憂いの空と欠けた太陽

弟切 湊

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嘘には嘘を Ⅱ

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バンッ! という激しい物音で目が覚めた。

びっくりして飛び起きると、病院の引き戸の所に息を切らせた御園の姿が。
僕の横でうたた寝をしていたらしい冴木さんも心臓を抑えて飛び上がっている。

「ゆ~さ~!」

これはまずい。かなり怒っている。激おこだ。
冴木さんのことは視界にすら入っていないようで、ずんずんと僕に向かってくると、僕の肩をがしりと掴んだ。

「なーにがたいしたことないじゃボケ! 超重傷じゃねーか!」
「え、いや、だって、死んでないし」
「死んでたら重傷どころじゃねーわ!」
「なんかごめん?」
「疑問に思うなら謝るな!」

今日はツッコミのノリが良いなあなどと暢気に思っていると、御園がぎゅうっと抱き付いてきた。痛い痛い。

「どんだけ心配したと思ってんだ、ほんとにもう」

御園は少しだけ悲しそうな顔した。僕にも少し罪悪感が湧く。

「ごめん、御園。でもね、本当に大丈夫なんだ。明日には退院できるってお医者さん言ってたし」

そう言ってなんとか御園をなだめる。こんなに心配してくれるなんて、御園は本当に良い人だ。冴木さんといい、優しい人って案外いるもんだな。
そうだ、冴木さんのこと、完全に無視してるよな。申し訳ないことをした。

まだ不満そうな御園に、冴木さんのことを紹介する。僕を助けてくれた人だと。暴行されたとは言っていないので、階段から落ちたところを助けてもらったことにした。
冴木さんが一瞬微妙な顔をしたが、こちらの意図に気付いたのか話を合わせてくれた。

「本当にあなたが助けてくれたんですか?」

御園が失礼なことを聞いたので僕が慌てると、

「いや、遊沙んち、ボロアパートでしょ? こんなおしゃれな人、あそこに似合わねーなーと思って」
「失礼だな」

僕に失礼な付け足しをした。
御園は、周囲を笑わせるのが上手い。僕にはない才能だ。

彼はしばらく喋った後帰って行った。被っている授業の資料は貰っておいてくれたらしい。

「賑やかなご友人ですね」

冴木さんは穏やかに笑っている。この人にもお世話になったのだし、後日何かお礼をしないとな。
お仕事、何をしているのかは知らないけれど、僕のために休んでくれている可能性が高い。
どれくらいのお礼なら妥当だろうか。
お礼とかあんまりしたことがないからよく分からない。明日御園に聞いてみるか。彼にも心配してくれたお礼をしないとだし。

「冴木さん、後日お礼をしたいので、連絡先を教えていただけませんか?」
「そんな、お礼なんて……。ですが、そうですね。実は私も遊沙くんにお願いしたいことがあったので、ちょうど良かったです。怪我が治ってからお願いするかもしれませんから、嫌でなければ私も連絡先を交換したいです」

仕事の手伝いとかだろうか。僕で力になれるなら、何でも……とはいかないけれど、できるだけのことはしたい。
とりあえず、お互いのLINEを交換しておいた。
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