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第8話 服が欲しければキスをしろ
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疲れていたからか、朝までぐっすり眠っていた。しかし、もぞっと起きて横にルシファーの整った顔があるのを確認してしまうと
「ぎゃあああ」
と反射的に叫んでしまう。それにルシファーは煩いなあともぞもぞ。
「おまっ、寝付いたらいなくなるんじゃなかったのか?」
奏汰は思わず自分の衣服が乱れていないかチェックしてしまう。
よかった、透け透けの心許ない服だが、ちゃんと身につけたままだ。
「おはよう、奏汰。朝から元気だな。だが、俺様はもう少し寝ていたい」
バタバタとしている奏汰を横目に、ルシファーはしれっとそう言い、再び眠りに就いてしまう。
何なんだ、こいつ。って、悪魔か。元天使長の悪魔様か。
奏汰ははあっと溜め息を吐き、ともかく大学に行く準備をと思ったところで、服がない事実に気づいた。そう、パジャマは無事だったが、自分の持っていた服は無事ではなかった。奏汰は頭を抱え、ついでベッドの上のルシファーの額をべちべちと叩く。
「俺、大学に行きたいんだ。服を寄越せ」
「ううん。俺様の額を叩いた上に高圧的なんて、駄目な子だな、奏汰」
べちべち叩いていた手を捕まえ、ルシファーはにやり。その顔は確実に悪巧みしている。
「な、なんだよ。言い方が悪かったなら謝るよ。いや、待てよ。そもそもお前が勝手に俺の服を捨てたせいだから、謝るっておかしいよな。弁償しろって言える立場だし」
しかし、そんな悪巧みを気にしていられるかと、奏汰は言い募る。すると、ルシファーはくすくすと笑い出した。
「何だよ」
「いや、さすがは俺様の本能が伴侶にすべきと察知した男だ。そうこなくちゃな」
「は?」
訳わからん。いや、それは今に始まったことではないが、今までで最も不可解だ。
そう思っていたら急に手を引かれ、ルシファーの上に寝転んでしまうことになる。
「俺様にそこまで言えるのは奏汰だけだ」
「へえ」
間近で見るルシファーの顔はやっぱり整っていて、そしてフランス人っぽいなと思う。まあ、チャラいからイタリア人が正確だろうか。しかし、無駄に気品があるからやっぱりフランスっぽい。
思わず見惚れてしまう奏汰に、ルシファーはにやり。
「キスしてくれたら、大学に行くための服をやろう」
そんな要求をしてきて、奏汰はぼんやりと見惚れていた状態からぎっと睨む目に変わる。
「何でだよ。弁償しろよ!」
「ほう。ではずっと俺様の腕の中にいるがよい。別に今日一日お前を抱っこしたまま過ごしても、俺様は全く困らないからな」
「ぐっ」
せこい。そういうところはやっぱり悪魔だ。奏汰は歯ぎしりしていまう。しかし、現状を打開するためには要求を呑むしかない。
「っつ」
勢いよく唇を重ね、がばっと身を離す。奏汰は顔を真っ赤にしたまま、これでどうだとルシファーを睨んだ。すると、ルシファーはきょとんとした顔をし、そしてははっと大笑いを始める。
「奏汰、サイコーだよ」
「そ、そうか。じゃあ、服を寄越せ」
「はいはい。ベヘモス、用意してやれ」
ルシファーがベヘモスを呼びつけ、ようやくベッドから脱出することが出来たのだった。
「ぎゃあああ」
と反射的に叫んでしまう。それにルシファーは煩いなあともぞもぞ。
「おまっ、寝付いたらいなくなるんじゃなかったのか?」
奏汰は思わず自分の衣服が乱れていないかチェックしてしまう。
よかった、透け透けの心許ない服だが、ちゃんと身につけたままだ。
「おはよう、奏汰。朝から元気だな。だが、俺様はもう少し寝ていたい」
バタバタとしている奏汰を横目に、ルシファーはしれっとそう言い、再び眠りに就いてしまう。
何なんだ、こいつ。って、悪魔か。元天使長の悪魔様か。
奏汰ははあっと溜め息を吐き、ともかく大学に行く準備をと思ったところで、服がない事実に気づいた。そう、パジャマは無事だったが、自分の持っていた服は無事ではなかった。奏汰は頭を抱え、ついでベッドの上のルシファーの額をべちべちと叩く。
「俺、大学に行きたいんだ。服を寄越せ」
「ううん。俺様の額を叩いた上に高圧的なんて、駄目な子だな、奏汰」
べちべち叩いていた手を捕まえ、ルシファーはにやり。その顔は確実に悪巧みしている。
「な、なんだよ。言い方が悪かったなら謝るよ。いや、待てよ。そもそもお前が勝手に俺の服を捨てたせいだから、謝るっておかしいよな。弁償しろって言える立場だし」
しかし、そんな悪巧みを気にしていられるかと、奏汰は言い募る。すると、ルシファーはくすくすと笑い出した。
「何だよ」
「いや、さすがは俺様の本能が伴侶にすべきと察知した男だ。そうこなくちゃな」
「は?」
訳わからん。いや、それは今に始まったことではないが、今までで最も不可解だ。
そう思っていたら急に手を引かれ、ルシファーの上に寝転んでしまうことになる。
「俺様にそこまで言えるのは奏汰だけだ」
「へえ」
間近で見るルシファーの顔はやっぱり整っていて、そしてフランス人っぽいなと思う。まあ、チャラいからイタリア人が正確だろうか。しかし、無駄に気品があるからやっぱりフランスっぽい。
思わず見惚れてしまう奏汰に、ルシファーはにやり。
「キスしてくれたら、大学に行くための服をやろう」
そんな要求をしてきて、奏汰はぼんやりと見惚れていた状態からぎっと睨む目に変わる。
「何でだよ。弁償しろよ!」
「ほう。ではずっと俺様の腕の中にいるがよい。別に今日一日お前を抱っこしたまま過ごしても、俺様は全く困らないからな」
「ぐっ」
せこい。そういうところはやっぱり悪魔だ。奏汰は歯ぎしりしていまう。しかし、現状を打開するためには要求を呑むしかない。
「っつ」
勢いよく唇を重ね、がばっと身を離す。奏汰は顔を真っ赤にしたまま、これでどうだとルシファーを睨んだ。すると、ルシファーはきょとんとした顔をし、そしてははっと大笑いを始める。
「奏汰、サイコーだよ」
「そ、そうか。じゃあ、服を寄越せ」
「はいはい。ベヘモス、用意してやれ」
ルシファーがベヘモスを呼びつけ、ようやくベッドから脱出することが出来たのだった。
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