10 / 73
外伝・劇場版(風) 山吹色の世界
05
しおりを挟む
結局、ホタルの行方はわからず、捜索願いが出された。我が子が行方不明に泣き崩れる両親に、皆は言葉を失っていた。
山吹はというと、あの後病院に運ばれ、のちに目を覚ました。しかし、今までの記憶は全くないと言った。
鎧武者は、しばらく姿を消したいと言って、刀から再び鎧武者の影を表し、消えていった。鎧武者曰く、自身は不死身なんだと。
街に姿を表した色ありの少女、クマベラはそのまま逃走し、姿を消したらしい。しかし、驚いたのはmaximumが日本にいつの間にか来ていた点である。アメリカは日本との友好関係の証しとして、色ありの少女の出現率の高い日本にmaximumを送ったらしい。アメリカの騒動でおきたmaximumの改良型と言うが、真紀にとっては今でもゾッとする物だった。
このmaximum後期は、世界の紛争地帯にも送られ、色なしの少女を兵器に使う反勢力軍の鎮圧にも使われていった。
+ + +
ここはとある病室ーー
コンコン
山吹の病室にノックがなった。
「誰だろう?」
「お見舞いじゃないの?」
同じくお見舞いに来ていた真紀が言った。
しかし、扉を開け表れたのは知らない男の人だった。大人のスーツを着た男性の隣に見馴れた知人の姿もあらわれた。
「さくらさん!」
「見舞いに来たよ!」
「よろしいんですか、お仕事は」
「それはいいの。それより、真紀ちゃん。ちょっといい?」
「はい、何ですか」
そう言って、真紀はさくらにつられて病室を出た。
「あの、何ですか?」
「山吹さんのご家族について分かったの」
「ふきちゃんの家族!?」
「山吹さんのご家族は行方不明になっていた。山吹さん自身も家族のこと記憶になかったからね。でも、少し気になって、こちらで調べてたの」
「じゃあ、さっきの人は役所の人か何か?」
「そうね」
その頃、病室では山吹の家族のことを聞かされていた。別にそれ事態驚くことも悲しくなることもなく、ただあまり実感がないのか、記憶がないせいなのか、聞いても何も感じなかった。それでも、山吹にとっては知らない過去を知れたわけで、全てを言い終えたスーツの男性に山吹はお辞儀をする。
「教えて頂きありがとうございます」
最初の言葉がお礼だったことに、男は驚いた。
ガラッ
真紀は男とすれ違う感じで病室に入った。
「どうだった?」
「うん、私の両親はすでに亡くなっていたみたい」
「あっ・・・・ゴメン」
「あっ、いいの。私にとって、真紀ちゃんは私の家族みたいなものだし。それが今も変わらないと知れて良かったの」
「ふきちゃん・・・・」
「勿論、真紀ちゃんは私の妹ってことで」
「えぇー、私妹なの。いや、お姉ちゃんでしょ」
「あら、じゃあお姉ちゃんに聞こうかしら。私がいない間もちゃんと家事はやってるのかしら?部屋の掃除はいつやったのかな?」
「いや・・・・その・・」
「どうやら私はお姉ちゃんじゃなくて、真紀のお母さんみたいね。なら、ダメな子にお仕置きしなくちゃね」
「いやいや、お仕置きは嫌ですお母様」
「早くこちらに来て尻出しなさい」
「まさかの尻叩き!?ごめんなさい、ちゃんとやりますから」
土下座して謝る真紀に、山吹はひそかに笑う。
外伝・山吹色の世界 完
山吹はというと、あの後病院に運ばれ、のちに目を覚ました。しかし、今までの記憶は全くないと言った。
鎧武者は、しばらく姿を消したいと言って、刀から再び鎧武者の影を表し、消えていった。鎧武者曰く、自身は不死身なんだと。
街に姿を表した色ありの少女、クマベラはそのまま逃走し、姿を消したらしい。しかし、驚いたのはmaximumが日本にいつの間にか来ていた点である。アメリカは日本との友好関係の証しとして、色ありの少女の出現率の高い日本にmaximumを送ったらしい。アメリカの騒動でおきたmaximumの改良型と言うが、真紀にとっては今でもゾッとする物だった。
このmaximum後期は、世界の紛争地帯にも送られ、色なしの少女を兵器に使う反勢力軍の鎮圧にも使われていった。
+ + +
ここはとある病室ーー
コンコン
山吹の病室にノックがなった。
「誰だろう?」
「お見舞いじゃないの?」
同じくお見舞いに来ていた真紀が言った。
しかし、扉を開け表れたのは知らない男の人だった。大人のスーツを着た男性の隣に見馴れた知人の姿もあらわれた。
「さくらさん!」
「見舞いに来たよ!」
「よろしいんですか、お仕事は」
「それはいいの。それより、真紀ちゃん。ちょっといい?」
「はい、何ですか」
そう言って、真紀はさくらにつられて病室を出た。
「あの、何ですか?」
「山吹さんのご家族について分かったの」
「ふきちゃんの家族!?」
「山吹さんのご家族は行方不明になっていた。山吹さん自身も家族のこと記憶になかったからね。でも、少し気になって、こちらで調べてたの」
「じゃあ、さっきの人は役所の人か何か?」
「そうね」
その頃、病室では山吹の家族のことを聞かされていた。別にそれ事態驚くことも悲しくなることもなく、ただあまり実感がないのか、記憶がないせいなのか、聞いても何も感じなかった。それでも、山吹にとっては知らない過去を知れたわけで、全てを言い終えたスーツの男性に山吹はお辞儀をする。
「教えて頂きありがとうございます」
最初の言葉がお礼だったことに、男は驚いた。
ガラッ
真紀は男とすれ違う感じで病室に入った。
「どうだった?」
「うん、私の両親はすでに亡くなっていたみたい」
「あっ・・・・ゴメン」
「あっ、いいの。私にとって、真紀ちゃんは私の家族みたいなものだし。それが今も変わらないと知れて良かったの」
「ふきちゃん・・・・」
「勿論、真紀ちゃんは私の妹ってことで」
「えぇー、私妹なの。いや、お姉ちゃんでしょ」
「あら、じゃあお姉ちゃんに聞こうかしら。私がいない間もちゃんと家事はやってるのかしら?部屋の掃除はいつやったのかな?」
「いや・・・・その・・」
「どうやら私はお姉ちゃんじゃなくて、真紀のお母さんみたいね。なら、ダメな子にお仕置きしなくちゃね」
「いやいや、お仕置きは嫌ですお母様」
「早くこちらに来て尻出しなさい」
「まさかの尻叩き!?ごめんなさい、ちゃんとやりますから」
土下座して謝る真紀に、山吹はひそかに笑う。
外伝・山吹色の世界 完
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる