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第29話 魔界は快適、天界は息苦しい
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結局あれこれ仕事を手伝い、サタン城を後にしたのは午後六時だった。
「ううん。久々に真面目に何かをしたって気分」
奏汰は色々手伝ってくれたお礼としてサタンがくれたチョコを食べつつ、心地よい疲れにふうっと息を吐き出す。
「まったく。結局俺様も事務仕事をする羽目になった」
しかし、横でルシファーはむくれていた。やりたくなかったのに~と全身で表現している。
「いいじゃん。で、これからルシファーのやってるレストランに連れてってくれるんだろ」
「ああ。そうだとも!」
そこでしゃきんっと復活するルシファーだ。ようやく俺様のターンとばかりに嬉しそうだ。
「奏汰にも魔界をどんどん案内したいからな。まずは俺様のレストランからだ」
「うんうん」
「先にベヘモスが行っている。こっちだ」
ルシファーは奏汰の手を取ると、ルンルン気分で歩き出す。途中すれ違った悪魔たちがびっくりした顔をしていたが、ルシファーはお構いなしだった。
「ルシファー、注目されているぞ」
「いいんだよ。俺様は奏汰を見せびらかしたい」
「おいっ!」
見せびらかすって何だと奏汰はイラッとツッコむ。
それにしても、町中にいるのが悪魔なのは確実として、みんな普通なんだなと思う。城からずんずん進んで徐々に繁華街に入ってきたが、角や翼や尻尾がなければ普通の欧米人と変わらない感じだ。
「普通だね」
「それはそうだろ。悪魔は人間に近しい存在だからな。むしろ天界の方が人間には理解出来ないことばかりだと思う」
「え、そうなのか?」
ルシファーのとんでもない発言に、それはないだろうと奏汰は思う。が、魔界がすでにイメージと違うからなあと、リアクションに困るところだ。
「何を言っているんだ。悪魔は人間の欲望から生み出された存在だ。つまり、悪魔は人間と同じような考えをするし、同じように商売したり快適に過ごしたいと思ってる」
しかし、ちゃんと理解しろとルシファーは歩きながら説明を開始した。
こいつも根が真面目なんだろうなと奏汰は呆れつつ拝聴。
「だから町並みも普通だしこうやって商売して活気がある。裏通りにはキャバクラやホストクラブだってある」
「マジか」
「マジだ。一方の天界は清く正しく美しくがモットーだぞ。しかもその美意識は人間とは恐ろしくかけ離れている。上位の天使なんて、お前大丈夫かよって奴が多い」
「元天使がディスっていいのか」
「いいんだよ。元、だからな。言いたい放題だ」
「ああそう」
前の職場は悪かったっていうバイトの先輩を思い出す奏汰だ。
「飯も拘りがないから、パサパサのパンがメインだし服装は白一択だし、マジでないね。人間ならばすぐに息苦しさを覚えるはずだ」
「へえ。あれか、校則が多い学校みたいな」
「そうそう。綺麗で清潔かもしれないけど、あれこれ煩い。周りを見渡せば生活指導だらけだ」
「うわあ」
確かに嫌かも。奏汰は天界って中学校みたいな感じなんだと呆れてしまった。
「ううん。久々に真面目に何かをしたって気分」
奏汰は色々手伝ってくれたお礼としてサタンがくれたチョコを食べつつ、心地よい疲れにふうっと息を吐き出す。
「まったく。結局俺様も事務仕事をする羽目になった」
しかし、横でルシファーはむくれていた。やりたくなかったのに~と全身で表現している。
「いいじゃん。で、これからルシファーのやってるレストランに連れてってくれるんだろ」
「ああ。そうだとも!」
そこでしゃきんっと復活するルシファーだ。ようやく俺様のターンとばかりに嬉しそうだ。
「奏汰にも魔界をどんどん案内したいからな。まずは俺様のレストランからだ」
「うんうん」
「先にベヘモスが行っている。こっちだ」
ルシファーは奏汰の手を取ると、ルンルン気分で歩き出す。途中すれ違った悪魔たちがびっくりした顔をしていたが、ルシファーはお構いなしだった。
「ルシファー、注目されているぞ」
「いいんだよ。俺様は奏汰を見せびらかしたい」
「おいっ!」
見せびらかすって何だと奏汰はイラッとツッコむ。
それにしても、町中にいるのが悪魔なのは確実として、みんな普通なんだなと思う。城からずんずん進んで徐々に繁華街に入ってきたが、角や翼や尻尾がなければ普通の欧米人と変わらない感じだ。
「普通だね」
「それはそうだろ。悪魔は人間に近しい存在だからな。むしろ天界の方が人間には理解出来ないことばかりだと思う」
「え、そうなのか?」
ルシファーのとんでもない発言に、それはないだろうと奏汰は思う。が、魔界がすでにイメージと違うからなあと、リアクションに困るところだ。
「何を言っているんだ。悪魔は人間の欲望から生み出された存在だ。つまり、悪魔は人間と同じような考えをするし、同じように商売したり快適に過ごしたいと思ってる」
しかし、ちゃんと理解しろとルシファーは歩きながら説明を開始した。
こいつも根が真面目なんだろうなと奏汰は呆れつつ拝聴。
「だから町並みも普通だしこうやって商売して活気がある。裏通りにはキャバクラやホストクラブだってある」
「マジか」
「マジだ。一方の天界は清く正しく美しくがモットーだぞ。しかもその美意識は人間とは恐ろしくかけ離れている。上位の天使なんて、お前大丈夫かよって奴が多い」
「元天使がディスっていいのか」
「いいんだよ。元、だからな。言いたい放題だ」
「ああそう」
前の職場は悪かったっていうバイトの先輩を思い出す奏汰だ。
「飯も拘りがないから、パサパサのパンがメインだし服装は白一択だし、マジでないね。人間ならばすぐに息苦しさを覚えるはずだ」
「へえ。あれか、校則が多い学校みたいな」
「そうそう。綺麗で清潔かもしれないけど、あれこれ煩い。周りを見渡せば生活指導だらけだ」
「うわあ」
確かに嫌かも。奏汰は天界って中学校みたいな感じなんだと呆れてしまった。
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