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第24話 不審者?
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食事はたっぷり二時間楽しんだ。会席の最後にみかんジェラートを堪能し、みんなお腹一杯、大人二人はほろ酔い気分で食事処を後にする。
「部屋で飲み直そうよ。まだいけるだろ。さっき売店でバリィさんのふん、買ったんだ」
「ああ、まあ」
しかし、八木はまだ亮翔と飲むつもりらしい。バリィさんのふんという、スナック菓子をしっかりおつまみとして買ったらしく、部屋に来いと誘っていた。
「がっくんは私たちの部屋においでよ。今日買い物したもののチェックと女子トークタイムよ」
だから千鶴はその間は自分たちの部屋にどうぞとがっくんを誘った。どちらの部屋で飲むにしろ一人になってしまう。ならばその間は女子だけで過ごすのが一番だろう。
「うん、ありがとう」
「あれ?」
しかし、廊下を進んだところで、亮翔とがっくんの部屋に入ろうとする男の姿があり立ち止まった。その人は館内用の浴衣を着ていて、明らかに従業員ではない。すると、亮翔が他の四人にはここにいるよう手で制して、一人ずんずんと進み
「そこは拙僧の部屋だが」
にこっと笑顔で、さらに懐から取り出したのか手には数珠を持って言い放った。ドアノブに手を掛けていた男はぎょっとし、次に坊主頭の亮翔に驚き、口をパクパクとしている。
「す、すみません。部屋を間違えました」
しかし、男は頭を下げるとそそくさと去って行った。千鶴たちの傍を通り過ぎる時も、顔を隠すように俯いていた。年齢は三十代後半くらいだろうか。
ううん、本当に間違ったのか、ひょっとして泥棒だろうか。高校生三人は首を捻る。
「君たち、ちゃんと貴重品はロッカーに入れたかい?」
「はい」
「もちろん。鍵はここです」
八木も泥棒を疑ったようで千鶴と琴実に確認する。二人は頷くと、琴実が鍵を見せた。がっくんはもちろん亮翔に言われて入れていた。
「一応、不審者がいたと報告しておこう。部屋から何か無くなっていないか。いや、それより前に鍵はちゃんと掛かっているな」
亮翔は男が立っていた十六夜の間のドアに手を掛け、鍵をこじ開けられてはいないと言う。
「本当だ。開けられた様子はないですよ」
千鶴もドアを引っ張ってみたが、がちゃんと音が鳴り開かない。鍵は先ほどのロッカーの鍵と一緒に琴実が持っている。
「こっちも大丈夫だね。まあ、一応は確認してみよう」
八木も自分の部屋の鍵が掛かったままだと確認したが、不審者がいたことは間違いない。一応は中を確認と、飲み直す前に部屋の確認へと入っていった。
「私たちも一応」
「そうね」
「高梨君、ロッカーを確認しておいてくれ。俺はフロントに行って報告しておこう。まあ、本当にあの客が部屋を間違ったのかもしれないが」
あのままお風呂の方へと歩き去ったので、どの部屋の客か確認できなかった。それもあって、亮翔はフロントで確認するという。
「解りました」
こうして楽しい気分は一旦お預けとなり、各自無くなっているものがないかの確認となった。
「こういう老舗旅館でも泥棒ってあるんだね」
千鶴は自分の部屋に入ってから思わず呟いてしまう。しかし、琴実からは老舗旅館だからこそじゃないとツッコミを入れられた。
「お客さんって私たちは例外だけど、だいたいお金持ちでしょ。だったら泥棒的にもがっぽりじゃない?」
「ああ、そうね。琴実、財布はどう?」
「大丈夫。千鶴の方は」
「荷物大丈夫だよ。触れた形跡もないし」
「女子高生のパンツを狙った可能性も否定されたわね」
琴実は一応と自分のカバンを開けてそんなことを言う。千鶴は考えてもみなかったので驚いた。
「パンツ」
「売れるらしいわよ。変態の男に」
「うわあ」
最低だねと千鶴はドン引き。
しかしふと、がっくんはどっちのパンツを穿いているんだろうと、そんな疑問が過った。
「がっくんは、女の子用のショーツなわけないか」
「ないでしょう。まだアレあるんだし。女の子の格好している時もいつものボクサーパンツよ、きっと」
「ちょっと琴実ってば。ってか、がっくんの下着を知っているってことは、そういう関係になったことってあるの?」
「まだないわよ。でもほら、くっ付くことがあるんだからあそこにアレがあるのは知ってるし、パンツもチラ見したことあるし」
「ちょっと、止めてよ」
千鶴は琴実の肩をばしんっと叩き、そこから二人は大笑いしてしまう。こうして深刻な空気は一気に吹き飛んでしまい、千鶴たちは不審者の存在をすっかり忘れてしまうのだった。
「部屋で飲み直そうよ。まだいけるだろ。さっき売店でバリィさんのふん、買ったんだ」
「ああ、まあ」
しかし、八木はまだ亮翔と飲むつもりらしい。バリィさんのふんという、スナック菓子をしっかりおつまみとして買ったらしく、部屋に来いと誘っていた。
「がっくんは私たちの部屋においでよ。今日買い物したもののチェックと女子トークタイムよ」
だから千鶴はその間は自分たちの部屋にどうぞとがっくんを誘った。どちらの部屋で飲むにしろ一人になってしまう。ならばその間は女子だけで過ごすのが一番だろう。
「うん、ありがとう」
「あれ?」
しかし、廊下を進んだところで、亮翔とがっくんの部屋に入ろうとする男の姿があり立ち止まった。その人は館内用の浴衣を着ていて、明らかに従業員ではない。すると、亮翔が他の四人にはここにいるよう手で制して、一人ずんずんと進み
「そこは拙僧の部屋だが」
にこっと笑顔で、さらに懐から取り出したのか手には数珠を持って言い放った。ドアノブに手を掛けていた男はぎょっとし、次に坊主頭の亮翔に驚き、口をパクパクとしている。
「す、すみません。部屋を間違えました」
しかし、男は頭を下げるとそそくさと去って行った。千鶴たちの傍を通り過ぎる時も、顔を隠すように俯いていた。年齢は三十代後半くらいだろうか。
ううん、本当に間違ったのか、ひょっとして泥棒だろうか。高校生三人は首を捻る。
「君たち、ちゃんと貴重品はロッカーに入れたかい?」
「はい」
「もちろん。鍵はここです」
八木も泥棒を疑ったようで千鶴と琴実に確認する。二人は頷くと、琴実が鍵を見せた。がっくんはもちろん亮翔に言われて入れていた。
「一応、不審者がいたと報告しておこう。部屋から何か無くなっていないか。いや、それより前に鍵はちゃんと掛かっているな」
亮翔は男が立っていた十六夜の間のドアに手を掛け、鍵をこじ開けられてはいないと言う。
「本当だ。開けられた様子はないですよ」
千鶴もドアを引っ張ってみたが、がちゃんと音が鳴り開かない。鍵は先ほどのロッカーの鍵と一緒に琴実が持っている。
「こっちも大丈夫だね。まあ、一応は確認してみよう」
八木も自分の部屋の鍵が掛かったままだと確認したが、不審者がいたことは間違いない。一応は中を確認と、飲み直す前に部屋の確認へと入っていった。
「私たちも一応」
「そうね」
「高梨君、ロッカーを確認しておいてくれ。俺はフロントに行って報告しておこう。まあ、本当にあの客が部屋を間違ったのかもしれないが」
あのままお風呂の方へと歩き去ったので、どの部屋の客か確認できなかった。それもあって、亮翔はフロントで確認するという。
「解りました」
こうして楽しい気分は一旦お預けとなり、各自無くなっているものがないかの確認となった。
「こういう老舗旅館でも泥棒ってあるんだね」
千鶴は自分の部屋に入ってから思わず呟いてしまう。しかし、琴実からは老舗旅館だからこそじゃないとツッコミを入れられた。
「お客さんって私たちは例外だけど、だいたいお金持ちでしょ。だったら泥棒的にもがっぽりじゃない?」
「ああ、そうね。琴実、財布はどう?」
「大丈夫。千鶴の方は」
「荷物大丈夫だよ。触れた形跡もないし」
「女子高生のパンツを狙った可能性も否定されたわね」
琴実は一応と自分のカバンを開けてそんなことを言う。千鶴は考えてもみなかったので驚いた。
「パンツ」
「売れるらしいわよ。変態の男に」
「うわあ」
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しかしふと、がっくんはどっちのパンツを穿いているんだろうと、そんな疑問が過った。
「がっくんは、女の子用のショーツなわけないか」
「ないでしょう。まだアレあるんだし。女の子の格好している時もいつものボクサーパンツよ、きっと」
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