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第二章 聖メディアーノ学園編
40 薬学院でのひと時
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マナが学園に入学してから三ヶ月が過ぎていた。その間、学園では特に何もなく平和であったが、アインシュトール帝国とロディス王国の戦争が始まり、町中の雰囲気が何となく暗くなっていた。ゼノビアとカイナスは戦争に関連して何かと動いているらしく、学園に姿が見えない事がしばしばあった。マナはと言うと、ティア姫の勉強会のかいがあって、少しずつ成績が伸びていた。
マナはお隣の薬学院にたまに足を運んでいる。アリアと一緒にいると安心するのだ。それにアリアは、マナの悩みやとりとめのない話をよく聞いてくれる。
今日は昼休みの勉強を休んで院長室に顔を出していた。アリアはいつでもマナを温かく迎えて、美味しいハーブティーを振舞ってくれた。前面の窓から入る日光で部屋は暖かく、安らいだ気持ちと眠気を誘う。
「今日は夏休み前のテストがあったのよね、その様子だと良く出来たのかしら」
アリアがティーカップを持ちながら言うと、マナは珍しく楽し気な笑顔を見せた。
「良く出来たって程じゃないですけど、今回は頑張れたと思うんです」
「そう、マナは頑張り屋さんなのね」
メラメラはマナの隣に座って小さなカップでお茶を飲み、クッキーを食べる、それを交互に繰り返していた。
「他の人に比べたらぜんぜんですけど、精いっぱい頑張りたいと思ってます」
アリアはテーブルに両肘を置くと、やんわりとした動作で両手の甲を重ねてその上に顎を乗せてマナを見つめた。
「この話は覚えておいてもらいたいのだけれど、王妃になる事だけが幸せだとは限らないわ。マナにはマナにしか出来ない事があると思う。もしマナが妃に選ばれなかったとしてもそれは終わりではない、あなたの人生はそこから光り輝くに違いないのよ」
まったりと眠気に誘われていたマナは、はっとしてアリアを見る。
「アリアさん、わたしが妃候補だって知ってるんですか?」
「一応、関係者ですからね。別に隠すつもりはなかったんですけどね、わたしはシェルリの母親なんですよ」
「ええっ!? アリアさんが王妃様のお母様!?」
「お母様なんていう大層なものではないわ、ただのおばさんよ」
アリアの何気ない笑顔の向こうには、王妃の母親と言う以上に大きな何かが潜んでいた。
「やっぱり、わたしじゃ無理ですよね……」
「そんなことないわ、マナだって努力次第で他の妃候補に追いつける。ただ道は一つではない事を知ってほしかったのよ」
「わかりました、ありがとうございます。少し気が楽になりました」
クッキーをたくさん食べて満足したメラメラが、マナの膝をよじ登ってきた。マナはそれを抱き上げて膝の上に置くと小さな頭をなでて言った。
「王妃様に神薬革命の事を聞いてもいいって言ったのは、お母さんだったからなんですね」
「それはあの子にとってとても辛い出来事だったけれど、その程度でどうにかなるようでは王妃なんて務まりませんよ」
自分の娘を信じて疑わないアリアの言葉で、王妃に神薬革命の事を聞くべきかまだ迷っていたマナの心が決まった。
「わたし王妃様に会ったら神薬革命の事を聞いてみます。学園の授業で一応習いましたけど、何か違うなって感じがするんです」
「そうでしょうね、学園の授業では核心に触れる事は難しいでしょう」
やがて楽しいお茶会が終わり、マナは礼を言って院長室を後にした。マナは廊下をスキップしたい気分だった、テストの感触も上々だし、何よりもアリアが王妃の母親だと分かった事が無性に嬉しかった。
マナはお隣の薬学院にたまに足を運んでいる。アリアと一緒にいると安心するのだ。それにアリアは、マナの悩みやとりとめのない話をよく聞いてくれる。
今日は昼休みの勉強を休んで院長室に顔を出していた。アリアはいつでもマナを温かく迎えて、美味しいハーブティーを振舞ってくれた。前面の窓から入る日光で部屋は暖かく、安らいだ気持ちと眠気を誘う。
「今日は夏休み前のテストがあったのよね、その様子だと良く出来たのかしら」
アリアがティーカップを持ちながら言うと、マナは珍しく楽し気な笑顔を見せた。
「良く出来たって程じゃないですけど、今回は頑張れたと思うんです」
「そう、マナは頑張り屋さんなのね」
メラメラはマナの隣に座って小さなカップでお茶を飲み、クッキーを食べる、それを交互に繰り返していた。
「他の人に比べたらぜんぜんですけど、精いっぱい頑張りたいと思ってます」
アリアはテーブルに両肘を置くと、やんわりとした動作で両手の甲を重ねてその上に顎を乗せてマナを見つめた。
「この話は覚えておいてもらいたいのだけれど、王妃になる事だけが幸せだとは限らないわ。マナにはマナにしか出来ない事があると思う。もしマナが妃に選ばれなかったとしてもそれは終わりではない、あなたの人生はそこから光り輝くに違いないのよ」
まったりと眠気に誘われていたマナは、はっとしてアリアを見る。
「アリアさん、わたしが妃候補だって知ってるんですか?」
「一応、関係者ですからね。別に隠すつもりはなかったんですけどね、わたしはシェルリの母親なんですよ」
「ええっ!? アリアさんが王妃様のお母様!?」
「お母様なんていう大層なものではないわ、ただのおばさんよ」
アリアの何気ない笑顔の向こうには、王妃の母親と言う以上に大きな何かが潜んでいた。
「やっぱり、わたしじゃ無理ですよね……」
「そんなことないわ、マナだって努力次第で他の妃候補に追いつける。ただ道は一つではない事を知ってほしかったのよ」
「わかりました、ありがとうございます。少し気が楽になりました」
クッキーをたくさん食べて満足したメラメラが、マナの膝をよじ登ってきた。マナはそれを抱き上げて膝の上に置くと小さな頭をなでて言った。
「王妃様に神薬革命の事を聞いてもいいって言ったのは、お母さんだったからなんですね」
「それはあの子にとってとても辛い出来事だったけれど、その程度でどうにかなるようでは王妃なんて務まりませんよ」
自分の娘を信じて疑わないアリアの言葉で、王妃に神薬革命の事を聞くべきかまだ迷っていたマナの心が決まった。
「わたし王妃様に会ったら神薬革命の事を聞いてみます。学園の授業で一応習いましたけど、何か違うなって感じがするんです」
「そうでしょうね、学園の授業では核心に触れる事は難しいでしょう」
やがて楽しいお茶会が終わり、マナは礼を言って院長室を後にした。マナは廊下をスキップしたい気分だった、テストの感触も上々だし、何よりもアリアが王妃の母親だと分かった事が無性に嬉しかった。
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