ウィグロードソラン 〜祝福の乙女と孤高の王女篇〜

でうすあんて

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プロローグ

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 あの時、こうしなければ良かった…
生きていれば必ず起こる【選択】の瞬間。時にはつまらない【選択】もあるけれど、中には自分らしさや人生の分岐点だった、なんて事もあります。
 もし他人の【選択】を覗けたら何かの助けになるかもしれません。
 これはある物語、一人の人間の【選択】の記録。

本来なら誰でも閲覧できる様な物ではないのですよ?
今回は特別にあなたにお見せしましょう。え?どうして自分だけが見られるのか…ですか?何もおかしくはないはずですが…あなた自身のお話なのだから

 ピピッピピッピピッ
(どこからか電子音が聞こえる。何かすっごく大切な事だったような…!?)

「朝?!」
私はとりあえず目を覚ました。最近、なんだか意味深なようなよくわからない夢を見る。
 (ゲームのし過ぎかな…)
わずかに残った夢の記憶も消えて、いつもどおりが始まる…はずだった。
 何か変な感じがする…目は覚めたのに、フワフワした感覚。辺りはセピア色の様な赤白色に変わり、視界にノイズが走る。普通ならこんな感覚、気分が悪いに違いないのにそうした感じはしない。でも今はそうした感じが逆に感覚をおかしくさせていく。

 (あれ?いつもはこんなに続かないんだけど…)
少し休めば大丈夫かも…私は目を閉じてみる。古いフィルムの映像の様な世界は遮断され、暗幕を降ろした薄闇の世界へと変わった。
(疲れてるのかな…今日は学校休んでもいいよね)
そう考えて、体をベッドに伏せた。心地良く…はない。
何かしっくりしない。今、横になっているのはベッドではないみたいな感覚だ。

 「あなたは戻りますか?」

何か話しかけられた。うん…私はこの声を、声の主を知っている。私を呼ぶ声…【主神】の存在を。
ハッキリ言えば、私はこの【主神】という存在を好きじゃない。何回、この存在の都合であちこちへ飛ばされた事か…。その事に気がついたのも本当に最近だった。
(たしか、この前…)
私は【主神】の問いには答えず、おぼろげな記憶を辿っていく。それを知ったのか知らないのか、【主神】はそれ以上語りかけてこなかった。
暗幕を降ろした薄闇に少しずつ何かが浮かび上がってくる。
 画質の悪いドット絵の様な荒い空間が次第に洗練されていく。
(低い灌木、土の匂い、…森の中?)
何もかもがフェードインしていく。意識とカラダが混沌になり世界とひとつになる。
 私は…【弥生】でなくなる。私は、私は…


 

 



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