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序章

プロローグ 陽毅君

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 高校へ入学した俺はわくわくしていた。何故かっていうと、高校には出会いがあるからだ。中学にはろくな可愛いやつがいないかったから、可愛い子が集まる高校へと進学した。偏差値は高いが、必死に勉強して見事、合格したわけだ。両親は俺の目的なんか知らず、高い偏差値の高校を目指すと言ったら驚いたが、必死に勉強している姿をみて感動したらしい。普段から非行少年だった俺が将来に向けて努力したと思っているのだろう。それは、それでかまわなかった。
 自分のクラスが決まり、教室に入って見渡した。当然、これから一緒に勉強するクラスメイトを見るためだが、やはり女子だった。入学式の時も可愛い子は多く、勉強したかいはあった。
 まぁ、いきなり初日に女子に声を掛ける勇気はないため、まずはクラスに馴染むことが先決だろう。そう思い、とりあえず自分の席につく。すると、隣からほのかに甘い匂いがした。この匂い、俺好みだな。と、隣を見ると男だった。そいつは和樹って名前で、なんか初めて会ったのに親近感を感じた。そして、彼を見ていたのに気づいた和樹君は、俺と目が会った。俺はとっさに目をそらす。それと同時に、身体中が熱く感じた。
(やべぇ、こいつ男なのに何赤くなってんだ俺!)
 それ以来、女子より彼のことばかり気になるようになった。そして、あいつもたまに気づいたら俺ばかり見ていた。もしかして、気があってるのか?と。そして、ついにあの放課後がきた。
 「放課後、屋上で待ってる」
あいつからの誘いは初めてだった。ドキドキした。
(どうしよう、鼓動が止まらない)
高まる感情に押し潰されそうだった。


それから放課後、あいつから告白をされ、俺は承諾した。
「こんな俺でよければ、貰ってください」


今でも覚えてる。あの放課後のあと、生徒玄関まで手をつないで階段を降りたのを。
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