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第4章 帰り道が騒がしい
第62話 わかりきった決裂
しおりを挟む「………で、何がどうなったらそうなるんだ?」
任務を終え《グレイア》に着き、城に戻って国王に会った途端に言われたのはその一言だった。
確かに、俺の背後にはメサとメイカ、そして30人の暗殺者に、リーナという植人族、そして暗殺者たちに引きずられているのがグラミノだ。因みに、お嬢様は俺の隣に居る。
「……いや、言わなくて良い。カレナが帰ってきてから聞こう。それまでは来客者として招き入れよう。……その男は確か『ジャティゴ』の……」
説明しようとした俺を手を突き出して制し、暗殺者たちに引きずられているのを見た国王がグラミノを見て思うところがあるらしいので、国王の護衛をしていた騎士の足元に投げる。
「おいっ!くそっ!命を取らないと言ったが、国に渡されたら殺されたのも同然では無いかっ!おいっ!!くそぉぉっ!!」
国王は正確に思い出せなかったらしいが、騎士の人は覚えているらしく、2人がかりでまた引きずっていった。
護衛が居なくなってもなんら支障が無いらしく、国王自ら待合室に案内してくれたので、そこで待つ事にした。
俺らの部屋は残っていると思うから戻っても良いんだが……、こいつらが不安に思うだろうし、それに……
待合室にあるソファーに深く座ったお嬢様の傍に立ち、視線を隣に移すと薄っすらと姿が薄れているが、カトラが俺のズボンの裾を握ってジッと息を潜めて座り込んでいる。
実は隠密のスキルを使って隠しておいてある。一応《リオヌス》の正統な王位継承者らしいから、国家問題に発展するのを避けるために。
カレナさんには言うつもりだが、国王には言わなくて良いだろう。国王に話して《リオヌス》との関係のせいでカトラの身が危ぶまれたらシャレにならないからな。
「それにしても、久しぶりだね~」
「そうですね、恐らく一ヶ月ほどここから離れていたので」
お嬢様は感慨深そうに呟く。お嬢様がそう感じるのも無理は無い。今回の任務は面倒な出来事が多すぎたな。次の任務はこんなにも多くないと良いんだけどな~。
「お待たせしました。カレナ様が到着されたので話を伺うと」
メイドの人が国王からの呼び出しを告げる。さあ、どこまで交渉出来るかが懸かっているな……。
「お久しぶりですね、朱音さん、陸人さん」
「お久しぶりです」
お嬢様が言葉で返し、俺は頭を下げて返す。俺まで言う必要は無いだろう。
「それで……話は軽く聞いたのですが……随分とお連れしましたね」
「はい、実はその事で話があります」
「それよりも、任務の成果を答えよ」
カレナさんにメサたちの事を言おうとした前に、国王から口を挟まれる。まあ、確かに国王としては聞かないといけないのはそれからだろうな。
だが、聞かなくてもおおよそ検討はついているんだろ?俺たちが植人族のリーナを連れて来ている時点で。
「はい。私たちは《カタハの森》にて植人族の族長との友好関係を築く事に成功し、こちらのリーナはその友好関係の証として私たちの仲間になった者です」
「ご紹介に預かりました、リーナと申します。私は朱音さんに付いて行くと決めた身であると同時に人族と植人族の関係をより良いものへと結ぶ為にまいりました」
お嬢様が国王の前で跪き、リーナも続いて跪く。お嬢様が跪くのは穏やかになれないが、国王の前ともなるとそうしないといけないのは腹が立つ。
因みにあの人族をけなしまくったリーナとは思えないセリフはお嬢様が指示したものだ。流石にお嬢様に付いて行くは勝手に言っただけだろう。
「…報告ご苦労。この国が始まって初めて植人族との友好な関係を築けたのは大義であった。後に報酬と共に褒美を与えよう」
国王としては気にしていた事を先に確かめられてホッとしているだろうが、国王が頭を悩めると思うのはここからだ。
「……で、その者らは何者だ?見たところ、大した身分でも無い、他種族という訳でも無いみたいだが?」
「彼らは自分が拾った、行き場の無い人たちです」
拾ったと言った時点で国王もカレナさんも眉をひそめる。それに気付いていないように装い、言葉を続ける。
「彼らは自らが望んでいない職業を強制された人たちです。ですから、彼らを保護してもらえーー」
「何を言っている。望んでいない職業に就く事など、当たり前であろう」
国王は俺の言葉をかき消すように、威圧的な声を出す。それに、カレナさんも国王と同じ意見らしく、俺の真意を読み取ろうとしているかのように、鋭い目で睨んでいる。
予想は出来ていた。確証もあった。国王もカレナさんも俺の言っている事を理解してくれないと。
だが、もしかしたら、俺の真剣な姿勢を見せたら察してくれるかもと思っていた。心の何処かでそんな淡い期待をしていた。
そんなものはあり得ない、それを示すかのように国王の態度も、カレナさんの視線も変わらない。なら……
「俺は本気で言っています。彼らを本来の職業とは違う職業に就かせないと言うのなら……この場で強引に認めさせる事も厭わない」
「リクトさんっ!何もそこまでっ!!」
メサの声がキッカケになったのか、カレナさんが剣を抜き、俺に迫って来た。
俺は無限収納から刀を取り出し、上段から来たカレナさんの剣を真っ向から受け止める。
一瞬、激しい風が俺たちの周りに吹き荒れ、場の空気を一気に緊張感のあるものへともっていった。
「……どういうつもりですか?この世界の事はもう知っているはずですよね」
「ええ、知りました。この世界の異常さを。なので、俺はこの世界に楯突こうかと」
剣と刀から火花が散り、顔を肉薄させ、睨み合う。カレナさんはこの世界に対しての不満……いや疑問を抱いた事の無い人だ。
それもそのはず、不満を抱いていたメサやメイカだって疑問を抱く事は無かった。
勇者としては出来ないが、異世界人の執事として、この世界の間違いに目を瞑る訳にはいかない。それに……
「陸人っ!私たちが正しいって教えよう!!」
お嬢様がこんなにも望んでいるのだからなっ!!
「朱音さんまでっ!!どうされますか!?」
「取り押さえよっ!彼らは貴重な戦力だ!失う訳にはいかない。よって『宝剣』の使用を許可する!!」
国王から命を受けたカレナさんは、さっきまでの友人を疑うような表情から敵を抹殺するためだけに剣を振るう、戦士の表情、目になる。
それと同時にカレナさんの剣が眩いばかりの光を放ち始めた。
「カレナさんの宝剣、初めて見ましたよ」
「……陸人さんは確かに強いです。今のあなたは私より強いのかもしれません。ですが、それは『宝剣』を使っていない私。『宝剣』を使った時点で、あなたの勝利はありません」
冷酷な目、機械的な声で告げられる宣告。これは確かに騎士団長としては相応しい態度だ。だが、こっちだって……
「確かにカレナさんは強いです。けど、私と陸人のタッグであなたは勝てた事がありますか?」
「そうです。何も自分は一人で戦うと言ってませんよ。自分はお嬢様と二人であなたに勝ちます」
俺の隣に立ったお嬢様は、気分が高揚し過ぎているのか、辺りに小さくて勢いもそれほどないけど粉吹雪を撒き散らしている。
俺の刀を持っている手が凍り付きそうで、凍り付かないところがお嬢様らしい。
「行きますよ、お嬢様」
「分かってるよ、陸人」
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投稿が遅れて申し訳ないです。最近リアルで忙しくて……
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