23 / 43
第23話 役所で調べろ
しおりを挟む
「生きていくのに必要な授業と言ってほしいね。そのまま仕事に直結することを学んでいるんだからさ。にしても、今の問題はあの廃校の奴だよ。おかげで丁度よく親父に仕事を押し付けられたのはいいけどな」
「なるほど。サボりか」
「まあね。この暑さだ。サボりたくもなる。って、違うんだよ。変な奴だったら困るだろ。一応俺、青年団のリーダーだしさ。変な奴だと噂されているんだったら、ちゃんと真相を突き止めておくべきだと思うんだよ」
「ほう、青年団か。それもリーダー。そいつはご愁傷様」
「いやいや、何でだよ。憐れまれる要素は何一つ存在しないから。それに楽しいぜ、青年団」
「嘘吐け。面倒な、そしてどうでもいい会合ばっかりやってるんだろ」
「なんだとう。バーベキュー大会だってあるんだぞ。たまに花火もやってるぞ」
「あのう」
二人に会話をさせていると延々漫才のようなやり取りが続いてしまう。仕方なく、一番年下の悠人が止めに入る。
「ああ、悪い悪い。久々だからついね。楽しくなっちゃって。それにこいつの偏見がひどいからな。青年団を舐めるなよ。でだ、変な奴だったら困るって話だよ。それに町の小学校なんだから、何をしているのか。ちゃんと知らせてもらわないとね」
「ということは、許可は取っていないのか。そんなことはないだろう」
「ううん。そこは確認していなかったな。でもさ、行政には許可を取ってるのかもしれないけど、挨拶に来ないかね、普通」
「都会の人なのかもね。そういう挨拶が必要ないと思っているのかもしれないよ」
青年団に挨拶なんて、悠人も思いつかない。ということは、利用している人も大都会から来たのならば挨拶には行かないだろう。
「そこは、解らんかなあ。というか、指導しないんだろうか。許可した奴。挨拶回りはしなさいよって常識だろ」
「郷に入っては郷に従えと言うが、挨拶をどこにすべきか悩んでいるのかもしれないだろ。田舎の人間関係なんて、外から見たら全く解らないものだ。それより、まずは役所に行って調べるべきだな。利用申請が出ているのかどうか。出ていなければ怪しい奴だろうけど、おそらくそういう手続きはちゃんと済ませているはずだ。水道や電気を使用するにも、手続きを踏んでいないとどうしようもないからな。掃除が出来たということは、それらがすでに使用できる状態になっているということだろう」
「なるほど、さすがはT大学院生。頭の出来が違うぜ。そうだな。よし、昼にでも行ってくるか。役所に親戚が勤めているから、すぐに解るはずだ」
ようやく具体的になってきたなと、悠人もそれでほっとする。しかし、一体何をやっているのやら。しばらくイートインスペースで見張っていたが、沙希が言っていた特徴に合致する人はやって来なかった。
「今日は来ないのかもな」
「まあ、確かに毎日いるとは限らねえか。というか、活動しているのは夜らしいし。いや、夕方なのかな。どっちにしろ、昼飯が毎日必要かどうかは不明だよな」
目当ての人物は現れず、お昼時になるにつれて混んで来たこともあり、三人は一応買い物していないかと店内を一周して、それでも見つからずに撤退することに決めたのだった。
「お昼は冷麺よ」
「あっ、はい。いただきます」
家に戻ると、沙希が昼食に冷麺を用意して待っていた。さっきラーメンを食べたばかりだが、悠人はちゃっかり食べる。だが、選択をミスしたなとは思った。中華麺が連続する。それでも、味も食べ方も全く違うから苦にはならない。でも、うどんにしておけばよかったと後悔してしまう。
しかも高校生だからと思ってか、麺が大盛だった。横に座った和臣はようやく食べることが出来るようになったのか、冷麺はずずっと一気に食べていた。それでも、和臣の皿に載っていた量は悠人の半分ほどだったが。ひょっとすると、和臣の分の半人前が悠人の皿に移動していたのかもしれない。困ったものだ。
「で、どうだい。調査は。進んだのか」
麦茶を美味そうに飲みながら、信明がにやにやと訊いてきた。和臣が積極的に動いているとあって、面白くなってきたらしい。悠人としても、これほど和臣が協力してくれるとは思っていなかったから、意外な気はしていた。
「今日の昼に、宮本が役所に利用許可が出ているか確認に行ってくれる。そうすれば誰がどういう目的で利用をしようとしているのか、一気に解るよ」
しかし、和臣の答えは素っ気ない。すぐに解決するだろうと、もう興味を失くしてしまったかのようだ。まあ、朝もすっかり忘れていたから、ずっとこの問題を考えているわけではない。志津が絡んでいたから気になっただけなのだ。しかし、それも頭を悩ませるほどのことでもないと考えているのだろう。
「なあんだ。最終的にはお役所で確認か。こう、金田一耕助とか明智小五郎みたいに解決するのかと思ったのに」
「馬鹿馬鹿しい。それほど謎でもないし、大騒ぎるするほどのことでもない」
「おっ、そうなのか」
「仮説としては三つある。まあ、使用者が解れば解決だよ」
どういうことだと食いつく信明に、和臣は待っていれば解ると教えてくれない。そう言えば、朝の段階でも解っていた感じだったし、何なのだろう。でも、雑草が生えっ放しなのはおかしいと感じているようだったけど。なぜそんなに簡単に納得する答えが見つかったのか。悠人も思わず和臣を見るが、和臣はずずっと麦茶を飲んで相手にしてくれない。
「なるほど。サボりか」
「まあね。この暑さだ。サボりたくもなる。って、違うんだよ。変な奴だったら困るだろ。一応俺、青年団のリーダーだしさ。変な奴だと噂されているんだったら、ちゃんと真相を突き止めておくべきだと思うんだよ」
「ほう、青年団か。それもリーダー。そいつはご愁傷様」
「いやいや、何でだよ。憐れまれる要素は何一つ存在しないから。それに楽しいぜ、青年団」
「嘘吐け。面倒な、そしてどうでもいい会合ばっかりやってるんだろ」
「なんだとう。バーベキュー大会だってあるんだぞ。たまに花火もやってるぞ」
「あのう」
二人に会話をさせていると延々漫才のようなやり取りが続いてしまう。仕方なく、一番年下の悠人が止めに入る。
「ああ、悪い悪い。久々だからついね。楽しくなっちゃって。それにこいつの偏見がひどいからな。青年団を舐めるなよ。でだ、変な奴だったら困るって話だよ。それに町の小学校なんだから、何をしているのか。ちゃんと知らせてもらわないとね」
「ということは、許可は取っていないのか。そんなことはないだろう」
「ううん。そこは確認していなかったな。でもさ、行政には許可を取ってるのかもしれないけど、挨拶に来ないかね、普通」
「都会の人なのかもね。そういう挨拶が必要ないと思っているのかもしれないよ」
青年団に挨拶なんて、悠人も思いつかない。ということは、利用している人も大都会から来たのならば挨拶には行かないだろう。
「そこは、解らんかなあ。というか、指導しないんだろうか。許可した奴。挨拶回りはしなさいよって常識だろ」
「郷に入っては郷に従えと言うが、挨拶をどこにすべきか悩んでいるのかもしれないだろ。田舎の人間関係なんて、外から見たら全く解らないものだ。それより、まずは役所に行って調べるべきだな。利用申請が出ているのかどうか。出ていなければ怪しい奴だろうけど、おそらくそういう手続きはちゃんと済ませているはずだ。水道や電気を使用するにも、手続きを踏んでいないとどうしようもないからな。掃除が出来たということは、それらがすでに使用できる状態になっているということだろう」
「なるほど、さすがはT大学院生。頭の出来が違うぜ。そうだな。よし、昼にでも行ってくるか。役所に親戚が勤めているから、すぐに解るはずだ」
ようやく具体的になってきたなと、悠人もそれでほっとする。しかし、一体何をやっているのやら。しばらくイートインスペースで見張っていたが、沙希が言っていた特徴に合致する人はやって来なかった。
「今日は来ないのかもな」
「まあ、確かに毎日いるとは限らねえか。というか、活動しているのは夜らしいし。いや、夕方なのかな。どっちにしろ、昼飯が毎日必要かどうかは不明だよな」
目当ての人物は現れず、お昼時になるにつれて混んで来たこともあり、三人は一応買い物していないかと店内を一周して、それでも見つからずに撤退することに決めたのだった。
「お昼は冷麺よ」
「あっ、はい。いただきます」
家に戻ると、沙希が昼食に冷麺を用意して待っていた。さっきラーメンを食べたばかりだが、悠人はちゃっかり食べる。だが、選択をミスしたなとは思った。中華麺が連続する。それでも、味も食べ方も全く違うから苦にはならない。でも、うどんにしておけばよかったと後悔してしまう。
しかも高校生だからと思ってか、麺が大盛だった。横に座った和臣はようやく食べることが出来るようになったのか、冷麺はずずっと一気に食べていた。それでも、和臣の皿に載っていた量は悠人の半分ほどだったが。ひょっとすると、和臣の分の半人前が悠人の皿に移動していたのかもしれない。困ったものだ。
「で、どうだい。調査は。進んだのか」
麦茶を美味そうに飲みながら、信明がにやにやと訊いてきた。和臣が積極的に動いているとあって、面白くなってきたらしい。悠人としても、これほど和臣が協力してくれるとは思っていなかったから、意外な気はしていた。
「今日の昼に、宮本が役所に利用許可が出ているか確認に行ってくれる。そうすれば誰がどういう目的で利用をしようとしているのか、一気に解るよ」
しかし、和臣の答えは素っ気ない。すぐに解決するだろうと、もう興味を失くしてしまったかのようだ。まあ、朝もすっかり忘れていたから、ずっとこの問題を考えているわけではない。志津が絡んでいたから気になっただけなのだ。しかし、それも頭を悩ませるほどのことでもないと考えているのだろう。
「なあんだ。最終的にはお役所で確認か。こう、金田一耕助とか明智小五郎みたいに解決するのかと思ったのに」
「馬鹿馬鹿しい。それほど謎でもないし、大騒ぎるするほどのことでもない」
「おっ、そうなのか」
「仮説としては三つある。まあ、使用者が解れば解決だよ」
どういうことだと食いつく信明に、和臣は待っていれば解ると教えてくれない。そう言えば、朝の段階でも解っていた感じだったし、何なのだろう。でも、雑草が生えっ放しなのはおかしいと感じているようだったけど。なぜそんなに簡単に納得する答えが見つかったのか。悠人も思わず和臣を見るが、和臣はずずっと麦茶を飲んで相手にしてくれない。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
沢田くんはおしゃべり
ゆづ
青春
第13回ドリーム大賞奨励賞受賞✨ありがとうございました!!
【あらすじ】
空気を読む力が高まりすぎて、他人の心の声が聞こえるようになってしまった普通の女の子、佐藤景子。
友達から地味だのモブだの心の中で言いたい放題言われているのに言い返せない悔しさの日々の中、景子の唯一の癒しは隣の席の男子、沢田空の心の声だった。
【佐藤さん、マジ天使】(心の声)
無口でほとんどしゃべらない沢田くんの心の声が、まさかの愛と笑いを巻き起こす!
めちゃコミ女性向け漫画原作賞の優秀作品にノミネートされました✨
エブリスタでコメディートレンドランキング年間1位(ただし完結作品に限るッ!)
エブリスタ→https://estar.jp/novels/25774848
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる