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第19話 解決にはハーブティーを
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「私、あれこれ中途半端だったということですね」
「そこまでは言ってないさ。でも、そうだな。それなりに実力があるのに両親に打ち明けられないというのは、将来像を描き切れていないからかもしれないな。もしこうなりたいというビジョンがあれば、どれだけ反対されても主張できるはずだ。俺はそうやって、高校生の時に両親を説得したからね。それが出来なかったということは、自分がプロとしてどうやって行くべきか、それが定まっていなかったということだろうね」
「はい」
きゅっと、唯花はそこで持ったままだったスマホを握り締めた。そして覚悟を決めたように潤平を見つめる。
「ちゃんと総て、両親に話します。それから、将来のことを考えていきたいです」
「その意気だ。それに、もし大賞を取ったらある程度のお金が入る。そうやって実際に稼げるというのを見せておくというのも、大人を説得するうえでは有効手段だ。大人の心配というのは得てしてその商売で食っていけるかどうか、そういう部分に起因していることがあるからね。だから、君が選んだ方法も悪くないんだよ」
「あっ」
自分のやったことを褒められ、ようやく唯花は安心した顔をした。そして、ちょっと泣きそうな顔へと変化する。それに、法明も桂花もほっとして顔を見合わせていた。
「それでは、話し合いが落ち着いて出来るようにリラックス作用のあるお茶を処方しておきますね。それを飲みながら、ゆっくりご両親と今後のことを話し合ってみてください」
法明が最後に纏めるようにそう提案すると、唯花はこくっと大きく頷き、ここに来てよかったと笑顔になったのだった。
「難しいものですね」
今までになかったケースだったようで、もう少し色々と見識を広げなければなあとぼやいている。
「薬師寺さんは薬剤師ですし、それに誰にだって得意不得意があって当然だと思いますよ。特に今回のような芸術分野に関わる仕事って、素人には解らないことも多いですし」
茶葉の用意を手伝っていた桂花は、そこまで頑張らなくてもと苦笑してしまう。桂花に向かって根を詰めるなと言っているくせに、自分は根を詰めて働く気満々ではないか。
「そうですね。これからは緒方さんをどんどん頼りにします」
「いや、それは、お手柔らかに」
今回はたまたま知り合いの中にイラストレーターがいただけだ。その手前まで、つまりどうして総合内科を受診してここに来るに至ったかという部分を正確に見抜けたのは、法明の洞察力の賜物である。あんなこと、まだまだ経験の浅い桂花には出来そうにない。見当違いも甚だしいことばかり考えていたと反省する。
「ううん。私も精進しないと」
「頑張りましょう。ここをもっといい薬局にしていくために」
「はい」
こうして待たせていた唯花に一先ず調合したお茶を飲んでもらう。その唯花はもう憂いなんて一遍もない顔をしていて、潤平から今後のアドバイスを貰っていた。
「すっきりして美味しいですね」
味見をして、これで大丈夫という了承を得られたところで、ティーバックに詰めたお茶が唯花に手渡された。何度か話し合う必要があるだろうからと五回分、お代は一般的なお茶代と同じくらい。
今回法明が調合したのはリラックス効果を重視したお茶だ。だからか、ミントを中心とした調合で、そのお茶はいつもと違ってハーブティーのような味わいだった。
「ハーブというのも、西洋の薬草ですからね」
にっこりと笑う法明は、唯花以上にほっとした顔をしていた。その表情で法明も桂花もほっとしてしまう。
「ありがとうございました」
にこやかに去っていく唯花の背中には、もう憂いは無かった。その晴れ晴れとした足取りを見ていると、桂花も自然と気持ちが軽くなる。
「いやあ、一時はどうなるかとドキドキでしたが、上手く解決してよかったですね」
「ええ。今回は本当に緒方さんと落合さんのおかげですね。二人がいなければ、僕だけでは解決に導くのは無理でした。それにしても、イラストって奥が深いんですねえ」
休憩室に入り、法明は早速ツイッターを開いてみて、潤平のイラストに感心している。
「綺麗ですよね。あのキャラからは想像できない絵です」
桂花は潤平のシルバーに染められた髪を思い出して苦笑してしまう。その潤平はというと、解決したらすぐに帰ってしまった。せっかく京都に来たのだからあちこち見て回らないと気が済まない。そのためには一分一秒が惜しいと言っていたが、照れ隠しなのか本音なのか。
「そこまでは言ってないさ。でも、そうだな。それなりに実力があるのに両親に打ち明けられないというのは、将来像を描き切れていないからかもしれないな。もしこうなりたいというビジョンがあれば、どれだけ反対されても主張できるはずだ。俺はそうやって、高校生の時に両親を説得したからね。それが出来なかったということは、自分がプロとしてどうやって行くべきか、それが定まっていなかったということだろうね」
「はい」
きゅっと、唯花はそこで持ったままだったスマホを握り締めた。そして覚悟を決めたように潤平を見つめる。
「ちゃんと総て、両親に話します。それから、将来のことを考えていきたいです」
「その意気だ。それに、もし大賞を取ったらある程度のお金が入る。そうやって実際に稼げるというのを見せておくというのも、大人を説得するうえでは有効手段だ。大人の心配というのは得てしてその商売で食っていけるかどうか、そういう部分に起因していることがあるからね。だから、君が選んだ方法も悪くないんだよ」
「あっ」
自分のやったことを褒められ、ようやく唯花は安心した顔をした。そして、ちょっと泣きそうな顔へと変化する。それに、法明も桂花もほっとして顔を見合わせていた。
「それでは、話し合いが落ち着いて出来るようにリラックス作用のあるお茶を処方しておきますね。それを飲みながら、ゆっくりご両親と今後のことを話し合ってみてください」
法明が最後に纏めるようにそう提案すると、唯花はこくっと大きく頷き、ここに来てよかったと笑顔になったのだった。
「難しいものですね」
今までになかったケースだったようで、もう少し色々と見識を広げなければなあとぼやいている。
「薬師寺さんは薬剤師ですし、それに誰にだって得意不得意があって当然だと思いますよ。特に今回のような芸術分野に関わる仕事って、素人には解らないことも多いですし」
茶葉の用意を手伝っていた桂花は、そこまで頑張らなくてもと苦笑してしまう。桂花に向かって根を詰めるなと言っているくせに、自分は根を詰めて働く気満々ではないか。
「そうですね。これからは緒方さんをどんどん頼りにします」
「いや、それは、お手柔らかに」
今回はたまたま知り合いの中にイラストレーターがいただけだ。その手前まで、つまりどうして総合内科を受診してここに来るに至ったかという部分を正確に見抜けたのは、法明の洞察力の賜物である。あんなこと、まだまだ経験の浅い桂花には出来そうにない。見当違いも甚だしいことばかり考えていたと反省する。
「ううん。私も精進しないと」
「頑張りましょう。ここをもっといい薬局にしていくために」
「はい」
こうして待たせていた唯花に一先ず調合したお茶を飲んでもらう。その唯花はもう憂いなんて一遍もない顔をしていて、潤平から今後のアドバイスを貰っていた。
「すっきりして美味しいですね」
味見をして、これで大丈夫という了承を得られたところで、ティーバックに詰めたお茶が唯花に手渡された。何度か話し合う必要があるだろうからと五回分、お代は一般的なお茶代と同じくらい。
今回法明が調合したのはリラックス効果を重視したお茶だ。だからか、ミントを中心とした調合で、そのお茶はいつもと違ってハーブティーのような味わいだった。
「ハーブというのも、西洋の薬草ですからね」
にっこりと笑う法明は、唯花以上にほっとした顔をしていた。その表情で法明も桂花もほっとしてしまう。
「ありがとうございました」
にこやかに去っていく唯花の背中には、もう憂いは無かった。その晴れ晴れとした足取りを見ていると、桂花も自然と気持ちが軽くなる。
「いやあ、一時はどうなるかとドキドキでしたが、上手く解決してよかったですね」
「ええ。今回は本当に緒方さんと落合さんのおかげですね。二人がいなければ、僕だけでは解決に導くのは無理でした。それにしても、イラストって奥が深いんですねえ」
休憩室に入り、法明は早速ツイッターを開いてみて、潤平のイラストに感心している。
「綺麗ですよね。あのキャラからは想像できない絵です」
桂花は潤平のシルバーに染められた髪を思い出して苦笑してしまう。その潤平はというと、解決したらすぐに帰ってしまった。せっかく京都に来たのだからあちこち見て回らないと気が済まない。そのためには一分一秒が惜しいと言っていたが、照れ隠しなのか本音なのか。
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