補助魔法で、冴えないおっさんと最強美女を操って大金持ちになります~
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おっさんを裏から魔法で強化して『カリスマ社長』に仕立て上げ、 美女をフルバフで『人間兵器』に変えてトラブルを物理的に粉砕。 表向きはニコニコ笑う美少女中学生、裏では彼らを操るフィクサー。
「さあ善さん、リオちゃん。稼ぎますよ。すべては私の平穏な老後のために!」
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※【隠れ居酒屋・越境庵】は隔週更新です。
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