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グガワに僕の声を届ける方法は、今のところ一つだけ。誰でもいいから、AIの近くで話をすること。そうすれば、グガワに僕の声を届けることができる。僕専用のマイクみたいなものを作れば、グガワと一対一で話をすることができるけれど、今のところその必要性を感じていない。というか、一対一で話したら、僕がお爺さんになるまでグガワの話を聞き続けなければならなくなってしまうかもしれない。AIの話したいことを全て処理するためには、人間の脳回路はあまりにも低スペックなのだ。
「はいはいストップー、グゥちゃん、中に入って良いかしら?」
というわけで、一緒に来てくれたリーディーがグガワの話の腰を折ってくれた。
「もちろんですよ。リィちゃんも、カルの光で有機網膜回路を焼かないように注意してくださいね」
リーディーとグガワはお互いのことを『リィちゃん』『グゥちゃん』と呼び合っている。AI同士ニックネームで呼び合っているのは、リーディーとグガワだけだ。但し、そうやって呼び合うのは日本語のときだけで、英語のときには略さずに呼び合っている。日本語の論理性の少なさをAIなりに楽しんでいるのかもしれない。
開いているドアの中に入り、用意されていた二人乗りのスクーターで、いつもどおり移動する。
屋内工場の中は、徒歩ではとても移動しきれない。歩きで移動していると、最奥部に行くだけでも半日以上かかってしまう。さらに、通路は複雑に入り組んでいるので、スクーターの自動運転がなければ、僕は屋内工場の中をさまよった挙句、力尽きてしまうだろう。どこぞのリーディーがニヤニヤしながら『おおケイスケ! 死んでしまうとは情けない!』と馬鹿にしてくる様子が目に浮かぶ。そうなったら、シルフに怒ってもらおう。
「今回はどんなお礼するの?」
タイヤが地面を滑らかに転がる音と、微かなモーター音だけが響いている通路で、タンデムシートに座っているリーディーが話しかけてきた。
「……実は、グガワに感謝を伝える方法が、もう思い浮かばないんだ」
「そうなの?」
「うん……だからね、僕は、『僕自身』をあげようと思うんだ」
僕の曖昧な答を聞いたリーディーは「そっか」とだけ返事をして、それ以上、質問をしてこなかった。
これまで、僕は、グガワに対して、様々な形で感謝を伝えてきた。
声、手紙、詩、小説、絵、書道、歌、音楽、粘土細工、彫刻、プログラム——。
まだまだグガワに対して感謝を伝えきれていないけれど、その感謝を伝える方法が思い付かなくなってしまった。
最終的に至った結論は、グガワに繋いでもらっている僕の体を、グガワに『提供』することだった。
「はいはいストップー、グゥちゃん、中に入って良いかしら?」
というわけで、一緒に来てくれたリーディーがグガワの話の腰を折ってくれた。
「もちろんですよ。リィちゃんも、カルの光で有機網膜回路を焼かないように注意してくださいね」
リーディーとグガワはお互いのことを『リィちゃん』『グゥちゃん』と呼び合っている。AI同士ニックネームで呼び合っているのは、リーディーとグガワだけだ。但し、そうやって呼び合うのは日本語のときだけで、英語のときには略さずに呼び合っている。日本語の論理性の少なさをAIなりに楽しんでいるのかもしれない。
開いているドアの中に入り、用意されていた二人乗りのスクーターで、いつもどおり移動する。
屋内工場の中は、徒歩ではとても移動しきれない。歩きで移動していると、最奥部に行くだけでも半日以上かかってしまう。さらに、通路は複雑に入り組んでいるので、スクーターの自動運転がなければ、僕は屋内工場の中をさまよった挙句、力尽きてしまうだろう。どこぞのリーディーがニヤニヤしながら『おおケイスケ! 死んでしまうとは情けない!』と馬鹿にしてくる様子が目に浮かぶ。そうなったら、シルフに怒ってもらおう。
「今回はどんなお礼するの?」
タイヤが地面を滑らかに転がる音と、微かなモーター音だけが響いている通路で、タンデムシートに座っているリーディーが話しかけてきた。
「……実は、グガワに感謝を伝える方法が、もう思い浮かばないんだ」
「そうなの?」
「うん……だからね、僕は、『僕自身』をあげようと思うんだ」
僕の曖昧な答を聞いたリーディーは「そっか」とだけ返事をして、それ以上、質問をしてこなかった。
これまで、僕は、グガワに対して、様々な形で感謝を伝えてきた。
声、手紙、詩、小説、絵、書道、歌、音楽、粘土細工、彫刻、プログラム——。
まだまだグガワに対して感謝を伝えきれていないけれど、その感謝を伝える方法が思い付かなくなってしまった。
最終的に至った結論は、グガワに繋いでもらっている僕の体を、グガワに『提供』することだった。
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