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ウィル編 02章:あの空にもう一度虹を架けて
10-[待ち受けているもの]
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ラスが見つけた隠し通路をウィル達は慎重に進んでいた。隠し通路は予想外にも一本道でうねりながら下っていく長い階段になっていた。特に罠のようなものも無く、時間はかかったものの難なくその最奥までたどり着くことができた。
その遺跡の最奥には大きな四角い部屋があり、陽の光が届いていないにも関わらず灯のオーパーツによって部屋全体が照らされていた。
「うわー、広―い!何この部屋―」
「どうやらここがこの遺跡の最深部みてーだな」
「ねえ、ちょっと見てあれ!」
皆が部屋を見渡していると何かを見つけたフェルナが皆に声をかけた。フェルナが指した先の方を見るとそこには巨大な台座があった。そしてその台座の上には光沢のある素材で作られた篭手のようなものが置かれていた。その篭手は手首の周囲を包み込む程度の小さなものではあるが、銀色に輝く表面にはきめ細かい模様が施されており、中央には透き通った紅玉がはめ込まれていた。
「あれ、オーパーツ・・・?」
その篭手が放つ見たこともない綺麗な光にラスは目を奪われてしまった。隠し通路といい、設置されている場所といい、このオーパーツはそこらにあるものとは何か違った雰囲気を纏っていた。
「あれは・・・?」
皆がオーパーツに目を奪われているときにウィルがその異変に気付いた。天井から染み出してきた数滴の水の雫が、地面に落下することなくその篭手の紅玉の部分に吸い込まれていったのである。
「どうやらあのオーパーツには水を吸収する力があるみたいです。この周囲の干魃の原因はあのオーパーツのようですね。」
「まじか、当たりだな!」
「おー、やったね!」
そう言うとメルトは台座の上まで一気に走っていった。
「メルト、いきなり近づくのは危険だ!早くこっちに戻ってくるんだ」
「えっ?」
メルトがウィルの声に気づいたときには既に台座の上まで登っていた。一瞬皆に緊張が走ったが、しばらくしても何か起こる様子は無かった。
「もう、ウィル君脅かさないでよ!特に何もないみたいだよ?」
「でも何があるかわからないからウィルの言うとおり気をつけるんだよー?」
「へーきへーき!もう皆心配しすぎだよ。早くこのオーパーツ持って帰って調べちゃおう!」
メルトはウィルとフェルナの忠告を聞かずにオーパーツの篭手へとその手を伸ばし、台座から取ろうとした。
「あれ?」
「!?どうしたメルト?」
「この篭手台座にくっついてて離れないよー!うーーーーん!このーーーー!」
「ちょっと、脅かさないでよ!」
「あれー、おかしいなー。クラウー!ちょっと手伝ってー!」
「おー、今行くから待ってろー」
メルトに呼ばれたクラウは台座の方へと歩いていこうとした。そのとき、急に天井から巨大な何かが降ってきた!
ズドンッ――――
その巨大な何かは鈍い音を立てて地面とぶつかった。その直後、クラウは自分を睨みつける二つの赤い目を見た。
「クラウさん!避けて!!」
ウィルに言われる前にクラウは反射的に身をかがめていた。その直後クラウの頭のわずか上を巨大な石の爪が風を斬る轟音と共に通過していった。
「クラウっ!大丈夫?」
「あぁ、なんとかな!危ないところだった!よっと!」
爪の攻撃を躱したクラウは体制を立て直して距離を取るために後ろに跳んだ。
「こいつは一体なんなんだ!?」
距離を取ったクラウが改めてその巨大な何かを確認すると、そこには二本の角を持ち、背中にコウモリを彷彿させる羽根が生えた巨大な怪物がいた。その怪物は全身が石のようなものでできており、その重たさを証明するかのような地面に響く足音を立ててゆっくりとクラウの方へと向き直った。
「何あれ・・・怖い・・・」
その威圧感がある見た目と動きにラスはガタガタと小刻みに震えていた。
「多分あのオーパーツの番人だ。以前書物で読んだことがある、非常に強い力を持ったオーパーツは何かしらの強い力で護られていることがあるらしい。それは結界のようなものもあればまるで生物のようなものが近づけないように護っていることもあるとか」
「へー、じゃああいつはあのオーパーツを私達がここから持ち去ろうとしたからそれに反応して落ちてきたって訳ね」
「ええ、おそらくは・・・。すみません、すっかり失念していました」
「気にすることはないさ。村があんなになった原因を作っているのがあのオーパーツならいずれにせよ持ち出す必要があったんだ。それよりも今はあいつをなんとかしないとね。ラスは私の後ろに隠れてなさい!メルトはそこから動かないで!クラウ、久々の戦闘だけど準備はいい?」
「誰に言ってるんだフェルナ、これでも俺は元王国騎士団の近衛兵だぜ!行けるに決まってるだろ!」
「それならよし!ウィル、あなたは急いでメルトをここに連れてきて二人を護ってて!」
「わかりました!」
「久しぶりの戦闘だな。腕が鳴るぜ!」
「もう騎士団を引退してしばらく立つんだからあまり無理しないでよ?」
「わかってるって!じゃあいっちょやるか!」
そう言うとクラウは背中に背負っていたバスターソードを抜き目の前に両手で構え、フェルナも弓を背中の留め具から外して矢を番えて戦闘態勢をとった。そして怪物が咆哮すると共にそれぞれが一斉に動き出した。
その遺跡の最奥には大きな四角い部屋があり、陽の光が届いていないにも関わらず灯のオーパーツによって部屋全体が照らされていた。
「うわー、広―い!何この部屋―」
「どうやらここがこの遺跡の最深部みてーだな」
「ねえ、ちょっと見てあれ!」
皆が部屋を見渡していると何かを見つけたフェルナが皆に声をかけた。フェルナが指した先の方を見るとそこには巨大な台座があった。そしてその台座の上には光沢のある素材で作られた篭手のようなものが置かれていた。その篭手は手首の周囲を包み込む程度の小さなものではあるが、銀色に輝く表面にはきめ細かい模様が施されており、中央には透き通った紅玉がはめ込まれていた。
「あれ、オーパーツ・・・?」
その篭手が放つ見たこともない綺麗な光にラスは目を奪われてしまった。隠し通路といい、設置されている場所といい、このオーパーツはそこらにあるものとは何か違った雰囲気を纏っていた。
「あれは・・・?」
皆がオーパーツに目を奪われているときにウィルがその異変に気付いた。天井から染み出してきた数滴の水の雫が、地面に落下することなくその篭手の紅玉の部分に吸い込まれていったのである。
「どうやらあのオーパーツには水を吸収する力があるみたいです。この周囲の干魃の原因はあのオーパーツのようですね。」
「まじか、当たりだな!」
「おー、やったね!」
そう言うとメルトは台座の上まで一気に走っていった。
「メルト、いきなり近づくのは危険だ!早くこっちに戻ってくるんだ」
「えっ?」
メルトがウィルの声に気づいたときには既に台座の上まで登っていた。一瞬皆に緊張が走ったが、しばらくしても何か起こる様子は無かった。
「もう、ウィル君脅かさないでよ!特に何もないみたいだよ?」
「でも何があるかわからないからウィルの言うとおり気をつけるんだよー?」
「へーきへーき!もう皆心配しすぎだよ。早くこのオーパーツ持って帰って調べちゃおう!」
メルトはウィルとフェルナの忠告を聞かずにオーパーツの篭手へとその手を伸ばし、台座から取ろうとした。
「あれ?」
「!?どうしたメルト?」
「この篭手台座にくっついてて離れないよー!うーーーーん!このーーーー!」
「ちょっと、脅かさないでよ!」
「あれー、おかしいなー。クラウー!ちょっと手伝ってー!」
「おー、今行くから待ってろー」
メルトに呼ばれたクラウは台座の方へと歩いていこうとした。そのとき、急に天井から巨大な何かが降ってきた!
ズドンッ――――
その巨大な何かは鈍い音を立てて地面とぶつかった。その直後、クラウは自分を睨みつける二つの赤い目を見た。
「クラウさん!避けて!!」
ウィルに言われる前にクラウは反射的に身をかがめていた。その直後クラウの頭のわずか上を巨大な石の爪が風を斬る轟音と共に通過していった。
「クラウっ!大丈夫?」
「あぁ、なんとかな!危ないところだった!よっと!」
爪の攻撃を躱したクラウは体制を立て直して距離を取るために後ろに跳んだ。
「こいつは一体なんなんだ!?」
距離を取ったクラウが改めてその巨大な何かを確認すると、そこには二本の角を持ち、背中にコウモリを彷彿させる羽根が生えた巨大な怪物がいた。その怪物は全身が石のようなものでできており、その重たさを証明するかのような地面に響く足音を立ててゆっくりとクラウの方へと向き直った。
「何あれ・・・怖い・・・」
その威圧感がある見た目と動きにラスはガタガタと小刻みに震えていた。
「多分あのオーパーツの番人だ。以前書物で読んだことがある、非常に強い力を持ったオーパーツは何かしらの強い力で護られていることがあるらしい。それは結界のようなものもあればまるで生物のようなものが近づけないように護っていることもあるとか」
「へー、じゃああいつはあのオーパーツを私達がここから持ち去ろうとしたからそれに反応して落ちてきたって訳ね」
「ええ、おそらくは・・・。すみません、すっかり失念していました」
「気にすることはないさ。村があんなになった原因を作っているのがあのオーパーツならいずれにせよ持ち出す必要があったんだ。それよりも今はあいつをなんとかしないとね。ラスは私の後ろに隠れてなさい!メルトはそこから動かないで!クラウ、久々の戦闘だけど準備はいい?」
「誰に言ってるんだフェルナ、これでも俺は元王国騎士団の近衛兵だぜ!行けるに決まってるだろ!」
「それならよし!ウィル、あなたは急いでメルトをここに連れてきて二人を護ってて!」
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