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第二十五話
グルコと機織り機
しおりを挟む「俺は行かない」
町の外れのナナフシ薬局/我が家
「えー行こうよー」
白いファーが付いたワイルドボアの毛皮のコート
「ドロイさん、肩周り大丈夫そうですね。」
「うん。動きやすいよ」
腕をグルングルン回して嬉しそうな顔
「グルコさんも、試着だけでもいかがですか?」
「嫌です。これを着たら強制的に転移されますよね?」
「着なくても転移できるよ?」
ボリルまで
「なんで嫌なの?」
真冬でも薄着だったクセにカッコよく着こなしちゃって
「なんで俺を誘うの?」
「オトリ?」
ほらね
「グルコも北の森行こうよ」
聞いてた?オトリだよ?
うふふ「ボリルさん、とてもお似合いです。」
うふふ「ありがとう~」
「萌え~~」
「商業さん、因みにオトリの仕事って何なんですか?」
「森の奥でこれを着て立ってるだけで報酬が貰える簡単なクエストです。」
「ワイルドボアの毛皮ですよね?」
ジャジャジャジャーン
「なんとリバーシブル!
ゴライアス亜種の皮で作りました!
薄くて軽くて伸縮性があり防腐剤の効果で防風防寒に期待大!」
「カエルですね」
「生臭い」
ボリルは鼻が利くからね
「その臭いに釣られて出てきた山神蜘蛛を僕とボリルが討伐するよ」
「カエルが大好物だそうです。」
こんな阿呆な計画
「誰が発案したんですか?」
「ミンクさんです。」
ありえない
「蜘蛛に蜘蛛猟りの相談したんですか?」
「はい。餅は餅屋と言いますし。」
それは違うだろ
「オトリ役、別の人でも良いでしょ?」
「ゴライアスの皮がグルコさんのイメージにピッタリだったんです。」
わけわからん
〈ペンッ〉
「アタシが行くよ」
「店長」
「西さん」
「アタシがあんたに発注した蜘蛛ぐるみの素材だろ?」
「はい。素材が足りなくて討伐クエストを依頼しに参りました。」
「南の森の支援はまだまだ必要だからね。記念品目当ての寄付でも助かるよ」
「はい。及ばずながら尽力させて頂きます。」
「グルコは雪道を歩くのに慣れてない。オトリは難しい。アタシが上手くやってやるさ」
「ありがとうございます。」
詠唱「オーダーメイド」
カエルのコートが白く仄めく
「よし。ピッタリだ」
〈おお~〉
《パチパチパチパチパチパチ》
何の拍手だ
〈ペンッ〉
「風邪ひきは大人しく寝てな」
あ バレてる
「ハイハイ」
シンケー領の中で西の森は最も雨量が多い
今年は裏の年 さまざまな厄災に見舞われる年
王都が梅雨入りを発表する前からここは長雨
重めの神経痛と体調不良がやんわりと続く中
先日 豪雨災害の支援活動に参加し ついに風邪をひいてしまった
ポーションや薬を飲むほど悪化しない 微熱が続くしつこいタイプの風邪だ
ボソッ「強制的に完治させるか」
仕方なくお高い上級ポーションを飲んだ
「グルコ、大丈夫?」
ズナが覗きこんでる
「うん。暇だから寝てるだけだよ。何かあった?」
起き抜けの神経痛も倦怠感もない 上級ポーションが良く効いた
「横の糸の色を変えたいの」
「そっか。備忘録で調べてみようね」
「うん」
ズナは家の周りの森を探検したり ボリルのおもちゃで遊んだりしない 何かを作る生産に拘る感じだ
働きシロアリだからなのか性格なのかわからないが 本人がやりたい事を自由に選べる環境を作りたい
今は機織り機に興味を持っている
「これは、難しいな」
「文字ばっかり」
備忘録に載ってる機織り機の使い方は図解が無くてわかりにくかった
「あのさ、ズナは知らない人に教えて貰うのダメかなぁ?」
「誰?」
「この機織り機を売ってくれたおばあちゃん」
「嫌われるかも」
相手が自分を受け入れるかどうかを心配してるんだ
「じゃあさ、コッソリ見学してみるのはどうかな?」
「コッソリ?」
「うん。俺の肩に乗ってコッソリ見学するんだよ。髪に隠れるくらいになれる?」
「できる!」
「そっか。そしたら、おばあちゃんに来て貰って、この機織り機で実演して貰おう」
「うん!」
〈アーブクタッターニエタッターアーブクタッターニエタッター〉
〈オギャー オギャー オギャー〉
「おーい、手紙だぞぉ」
〈オギャー オギャー オギャー〉
「お~よしよし、よしよし」
〈オギャー オギャー〉
「もぉー、父さん、抱きグセ付くから」
「可哀想だろが。お~よしよし」
〈あぶぅーあぶぅー〉
「全く」
「おばあちゃん宛だわ」
「あら」
「まあ」
「誰からだ?」
〈オギャー オギャー オギャー〉
「ナナフシ薬局のグルコさん」
〈オギャー オギャー オギャー〉
「え?誰だって?お~よしよし」
〈あぶぅーあぶぅー〉
「おばあちゃんの友達よ」
「ふーん」
〈あぶぅーあぶぅー〉
〈コンコン〉
「おばあちゃん起きてる?」
「入るよぉ」
「お手紙届いたわよ」
「おや。珍しいね」
[お世話になっております。
お孫さんと楽しくお過ごしでしょうか?
おばあちゃんにお譲りいただいた機織り機の事でご相談があり手紙をお送りしました。
実は使い方がわからず困ってます。
良い教材がございましたらお借りしたいと思います。
とりあえず、用向きまで
ナナフシ薬局 グルコとズナより]
「教材は無いわね。取説も完全じゃなかったし」
「ん?何?」
「商業ギルドに卸した機織り機、グルコさんが買ったのよ」
「マジ?」
「あんな古い物が売れたの?」
「うん。購入者が取説探してるってギルマスから連絡が来てね。面倒くさいから直接やり取りしますって伝えたらグルコさんだったの」
「あの人ほんと変わってるわよね」
「まだ独身なんでしょ?」
「姉さん達もね」
ハッハッハッ《そーだったぁ》
「ねえ、おばあちゃんが直接教えてあげたらどうかしら?」
「あら、いいわね」
「足のリハビリも終わったし。ちょうど良いわ」
「うーーーーーん」
「おばあちゃん?」
「どうしたの?」
「どこか痛む?」
「ズナって誰かしら?」
〈ピカッピカッピカッ〉
「はい、ギルマス執務室です。」
〈あ、サブマス、受付です。ギルマスに緊急クエストの許可を貰いたいんですが。〉
ふあぁ「お~ど~したぁ~」
〈また昼寝してたんですね。あ、ちょっと〉
〈北の森が大変です!〉
「んー?アンタ誰?」
〈森林組合北の森支部チノです!〉
「チノさん、何があったんですか?」
〈ゴライアスがスタンビートしました!〉
「なにそれ?」
「確か⋯⋯。」
〈カエルですよカエル!いがすでっかいカエル!〉
「カエル?それ、南の森の間違いじゃないの?」
「北の森のカエルはまだ冬眠してるでしょ?」
〈だから!大変なんですってば!〉
「カエルが大変なのか?」
「チノさん、ギルマスが現場に臨場するので案内出来ますか?」
〈はいっ!〉
「お前勝手に」
コソリ「奥さん、受付で聞いてますよ?」
コソリ「マジか」
〈あの、冒険者達にクエストは?〉
「出さなくて良いです。」
「よし!すぐ向かおう!」
ボソッ「今更張り切っても遅いのに。」
シンケー領 北の森 標高が高い北側は一年中雪に覆われている
〈ブフォーブフォー〉
「ボリル、どんなだ?」
「んーーー」
探索魔法陣をカマクラの入口にズラリ
「全部反応してる」
チッ「また見つかったか。しつこい」
〈ブフォーブフォー〉
〈ブフォーー〉
《ブフォーーーーー》
「もぉー踏まないでよぉー」
デカイ長毛の獣が魔法陣を踏み散らしのっしのっしと横切って行った
「群れで移動か」
「ばっちゃん、山神蜘蛛の代わりにゾムじゃダメかな?」
「腐るほどいる。邪魔」
イライラ
「ゾムは保護対象だ。討伐禁止だ」
「このファー、ゾムだよね?」
「抜けた冬毛だ」
「あ。来たかも」
《ゲッ》
「ばっちゃん、カエルって雪でも動けるの?」
「知らん。とにかく森を登るよ」
「あ。来ちゃった」
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ》
「早い。凄い数いそう」
森の木々から見え隠れするデカイカエル達
「倒しちゃおうよぉ」
蹄に攻撃魔法陣を出す
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ》
「ボリル、ダメだよ」
〈プシュー〉
ドロイが軽くいなして魔法陣を消した
「もぉ~、逃げてばっかでつまんな~い」
チッ「どこのどいつだ!カエルを保護対象にした奴は!」
「シンさんだよ。多分」
「クソッ!あのスットコドッコイめ!」
「ねー、カエルと隠れんぼ飽きたぁ~」
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ》
「あ」
「おっ」
「山神蜘蛛だ!」
チッ「やっとお出ましか」
「こんな高地に居たんだね」
《キシューキシューキシュー💢》
「あれ?」
「カエル食べに来ない」
カマクラを挟んで睨み合いが始まった
「前門の蜘蛛、後門のカエル」
「ぜんもん?」
「何それ?」
「今度教えるよ」
《うん。待ってる》
《キシューキシューキシュー💢》
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ💢》
「蜘蛛が出たのにカエルが逃げないね」
「だな」
「怒ってるみたい」
「この隙に逃げよう」
「え~なんでぇ~」
「数が多すぎるよ。どっちも荒れてるから危険だよ」
「え~」
イライライライラ
チッ「手ぶらで帰ってたまるかっ!」
子供のカエルがカマクラから飛び出す
「蜘蛛1頭!殺るよ!」
「やったぁ!」
「もぉー」
「で、ここで踏み込むの」
〈ギィー〉
「わっ!出来た!」
うふふ「ズナちゃん、ほんと筋が良いわ」
「おばあちゃんの教え方が上手なの!」
「ありがとう~」
〈ギィー バッタン ギィー バッタン〉
機織りをするデカイシロアリ
その横にちょこんと座るおばあちゃん
シロアリの背中に細い腕を当てポンッと優しく叩く
叩くタイミングに合わせ踏み込む
〈ギィー バッタン ギィー バッタン〉
「教材貸してなんて遠回しに言わなくても良かったのに」
「万が一にも工房長が目にしたらご迷惑がかかるでしょう?」
「まあ、そうね」
「あ、そうそう。おばあちゃんの血流改善の薬、先週注文が減ってましたけど、これ以上は減らさないでくださいね。増やすのもダメですよ」
「あら、ダメなの?」
「副作用が出ます。おばあちゃんの場合は年単位で減らしましょう。半年後に問診にお越しくださいね」
「あなた、薬剤師みたいね」
「と、店長からの伝言ですよ」
「わかったわ。うちの者にも周知するわ」
「お願いします」
〈ギィー バッタン ギィー バッタン〉
「薬品工房がよその薬局から買ってるなんて、世間体が悪いかしらね」
「そーいうこともありますよ」
「あなたには助けて貰ってばかりだわ」
「こちらこそです。わざわざお越し頂きました。ズナも受け入れて貰えて嬉しいです」
「あの一瞬は昔の虫取り名人に戻ったわね」
そうなのだ
挨拶をした時 俺の顔を見てなかった 首筋に強い視線をおくり
「その子がズナちゃんかしら?」
と 髪の毛に潜ったズナを簡単に発見したのだ
「小型化の見抜きも一瞬でしたね」
「おばあちゃんのスキル、虫取り名人は現役だったわね。昔、デカイ亜種好きで有名だったのよ。私はおばあちゃんの影響を受けて育ったの」
「それで南の森で働いていたんですね」
「楽しかったわ」
「山神信仰の厚い世代は、特に白くてデカイ生き物を大切にしますよね」
「畏怖の念」
「それです」
「ところで。グルコさんは今お幾つかしら?」
お これはあれだな
「26歳です」
「隠し子は?結婚相手は?」
そらきた
「いません。結婚の予定も無いです」
うふふ「うちの姉、次女と同い年よ?」
「工房長に殺されますが?」
「孫に夢中で娘なんか眼中に無いわよ」
それは違う 娘あっての孫可愛さだ この人は若い 親になったばかりだ
「ナナフシ薬局が愛しいので、まだ結婚しませんよ」
「むうぅー。女房より仕事を取るタイプかぁ。姉達は情熱的な殿方が良いらしいから無理ね」
「あ。マルサに情熱的で良さげな殿方が居ましたよ?」
「誰かしら?」
え 言ってわかるのか?マルサだぞ
「背丈は俺ぐらい、細マッチョで元気な口調で、髪の色はブルーグレー?かな」
「あー。口が悪くて血の気が多い奴ね。母親と二人暮らしなのよね。知り合いなの?」
マルサに詳しい工房ってどんだけ?
「いえ、査察の時、俺の提出した帳簿への質問がやたら鋭かったんですよ。それに正義感が程良い感じでした。彼は商売人に向いてますね」
「そうねー。男性から見て間違いなければ良い人ではあるのよね?」
「女癖とかはわかりませんけどね」
「それは興信所に頼めばすぐわかるから」
「なるほど」
「商業さんに仲介して貰おうかしら」
「まず食事会とか大勢の集まりからですね」
「それもそうね。あなたも婚活すれば?」
「んーーーーーーー。」
クスッ「今はお仕事が楽しいのね?」
「ハイ」
「お仕事楽しい~~」
〈ドカーン ドカーン ドカーン〉
《キシュー💢》
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ》
「ボリルッ!」
詠唱「岩の上にも三千年!」
「無駄打ちダメ!」
「は~い」
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ》
「ばっちゃん逃げて!魔法が跳ね返る!」
「蜘蛛ども!カエルを殺れ!」
詠唱「踊るマリオネット!」
《キシュー💢💢💢》
チッ「跳ね返した!」
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロゲロ》
《キシューキシューキシュー💢》
「ばっちゃん!なんでこんなに跳ね返るのさ!?」
詠唱「涅槃にて待つ!」
《キシュー💢💢💢》
「知らんわっ!」
詠唱「おやすみマーヤ」
《ゲロゲロゲロ💢💢💢》
キャッキャッ「カエル強~い」キャッキャッ
「来い!カエル!」
詠唱「風と共に去りぬ!」
《ゲロゲロゲロ💢💢💢》
「上級魔法も弾いたっ!?」
〈ドカーーーーン〉
「やべっ」
「ばっちゃん!」
〈ゴゴゴゴゴォー〉
「雪崩!」
詠唱「人生の壁!」
詠唱「お庭から出ちゃダメ~」
詠唱「強風圧!猛風圧!暴風圧!」
《キシューーー💢》
《ゲロゲロゲロ💢》
「前門の雪崩!後門のカエル蜘蛛!」
「何それ!」
「今度教える!」
「あ」
《ボリル何!?》
「誰か来た」
《誰!?》
「お~い、生きてるかぁ~」
〈ブフォー〉
ゾムに跨ってのそりのそり
「シン坊!」
「おう。とりあえず雪崩止めるなぁ」
詠唱「どすこ~いどすこ~い」
手のひらに出した大きな魔法陣 雪崩の壁に張り手を食らわした
〈ゴゴゴォー⋯〉
「と、止まったのか?」
詠唱「雪かきサイコー」
〈ボテボテボテボテボテボテ〉
うず高い雪の壁から大きな塊が高台へ消えてゆく
「か、壁が」
「元の場所に戻したんだよ」
詠唱「私をスキーに連れてって」
雪崩が山肌に整地された
「これでよし」
「流石だな!」
「シンさん凄い!」
「あ」
《キシューキシューキシュー💢》
《ゲロゲロゲロゲロゲロゲロ💢》
静かに警戒態勢を保っていたが再び動き出す
「アタシ達の攻撃は弾かれる!」
「そーかそーか」
詠唱「調子に乗ってると足をすくわれるよ」
《キシュー💢》
《ゲロゲロゲロ💢》
「あれ?弾いちゃった?」
「シンさんの魔法も!?」
「わぁ~強いねぇ~」
〈ジリジリジリジリジリジリ〉
「囲まれた」
《キシュー💢》
《ゲロゲロゲロ💢》
「なんだコイツら」
〈ジリジリジリジリジリジリ〉
「シン坊、逃げるよ」
「そ、そーだな」
「蜘蛛を1頭連れてけ!」
「おうっ」
詠唱「お手々繋いで帰りましょ」
〈キシュッ💢💢💢〉
「捕らえたっ!」
後ろ足を掴まれ逃げようと暴れる
「行くぞ!」
全員ガチムチの背中に触れる
詠唱「三十六計逃げるに如かず」
〈ボンッ〉
北の森神社
〈クンクンクンクンクンクンクンクン〉
「すっげぇ生臭い。鼻がもげるわ」
「ギ、ギルマス、西代表に失礼ですよ。」
〈クンクンクンクン〉
「原因はにったんね」
〈ズズズー〉
「どーいう事だい?」
〈ズズズー〉
ふぅ~「あったまるぅ~」
〈パクッ〉
「熱っ 熱っ」
「ポタージュは熱いのでボリルさまは冷めてからね」
「うん」
「その毛皮。亜種の繁殖臭がプンプンしてるわ」
〈クンクンクンクン〉
「わからん」
「人族には分からないわね。普通」チラッ
「オレは百%人族だぞ」
「ギルマスのスキル、犬だからですよ。」
「そーか」
「カエルはその繁殖臭に刺激されて魔力暴走したのよ」
「あのカエル、そんなに強い魔力があるのか?私の魔法を弾いたぞ」
「んー。裏の年だから。色々いつもと違うんじゃないかなぁ」
〈ズズズー〉
ふぅ~「山神蜘蛛も弾いた」
「にったんの魔法を?」
「ああ」
「そっかぁ。今年は山神の峰の魔力が不安定過ぎるの。魔獣達もおかしな影響を受けてるのかもね」
「そーなのかい?アタシには感じ無いよ」
「ユガがずっと神社に籠って祈祷魔法をしているからだよ」
「それでそんなに肥えたんだね」
「ドロイ正直」
「シン坊、食わせ過ぎだろ」
「これは祈祷魔法の副作用よ。あれ?」
「どーした?」
「いつものペンッてする頭が見当たらないわ」
「グルコは留守番だよ」
チェッ「今こそ八つ当たりの出番だったのに」
〈アーブクタッターニエタッターアーブクタッターニエタッター〉
「ナナフシ薬局からだわ」
ハッハッハッ「噂をすればだな」
[ユガさんお元気ですよね。
店長が寄ると思うので、
“北の森のお土産は小さい雪だるま”
と伝えてください。
グルコより]
「何これ酷い」
「グルコ君、呑気過ぎて笑えないな」
「いや多分、雪だるまをズナに見せたいんだろ。ボリル、持って帰っておやり」
「うん!」
「ふーん。あたしもズナさんに会ってみたいけど、まだしばらくは神社から離れられないわ」
「強い魔力持ちが集まったから今夜の祈祷魔法は大変だな」
「乱してすまなかったね」
「気にしないで。退屈してたから」
「話し相手に魔力無しのグルコを寄越そうか?」
ピシャリ「いらないわ」
「グルコ君は口煩いから淋しくないぞ?」
ピシャリ「いらないわ」
「ダイエット食を作ってくれるよ?」
ピシャリ「あんなガリガリになりたく無いわ」
「それもそーだなぁ」
《ワッハッハッハッハッハッ》
〈ブエックショイッ!〉
「グルコ、大丈夫?」
「悪口言われた」
「そっか」
〈ギィー バッタン ギィー バッタン〉
「ズナ、そろそろ夕飯にしようか?」
「うん。あと3列ね」
〈ギィーバッタン ギィーバッタン ギィーバッタン〉
「よし」
「早くなったね」
「うん。先生のおかげだよ」
おばあちゃん
ズナに先生と呼ばれて昔の機織り教室を思い出した
帰る頃には ぼんやりと気の抜ける時間がなくなっていた
うふふ「先生、昔は働き者だったって」
「ズナも働き者だね」
「うん!お仕事大好き!」
「そっかぁ~」
ボリルとズナが嬉しそうにお仕事大好きと言うと 俺もまだまだ頑張るぞってなるよな
「健康1番、お仕事2番」
「あら?」
「先生に教わったの」
「良い先生だね」
「うん。大好きになったよ」
色々な経験をと思ったけど 素敵な出会いが肝心だよな
この子は運が良かった
機織り用の染糸 商業ギルドで取り寄せよう
そして この子にも口座を作ってあげよう
「ズナ、シロアリの個体差ってどこなの?」
「個体差ってなあに?」
「人族はほら、指紋。この線の形は同じ人がいないんだよ。
ボリルは鼻紋、お鼻のシワの形。こーいうのがシロアリも何かあるかな?」
「んー。ズナはね、働きシロアリだけど複眼も単眼もあるでしょ?誰とも違うよ?」
「そっかぁ。瞳かぁ」
「あとはねー、魔力。誰とも違うよ?」
触角をふりふり
人族や獣人族がするように魔力測定で個体差が確認出来るなら証明書とかの登録は可能だな
「ズナの口座作るの?」
「お、バレちゃいましたね~」
「ボリルに見せて貰ったの。ステキだった」
「ズナにも作れるように頑張るね」
「うん。よろしくね」
仕事が楽しいというより この子達との暮らしが楽しいんだよね
そうこうしてるうちに婚期がどんどん遅れちゃうんだろうね
老後の為にも俺も婚活しないとだなぁ
~グルコと機織り機 完~
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