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序章

プロローグ ちひろ

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 私は、和樹君のことが好きだ。でも、和樹君は、斌君(たけし)のことが好きだった。ちなみに和樹君は、男だし、斌君も男だよ。私のような女が男を好きになったらおかしいのかな?これが、小学生の頃の私の気持ちだった。
 それから数年がたち、それでも私は、和樹君のことが好きだった。でも、更に和樹君と斌君がどんどん仲良くなっていくのを見ると、やっぱり彼らの間に私が入るなんて無理だった。
 和樹君が斌君と仲がいいのは、クラスの皆が知っていた。だから、悪戯半分に和樹君と斌君がキスをするよう迫ったら、二人は本当にキスをしてしまうんじゃないかって、考えてた。これが、中学生の頃の私の気持ちだった。
 それまた数年がたち、和樹君と私は同じ高校に入った。斌君は別の高校に入ったから今度こそ和樹君と私が一緒になれるんじゃないかと期待した。でも、和樹君はまた別の男を見つけだした。今度は陽毅君(はるき)が和樹君の彼氏になった。それを知った斌君は、和樹君に嫉妬し、陽毅君には嫌がらせをしかけてきた。斌君は、斌君で、学校が違くても諦めるつもりはなかったらしい。最近、同性同士で結ばれる話をテレビでよく見るが、同性同士の三角関係はまれじゃないかな。でも、その中に私はまだ入れていない。和樹君は、女性が嫌いなのかな?男性じゃないと駄目なのかな、とリアルに考えていた。これが、高校生の頃の私の気持ちだった。
 
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