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更に時が過ぎ親の力でマドレーナがリリーからティアゴを横取りしてから3か月が経過した頃、マドレーナは父であるモーリア伯爵と共に王宮に来ていた
目的はティアゴ・ユング公爵令息とマドレーナの婚約が正式に決まった事をティアゴの祖父である国王陛下に報告する事だが実は両家の顔合わせの日でもある、実は夜会やお茶会以外でティアゴと会うのはこれが初めてなのだ
(…ようやくなのね、リリー・フェルマーという女狐にティアゴ様を奪われてから半年…本当に長かったわ)
実際には婚約者のいる殿方を横取りしたのはマドレーナの方で、しかも父親の力で奪ったのであって彼女本人は何の努力もしていない
…いや嫉妬によるリリー嬢への嫌がらせに奔走していたという点では何もしていないわけではないが努力の方向性が間違っている
そんな時、マドレーナにとって最も忌まわしい人間の顔が目に入った
折角良い気分だったのに…何であの女が王宮にいるの?
「あら?マドレーナ様、ごきげんよう」
あんなに嫌がらせを受けたのにマドレーナに対して礼儀を忘れないリリー嬢
「…リリー様、ごきげんよう」
(貴女の顔を見たせいで気分が最悪になってしまったけれどね!)
一方マドレーナも相変わらずである最早清々しいくらいだ
「…ところでリリー様はどうしてこのような場所に?」
鈍臭くて道にでも迷ったのかしら?とでも言いたげに嘲笑するマドレーナ
「実は私婚約が決まりまして本日国王陛下にご報告とご挨拶に参りましたの」
「…へえ?そうですの」
(リリー様が婚約?ティアゴ様に婚約を破棄されてからそんなに早く新しい婚約者が見つかったの?)
実際には婚約破棄ではなく両家同意の上での婚約解消なのだが、そのような事を理解出来る頭を持っているマドレーナではない
「リリー様の新しい婚約者はどのような方なの?」
(国王陛下に挨拶という事は彼女の新しい婚約者も公爵家の殿方なの?…まさか王子様ではないでしょうけれど)
「少し待って下さいね…あっ来られましたわ」
一時的にその場を離れていたリリーの婚約者が戻って来て彼女の手を取った、そのリリーの婚約者の顔を見た瞬間マドレーナは驚愕した
「なっ!!」
(どうしてティアゴ様が?リリー様との婚約は破棄されて今は私の婚約者なのではなかったの!?)
「紹介しますわ、私の婚約者のアリスティア·ブランケンハイム様です」
「アリス…ティア様?」
( …ティアゴ様ではなかったの?)
「初めまして、リリー嬢の婚約者のアリスティア·ブランケンハイムです」
そう言って微笑む銀髪の端正な顔立ちの青年
何とマドレーナはこの10年間想い人の名前を勘違いしていたのだ、常識的には考えられない事だが妄想彼氏を本物の恋人だと思い込み親に頼んで人の婚約者を奪うような令嬢であるマドレーナだ、別に不思議ではない
「すまない待たせたな、さあ謁見室に行こう国王陛下がお待ちだ」
そんな時聞き覚えのある声がした、マドレーナが半年前に醜態を晒した相手…ブランケンハイム公爵だった
「父上、ずいぶんと浮かれていますね…」
そう言ってアリスティアが苦笑をする
「仕方がないだろう、リリー嬢が本当の娘になってくれるのが嬉しいのだから…そして何よりアリスティア、お前がずっと想い続けていた相手と幸せになれるのだ、それを喜ばない親はいない」
「父上…」
そんな会話をしながら去って行くブランケンハイム親子とリリー嬢を呆然と見送るマドレーナ
アリスティアの家とリリーの家は昔から家族ぐるみの付き合いだった、アリスティアとリリーは幼い頃から相思相愛であったが、リリーに一目惚れしたティアゴが公爵家の権力でなかば無理矢理彼女を婚約者にしたのだった
ティアゴの婚約者のままだったらリリーとアリスティアは婚約出来なかった、意図せずマドレーナは2人の恋のキューピッドになっていたのだ
…余談だがクラスメートの令嬢達がマドレーナとティアゴがお似合いだと言っていたのは
『親の力で想い人を無理矢理婚約者にする恥知らず同士お似合いだ』
という意味で言ったのだった
…ちょっと待って、では私の婚約者のティアゴ様は一体誰なの?
ようやく思考が戻ってきたマドレーナの当然の疑問だ
「やあマドレーナ嬢!会えて嬉しいよ」
「きゃあ!」
夜会でいつも絡んできたナンパ男が突然声をかけてきた
「ちょっと!あまり馴れ馴れしくしないで下さいます?」
「ふふ、つれないね…でもそこが君の可愛いところだよね、それが君なりの愛情表現なんだから」
この男は何を言っているのだ?
「こら!マドレーナいくら照れ隠しとはいえそのような態度は良くないぞ…申し訳ありませんティアゴ殿娘が素直になれないばかりに…気を悪くなさらないで欲しい」
「良いのですよ、モーリア伯爵俺はマドレーナ嬢のそのようなところも愛しているのですから!」
(ティアゴ!?この軽薄なナンパ男がティアゴ様だと言うの?)
「おしとやかなリリー嬢も可愛らしい女性だったけれど、俺は君のような気の強いツンデレな女性はストライクゾーンど真ん中なんだよね!」
(そんな!?私はこのような男と婚約してしまったの?)
「君が学園を卒業したらすぐに結婚しよう!海の見えるロマンチックなチャペルで盛大な披露宴をしてそのままハネムーンだ、そして次の年にはハネムーンベイビーが生まれてとびっきり幸せな家庭を築こう!」
ふふっ楽しみだなあと笑うナンパ男もといティアゴ公爵令息
マドレーナの妄想が本当のものになろうとしている…相手は違うが
本当の想い人と結婚出来るアリスティア公爵令息とリリー伯爵令嬢
有利な契約で大きな稼ぎを約束されたユング公爵
相手に有利な条件を譲ったが自身にも充分な利益があったモーリア伯爵
好みのタイプど真ん中の女性と婚約出来たティアゴ公爵令息
今回の件の関係者は全員幸せになれたのだ…ただ1人を除いては
どうしてこんな事になるのよぉー!!
マドレーナの叫びは声になる事は無かったが全てが自業自得…身から出た錆だったのだ
※本編マドレーナ視点はここで終了です次からは別人視点の番外編になります
蛇足になりますが最後までお付き合いいただけたら嬉しいです
目的はティアゴ・ユング公爵令息とマドレーナの婚約が正式に決まった事をティアゴの祖父である国王陛下に報告する事だが実は両家の顔合わせの日でもある、実は夜会やお茶会以外でティアゴと会うのはこれが初めてなのだ
(…ようやくなのね、リリー・フェルマーという女狐にティアゴ様を奪われてから半年…本当に長かったわ)
実際には婚約者のいる殿方を横取りしたのはマドレーナの方で、しかも父親の力で奪ったのであって彼女本人は何の努力もしていない
…いや嫉妬によるリリー嬢への嫌がらせに奔走していたという点では何もしていないわけではないが努力の方向性が間違っている
そんな時、マドレーナにとって最も忌まわしい人間の顔が目に入った
折角良い気分だったのに…何であの女が王宮にいるの?
「あら?マドレーナ様、ごきげんよう」
あんなに嫌がらせを受けたのにマドレーナに対して礼儀を忘れないリリー嬢
「…リリー様、ごきげんよう」
(貴女の顔を見たせいで気分が最悪になってしまったけれどね!)
一方マドレーナも相変わらずである最早清々しいくらいだ
「…ところでリリー様はどうしてこのような場所に?」
鈍臭くて道にでも迷ったのかしら?とでも言いたげに嘲笑するマドレーナ
「実は私婚約が決まりまして本日国王陛下にご報告とご挨拶に参りましたの」
「…へえ?そうですの」
(リリー様が婚約?ティアゴ様に婚約を破棄されてからそんなに早く新しい婚約者が見つかったの?)
実際には婚約破棄ではなく両家同意の上での婚約解消なのだが、そのような事を理解出来る頭を持っているマドレーナではない
「リリー様の新しい婚約者はどのような方なの?」
(国王陛下に挨拶という事は彼女の新しい婚約者も公爵家の殿方なの?…まさか王子様ではないでしょうけれど)
「少し待って下さいね…あっ来られましたわ」
一時的にその場を離れていたリリーの婚約者が戻って来て彼女の手を取った、そのリリーの婚約者の顔を見た瞬間マドレーナは驚愕した
「なっ!!」
(どうしてティアゴ様が?リリー様との婚約は破棄されて今は私の婚約者なのではなかったの!?)
「紹介しますわ、私の婚約者のアリスティア·ブランケンハイム様です」
「アリス…ティア様?」
( …ティアゴ様ではなかったの?)
「初めまして、リリー嬢の婚約者のアリスティア·ブランケンハイムです」
そう言って微笑む銀髪の端正な顔立ちの青年
何とマドレーナはこの10年間想い人の名前を勘違いしていたのだ、常識的には考えられない事だが妄想彼氏を本物の恋人だと思い込み親に頼んで人の婚約者を奪うような令嬢であるマドレーナだ、別に不思議ではない
「すまない待たせたな、さあ謁見室に行こう国王陛下がお待ちだ」
そんな時聞き覚えのある声がした、マドレーナが半年前に醜態を晒した相手…ブランケンハイム公爵だった
「父上、ずいぶんと浮かれていますね…」
そう言ってアリスティアが苦笑をする
「仕方がないだろう、リリー嬢が本当の娘になってくれるのが嬉しいのだから…そして何よりアリスティア、お前がずっと想い続けていた相手と幸せになれるのだ、それを喜ばない親はいない」
「父上…」
そんな会話をしながら去って行くブランケンハイム親子とリリー嬢を呆然と見送るマドレーナ
アリスティアの家とリリーの家は昔から家族ぐるみの付き合いだった、アリスティアとリリーは幼い頃から相思相愛であったが、リリーに一目惚れしたティアゴが公爵家の権力でなかば無理矢理彼女を婚約者にしたのだった
ティアゴの婚約者のままだったらリリーとアリスティアは婚約出来なかった、意図せずマドレーナは2人の恋のキューピッドになっていたのだ
…余談だがクラスメートの令嬢達がマドレーナとティアゴがお似合いだと言っていたのは
『親の力で想い人を無理矢理婚約者にする恥知らず同士お似合いだ』
という意味で言ったのだった
…ちょっと待って、では私の婚約者のティアゴ様は一体誰なの?
ようやく思考が戻ってきたマドレーナの当然の疑問だ
「やあマドレーナ嬢!会えて嬉しいよ」
「きゃあ!」
夜会でいつも絡んできたナンパ男が突然声をかけてきた
「ちょっと!あまり馴れ馴れしくしないで下さいます?」
「ふふ、つれないね…でもそこが君の可愛いところだよね、それが君なりの愛情表現なんだから」
この男は何を言っているのだ?
「こら!マドレーナいくら照れ隠しとはいえそのような態度は良くないぞ…申し訳ありませんティアゴ殿娘が素直になれないばかりに…気を悪くなさらないで欲しい」
「良いのですよ、モーリア伯爵俺はマドレーナ嬢のそのようなところも愛しているのですから!」
(ティアゴ!?この軽薄なナンパ男がティアゴ様だと言うの?)
「おしとやかなリリー嬢も可愛らしい女性だったけれど、俺は君のような気の強いツンデレな女性はストライクゾーンど真ん中なんだよね!」
(そんな!?私はこのような男と婚約してしまったの?)
「君が学園を卒業したらすぐに結婚しよう!海の見えるロマンチックなチャペルで盛大な披露宴をしてそのままハネムーンだ、そして次の年にはハネムーンベイビーが生まれてとびっきり幸せな家庭を築こう!」
ふふっ楽しみだなあと笑うナンパ男もといティアゴ公爵令息
マドレーナの妄想が本当のものになろうとしている…相手は違うが
本当の想い人と結婚出来るアリスティア公爵令息とリリー伯爵令嬢
有利な契約で大きな稼ぎを約束されたユング公爵
相手に有利な条件を譲ったが自身にも充分な利益があったモーリア伯爵
好みのタイプど真ん中の女性と婚約出来たティアゴ公爵令息
今回の件の関係者は全員幸せになれたのだ…ただ1人を除いては
どうしてこんな事になるのよぉー!!
マドレーナの叫びは声になる事は無かったが全てが自業自得…身から出た錆だったのだ
※本編マドレーナ視点はここで終了です次からは別人視点の番外編になります
蛇足になりますが最後までお付き合いいただけたら嬉しいです
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