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8.5章 銃
プロローグ
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深林の山奥に、若い男女の声が響く。
「どうするんだよ」
「どうするって、何を!?」
「俺達は人殺しだ、もう終わりだ」
「そうよ、こんなことして何の意味があるの?」
「じゃあ、俺らは自首して刑務所で暮らして人生ダメにするのか?」
「相手は銃を持ってた。それに奴も殺したじゃないか」
「バカなの!?あいつ、軍の人間だったのよ。無線で言ってたの聞いたでしょ。任務完了って」
「だけど、あれは俺達の友達だっただろ。トムを殺されたんだぞ」
「トムはいつもパソコンで色々なとこハッキングしてただろ。あいつはそうやって俺達に自慢してきた。多分、軍の機密をハッキングしたんだよ」
「バカな、軍のコンピューターにハッキング出来るか」
「役所や警察のコンピューターをハッキングしてた奴だぞ」
「トムがそんなバカだとは思わないんだけど」
「なら、何で軍がトムを狙うんだよ」
「皆!いいから黙って。これからのことを話し合いましょう」
「自首しよう。今なら未成年だし、初犯だ。犯行を認めれば社会奉仕ですむかもしれない」
「刑務所にいかなくてすむ」
「だが、全科はつく。学校も退学され、働き口もないも同然。俺達は全員ホームレスさ」
「自首は僕も反対だ。皆、よく考え直すべきだ。それでいいのか?」
「なら、どうするって言うんだ。そもそも、お前がこんな所に移動させようって言ったんだろ」
「あぁ、言った。ここで、奴の遺体を隠す」
「はっ!?」
「正気?」
「あぁ、正気だ。遺体を燃やし、遺体を粉々にして、埋める。燃やせば外見から遺体の判明も出来ないし、埋めればこの山の中から遺体を見つけ出すことはできない。念のために、彼の遺体を警察犬が発見できないよう、あちこちの木々に薬品をまく。こうすれば、自慢の鼻も疲れなくなる。なんなら、匂いを嗅ぐと身体に影響のある薬品をまけばいい」
「そんなことすれば逆にバレない?」
「山全体に薬をまく。薬はネットから手に入れる。感心なのは遺体を発見させないことだ。遺体がなければ僕達は捕まらない」
「俺はやらないぞ」
「あぁ、分かった。僕一人でやる。皆は先に帰って」
「あはは、遂にお前もイカれたな。分かった、俺も手伝うよ」
「嘘でしょ!?」
「他の皆は黙っていればいい。場合によっては僕のせいにしてもいい。だから、自首だけはしないでくれ。僕には妹がいる。皆、知ってるよね?僕の妹は産まれた時から臓器が悪くて、ドナー待ちしている。ここで誰かが捕まれば当然皆疑われる。もし、僕が捕まったら妹に臓器提供に影響が出かねないとは限らない」
「そんな……」
「皆、頼む」
男は深々と頭を下げた。
「分かったわ。でも、私は手伝わないから」
「あぁ、構わない」
そう言って、男はマッチを取りだし火をつけた。
「よし、やるぞ!」
暗闇の森の中で照らされるメンバー。その中心に、メンバーでない彼が血を流し横たわっていた。
その横に落ちてある、彼の持ち主だと思われる指輪には、名前が彫られてあった。
その名を アレン
「どうするんだよ」
「どうするって、何を!?」
「俺達は人殺しだ、もう終わりだ」
「そうよ、こんなことして何の意味があるの?」
「じゃあ、俺らは自首して刑務所で暮らして人生ダメにするのか?」
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「バカなの!?あいつ、軍の人間だったのよ。無線で言ってたの聞いたでしょ。任務完了って」
「だけど、あれは俺達の友達だっただろ。トムを殺されたんだぞ」
「トムはいつもパソコンで色々なとこハッキングしてただろ。あいつはそうやって俺達に自慢してきた。多分、軍の機密をハッキングしたんだよ」
「バカな、軍のコンピューターにハッキング出来るか」
「役所や警察のコンピューターをハッキングしてた奴だぞ」
「トムがそんなバカだとは思わないんだけど」
「なら、何で軍がトムを狙うんだよ」
「皆!いいから黙って。これからのことを話し合いましょう」
「自首しよう。今なら未成年だし、初犯だ。犯行を認めれば社会奉仕ですむかもしれない」
「刑務所にいかなくてすむ」
「だが、全科はつく。学校も退学され、働き口もないも同然。俺達は全員ホームレスさ」
「自首は僕も反対だ。皆、よく考え直すべきだ。それでいいのか?」
「なら、どうするって言うんだ。そもそも、お前がこんな所に移動させようって言ったんだろ」
「あぁ、言った。ここで、奴の遺体を隠す」
「はっ!?」
「正気?」
「あぁ、正気だ。遺体を燃やし、遺体を粉々にして、埋める。燃やせば外見から遺体の判明も出来ないし、埋めればこの山の中から遺体を見つけ出すことはできない。念のために、彼の遺体を警察犬が発見できないよう、あちこちの木々に薬品をまく。こうすれば、自慢の鼻も疲れなくなる。なんなら、匂いを嗅ぐと身体に影響のある薬品をまけばいい」
「そんなことすれば逆にバレない?」
「山全体に薬をまく。薬はネットから手に入れる。感心なのは遺体を発見させないことだ。遺体がなければ僕達は捕まらない」
「俺はやらないぞ」
「あぁ、分かった。僕一人でやる。皆は先に帰って」
「あはは、遂にお前もイカれたな。分かった、俺も手伝うよ」
「嘘でしょ!?」
「他の皆は黙っていればいい。場合によっては僕のせいにしてもいい。だから、自首だけはしないでくれ。僕には妹がいる。皆、知ってるよね?僕の妹は産まれた時から臓器が悪くて、ドナー待ちしている。ここで誰かが捕まれば当然皆疑われる。もし、僕が捕まったら妹に臓器提供に影響が出かねないとは限らない」
「そんな……」
「皆、頼む」
男は深々と頭を下げた。
「分かったわ。でも、私は手伝わないから」
「あぁ、構わない」
そう言って、男はマッチを取りだし火をつけた。
「よし、やるぞ!」
暗闇の森の中で照らされるメンバー。その中心に、メンバーでない彼が血を流し横たわっていた。
その横に落ちてある、彼の持ち主だと思われる指輪には、名前が彫られてあった。
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