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第一章 異世界召喚編
14 不吉な夢
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マナは片言でしかものを言わないメラメラに言葉を教えることにした。就寝前に寝心地が良すぎて逆の落ち着かないベッドの上で、ユリカに頼んで持ってきてもらった絵本を開く。隣に座り込んでいたメラメラは、扉絵に興味をそそられてマナの膝の上に登ってきた。その可愛らしさにふっと息をしてマナが絵本に視線を落とし、途端に顔が引きつった。
「読めない……」
マナはこの世界は元の世界と言葉が同じでも、文字は違うということをここで初めて認識したのだった。
「うああぁっ!」
マナは思わず頭をかかえてしまった。学園に行く前に文字を覚えなければならない事に思い至って懊悩(おうのう)したのだった。
仕方ないのでユリカを呼んで代わりに絵本を読んでもらうことにした。
「文字については明日から勉強をと思っていたのですが、もっと早くお知らせするべきでした」
文字が読めないという現実に打ちひしがれているマナに、ユリカが申し訳なさそうに言った。
「ユリカが気にすることないよ。わたしもメラメラと一緒に勉強するから、絵本の朗読お願いします」
「では」
ユリカはベッドの近くに椅子を持ってきて、マナとメラメラに絵本の内容が見えるように開いて読み始めた。
「これは、教会の女神様のお話です」
昔々、とよくある下りから始まる物語はこうであった。
ある時、金色の光をまとった女神が世界に現われたそうです。
女神はフェアリーを創造し、人間に与え、そして女神は言いました。
「フェアリーは人間の友であり、人間を幸へと導く存在なのです」以来、フェアリーは人々と共にあり、その力で人々を助け、国は豊かになりました。
ユリカの話がそこで途切れた。メラメラが突然、絵本を引っ張って、床に放り投げてしまったのだ。その見た目とはかけ離れた粗暴な行動に、マナもユリカも絶句してしまう。
「ど、どうしたの?」
マナがメラメラの顔を覗き込むと、不機嫌そうに頬を膨らませている。
「なんか、怒ってるみたい……」
「どうやら、この絵本が気に入らないようですね」
ユリカが拾った絵本の背表紙には、後光を纏いフェアリーと戯れる女神が描かれている。それを見たマナは聞かずにはおれなかった。
「教会の女神とフェアリーって関係があるの?」
「そのようです。女神の名はエリアノと言って、エリアノ教会は世界中に伝播しているのです」
「いつかその教会に行ってみたいんだけど」
「畏まりました、近いうちに手配しましょう」
フェアリーはこの世界の信仰にまで関係している。マナはそれを知ると、フェアリーのことをもっと知りたいという気持ちが強くなった。
♢♢♢
炎が燃え上がり、村は人々の絶望の色に染まっていた。村人たちは悲鳴をあげて逃げ惑い、兵士たちは残忍な笑みを浮かべて罪もない人間を斬殺する。その光景を見た彼女は怒りと悲しみに圧し潰され、黒い感情を爆発させた。それに呼応して上空に妖精のシルエットが現れると、罪なき人々に嬉々として剣を振り上げていた兵士達が黒く燃え上がり、のたうち回って灰になった。そして、彼女の身体から急激に力が失われてその場に座り込む。そこに生き残った兵士がやってきて、剣を振り上げた。彼女は鈍く光る白刃が、幻でもあるかのようにぼんやりと見上げていた。
「さらばだ、妖精使いよ」
剣が振り下ろされた瞬間、彼女の肩から胸にかけて強烈な熱が走った。
夢にうなされていたマナは、目を開けると半身起きて恐ろしい気持ちで胸に触れる。そこに痛みがあるように錯覚した。
「はぁ、怖い夢だった……」
マナの隣ではメラメラが寝息を立てていて、マナは小さな家族の頭をなでて微笑を浮かべた。メラメラに触れていると、それにしてもとマナは思う。メラメラが近くにいると、どうしてこんなに安心できるのだろう。この子と一緒なら、どんな事でも乗り越えられそうな気がする。この気持ちは自分でも極端だなと思うが、心の芯の所がメラメラとは決して離れてはいけないと訴えてくるのだ。
「読めない……」
マナはこの世界は元の世界と言葉が同じでも、文字は違うということをここで初めて認識したのだった。
「うああぁっ!」
マナは思わず頭をかかえてしまった。学園に行く前に文字を覚えなければならない事に思い至って懊悩(おうのう)したのだった。
仕方ないのでユリカを呼んで代わりに絵本を読んでもらうことにした。
「文字については明日から勉強をと思っていたのですが、もっと早くお知らせするべきでした」
文字が読めないという現実に打ちひしがれているマナに、ユリカが申し訳なさそうに言った。
「ユリカが気にすることないよ。わたしもメラメラと一緒に勉強するから、絵本の朗読お願いします」
「では」
ユリカはベッドの近くに椅子を持ってきて、マナとメラメラに絵本の内容が見えるように開いて読み始めた。
「これは、教会の女神様のお話です」
昔々、とよくある下りから始まる物語はこうであった。
ある時、金色の光をまとった女神が世界に現われたそうです。
女神はフェアリーを創造し、人間に与え、そして女神は言いました。
「フェアリーは人間の友であり、人間を幸へと導く存在なのです」以来、フェアリーは人々と共にあり、その力で人々を助け、国は豊かになりました。
ユリカの話がそこで途切れた。メラメラが突然、絵本を引っ張って、床に放り投げてしまったのだ。その見た目とはかけ離れた粗暴な行動に、マナもユリカも絶句してしまう。
「ど、どうしたの?」
マナがメラメラの顔を覗き込むと、不機嫌そうに頬を膨らませている。
「なんか、怒ってるみたい……」
「どうやら、この絵本が気に入らないようですね」
ユリカが拾った絵本の背表紙には、後光を纏いフェアリーと戯れる女神が描かれている。それを見たマナは聞かずにはおれなかった。
「教会の女神とフェアリーって関係があるの?」
「そのようです。女神の名はエリアノと言って、エリアノ教会は世界中に伝播しているのです」
「いつかその教会に行ってみたいんだけど」
「畏まりました、近いうちに手配しましょう」
フェアリーはこの世界の信仰にまで関係している。マナはそれを知ると、フェアリーのことをもっと知りたいという気持ちが強くなった。
♢♢♢
炎が燃え上がり、村は人々の絶望の色に染まっていた。村人たちは悲鳴をあげて逃げ惑い、兵士たちは残忍な笑みを浮かべて罪もない人間を斬殺する。その光景を見た彼女は怒りと悲しみに圧し潰され、黒い感情を爆発させた。それに呼応して上空に妖精のシルエットが現れると、罪なき人々に嬉々として剣を振り上げていた兵士達が黒く燃え上がり、のたうち回って灰になった。そして、彼女の身体から急激に力が失われてその場に座り込む。そこに生き残った兵士がやってきて、剣を振り上げた。彼女は鈍く光る白刃が、幻でもあるかのようにぼんやりと見上げていた。
「さらばだ、妖精使いよ」
剣が振り下ろされた瞬間、彼女の肩から胸にかけて強烈な熱が走った。
夢にうなされていたマナは、目を開けると半身起きて恐ろしい気持ちで胸に触れる。そこに痛みがあるように錯覚した。
「はぁ、怖い夢だった……」
マナの隣ではメラメラが寝息を立てていて、マナは小さな家族の頭をなでて微笑を浮かべた。メラメラに触れていると、それにしてもとマナは思う。メラメラが近くにいると、どうしてこんなに安心できるのだろう。この子と一緒なら、どんな事でも乗り越えられそうな気がする。この気持ちは自分でも極端だなと思うが、心の芯の所がメラメラとは決して離れてはいけないと訴えてくるのだ。
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