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第18話 真摯なアドバイスこそ処方箋
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「何度か拝見しています。その、とても綺麗なイラストで」
「いえいえ。まあ、座って。そうだな、薬師寺さんの横がいいかな。それと、君のツイッターのアカウントを教えてもらえるといいんだけど」
「は、はい」
今まで見たことがないほど笑顔とはきはきした声で答えると、唯花はまずスマホを取り出して潤平とツイッターのアカウントを交換していた。
「ああ。このイラストだったら見たことがあるよ。花をモチーフにしている人だ。これ、いい絵だね」
そして潤平はすぐにツイッターに載っているイラストを確認して頷いた。すると、唯花の顔が真っ赤になる。
「それで、応募したコンテストってどんなものかな」
「あ、はい。大手出版社が主催しているものなんですけど、これです」
唯花はすぐにスマホを操作して、ホームページを表示した。それは誰もが聞いたことがある出版社の主催しているコンテストの応募要項だった。
「ああ、ここか。なるほどね。そこで最終まで残っているのか。そりゃあ凄いよ。なかなかのものだ」
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる唯花に、潤平はにこっと笑いつつも目は鋭い。それはこれから先の覚悟もあるのか。それを見定めるかのようだった。
「はっきり訊くよ。受賞してもそれが総てじゃない。君はそれがスタートラインであることは解ってるかい」
「えっ」
「そこで評価されたら後は安泰、じゃないってことだよ。ただプロとしてスタートを切ることが出来たっていうだけだ。そこから先は多くのプロと張り合っていかなきゃいけないんだ。その点は覚悟しているかい」
「――」
いきなり鋭い切り口で言ったな。桂花ははらはらとしてしまう。しかも、そこで安心しては駄目だと活を入れているのだ。そして、そのくらいの覚悟がなければ決断してはいけないと言っているようで、何だか怖い。桂花は大丈夫だろうかと心配になってしまう。しかし、法明は総てを潤平に任せるつもりのようで、ストップをかけることはなかった。
「正直言って、新人で賞を取ってデビューしたはいいものの、そこで終わる奴なんて山ほどいるんだ。そこをまず理解した上で、今後のことを決めていかなければなければならないよ。特に、ご両親が好きにしなさいと言っていないのならば尚更ね。自分の判断は大きな責任を伴うことを忘れちゃ駄目だ」
「で、でも」
好きなことをできればいいじゃないか。唯花はそう訴えたいのだろう。しかし、それは潤平が待ったと手を翳したことで口に出せなかった。
「かくいう俺も、保険のためにある程度の大学に入ったし、他の可能性ってのも考えたものだ。それに今が成功しているからといって、それが続くわけじゃない。どこかで筆を折ることになるかもしれないし、スランプだってあるんだ。ものすごく長い停滞期に入ったらどうしようっていう心配は俺だっていつもしている。だから、どういう形であれ逃げ道を用意することも大切かな」
「えっ」
悪戯っぽく笑った潤平に、唯花だけでなく桂花も驚いてしまう。逃げ道を用意しろ。そんなアドバイスをするとは思ってもみなかった。むしろその逆で、てっきり逃げ道なんてないんだぞと脅すのかと思っていた。
「だって、まだ高校生だろ。人生何が起こるか解らないんだよ。全部を決めてしまうには、まだまだ視野が狭いんだって自覚しておいた方がいい。俺は頑固だから逃げ道を用意しつつも、絶対にイラストレーターで一生食っていくんだって思っているけど、それでも、もしもの可能性を考えておくようにしているんだ。これも重要なポイントだね」
「あっ、そうか」
色んな可能性を考えなきゃいけない。このことは唯花には抜けていた部分だったのだろう。目から鱗が落ちたような顔になる。
「だから進学はすべきだろうね。それも絵やイラストに関係ないところがいい。これが視野を広げるのに一番の方法だよ。それに知識を増やすことはイラストを描いていくうえでもメリットがある。新しい発見はそれだけ新しい絵の閃きを与えてくれるからね。その上で、イラストの仕事をプロとして受けていくかを考えるべきだね。でも、最終的にはさっき言ったことまで考えなきゃいけない。ずっと新しいものを生み出すのは大変なことだし、これからは商売にしていくってことだと、それは理解しておくべきだ。好きなことをやっているはずなのに、大嫌いになるくらいに辛い時がある。それもしょっちゅうあるんだからね」
潤平の真摯なアドバイスに、唯花の顔はとても真剣だった。そして、その目にはここに来てから見たことがないほどの強い力が宿っていた。
「いえいえ。まあ、座って。そうだな、薬師寺さんの横がいいかな。それと、君のツイッターのアカウントを教えてもらえるといいんだけど」
「は、はい」
今まで見たことがないほど笑顔とはきはきした声で答えると、唯花はまずスマホを取り出して潤平とツイッターのアカウントを交換していた。
「ああ。このイラストだったら見たことがあるよ。花をモチーフにしている人だ。これ、いい絵だね」
そして潤平はすぐにツイッターに載っているイラストを確認して頷いた。すると、唯花の顔が真っ赤になる。
「それで、応募したコンテストってどんなものかな」
「あ、はい。大手出版社が主催しているものなんですけど、これです」
唯花はすぐにスマホを操作して、ホームページを表示した。それは誰もが聞いたことがある出版社の主催しているコンテストの応募要項だった。
「ああ、ここか。なるほどね。そこで最終まで残っているのか。そりゃあ凄いよ。なかなかのものだ」
「あ、ありがとうございます」
ぺこりと頭を下げる唯花に、潤平はにこっと笑いつつも目は鋭い。それはこれから先の覚悟もあるのか。それを見定めるかのようだった。
「はっきり訊くよ。受賞してもそれが総てじゃない。君はそれがスタートラインであることは解ってるかい」
「えっ」
「そこで評価されたら後は安泰、じゃないってことだよ。ただプロとしてスタートを切ることが出来たっていうだけだ。そこから先は多くのプロと張り合っていかなきゃいけないんだ。その点は覚悟しているかい」
「――」
いきなり鋭い切り口で言ったな。桂花ははらはらとしてしまう。しかも、そこで安心しては駄目だと活を入れているのだ。そして、そのくらいの覚悟がなければ決断してはいけないと言っているようで、何だか怖い。桂花は大丈夫だろうかと心配になってしまう。しかし、法明は総てを潤平に任せるつもりのようで、ストップをかけることはなかった。
「正直言って、新人で賞を取ってデビューしたはいいものの、そこで終わる奴なんて山ほどいるんだ。そこをまず理解した上で、今後のことを決めていかなければなければならないよ。特に、ご両親が好きにしなさいと言っていないのならば尚更ね。自分の判断は大きな責任を伴うことを忘れちゃ駄目だ」
「で、でも」
好きなことをできればいいじゃないか。唯花はそう訴えたいのだろう。しかし、それは潤平が待ったと手を翳したことで口に出せなかった。
「かくいう俺も、保険のためにある程度の大学に入ったし、他の可能性ってのも考えたものだ。それに今が成功しているからといって、それが続くわけじゃない。どこかで筆を折ることになるかもしれないし、スランプだってあるんだ。ものすごく長い停滞期に入ったらどうしようっていう心配は俺だっていつもしている。だから、どういう形であれ逃げ道を用意することも大切かな」
「えっ」
悪戯っぽく笑った潤平に、唯花だけでなく桂花も驚いてしまう。逃げ道を用意しろ。そんなアドバイスをするとは思ってもみなかった。むしろその逆で、てっきり逃げ道なんてないんだぞと脅すのかと思っていた。
「だって、まだ高校生だろ。人生何が起こるか解らないんだよ。全部を決めてしまうには、まだまだ視野が狭いんだって自覚しておいた方がいい。俺は頑固だから逃げ道を用意しつつも、絶対にイラストレーターで一生食っていくんだって思っているけど、それでも、もしもの可能性を考えておくようにしているんだ。これも重要なポイントだね」
「あっ、そうか」
色んな可能性を考えなきゃいけない。このことは唯花には抜けていた部分だったのだろう。目から鱗が落ちたような顔になる。
「だから進学はすべきだろうね。それも絵やイラストに関係ないところがいい。これが視野を広げるのに一番の方法だよ。それに知識を増やすことはイラストを描いていくうえでもメリットがある。新しい発見はそれだけ新しい絵の閃きを与えてくれるからね。その上で、イラストの仕事をプロとして受けていくかを考えるべきだね。でも、最終的にはさっき言ったことまで考えなきゃいけない。ずっと新しいものを生み出すのは大変なことだし、これからは商売にしていくってことだと、それは理解しておくべきだ。好きなことをやっているはずなのに、大嫌いになるくらいに辛い時がある。それもしょっちゅうあるんだからね」
潤平の真摯なアドバイスに、唯花の顔はとても真剣だった。そして、その目にはここに来てから見たことがないほどの強い力が宿っていた。
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