ある独りの侯爵令嬢は精霊に愛される。

玲藍

文字の大きさ
10 / 49
第一章 幼少期編

9

しおりを挟む
今日はお母さまとのアフターヌーンティーがあります!楽しみです。

「レミリア、大丈夫…?」

「うん、何とか平気。一応は歩けるわ。」

「お嬢様、無理しないでくださいね。」

「ありがとう。」

 一応簡単な治癒魔法で筋肉の緊張だけ和らげておこう。
ぽーっと緑色の穏やかな光をだして筋肉痛の酷いところに優しくあてる。
 この時は知らなかった。治癒魔法が今は亡き古代の魔法でありそんなものをサラッと使いのけることがどんなに危険で恐ろしい事かを。









「お母さま、今日は素敵なお茶会に招待していただきありがとうございます。」

「レミリアいらっしゃい。待っていたわ。さぁ早く座って楽しいお話を色々聞かせて頂戴。楽しみにしていたのよ。」

「はい、失礼します。」

「レミリアの紅茶の趣味が分からないから何種類か用意させたのだけどどれがいいかしら…。」

お母さまが用意してくれた紅茶はダージリンとオレンジティー、それにピーチティーやハーブティーが数種類あってカモミールとレモングラスなどなどがあってどれも美味しそう。


「どれも美味しそうで迷います。」

「ふふっ、そうね。ゆっくり決めて頂戴。それに今日飲めなかった紅茶はまた今度にしましょう。」

「……はい。ではお母様が好きな物はどれですか?」

「私が招待したのだから気にしないで自由に選んでいいのよ?」

「いいえお母さま、私はお母さまの好きな紅茶が飲んでみたいのです。」

「そう?ならオレンジティーにしましょう。さっぱりしていてオススメなの。ハチミツを入れても美味しいのよ。」

「ではそれを頂きます。」

そう言うとお母さま付きの侍女、リリィが手際よく紅茶を入れ始める。
 沸騰したてのお湯をポットに注いで温め、そのお湯をカップに移して温める。温まったポットに人数分の茶葉を入れ、沸騰したお湯を勢いよくそそぎ入れる。カップを温めていたお湯を捨ててソーサーに乗せ、できた紅茶を注いでいく。

 オレンジのスッキリとした香りが漂いリラックスする。
 一口飲むとオレンジの甘酸っぱさが口いっぱいに広がりさっぱりする。

「美味しい…。」

「ふふっ、気に入ってもらえたようで良かったわ。」

「…ありがとうございます。お母さま」

「お礼なんていいのよ、私はレミリアと話せただけで十分だわ。」

「そんな…私もお母さまとこうやってお茶会が出来て凄く嬉しいんです。」

「レミリア…。」

「今度は私の番です。私のお茶会にお母さまをお誘いします。」

「レミリア…っ…。ありがとう、喜んで行かせてもらうわね。」

お母さまは笑顔でそう答えてくれて、それに私も微笑み返した。

「はい!楽しみにしていてくださいねっ!」

「ええ、楽しみにしているわ!さぁ次回のお茶会開催も決まったことですし、お菓子も食べて頂戴!沢山お話しましょう?」

クッキーやサンドイッチ、スコーン。色々揃えてくれたみたい。食べきれないほどに準備してあるわ。
なんかお母さまが可愛い。

「はい。私、お母さまのことも知りたいです。お母さまの小さい頃のお話を。」

「そんなこと聞いてもつまらないわよ?」

ふふっ、お母さまの眉が一瞬ピクっとしました。これは期待していいのでしょうか?

「いいえ、私が聞きたいのです!」

「そんなにはっきり言われると照れるわ。」

「奥様はお転婆でいらっしゃいましたよ。」

「ちょっと!リリィ酷いわよ、勝手に人の過去をバラしてしまうなんてっ!」

横に立っていたリリィがサラッと過去をバラしてお母さまは顔が真っ赤になっています。

「それは失礼致しました。ですが私も懐かしいです。奥様がまだ旦那様とご結婚してしばらくは家を勝手に抜け出したり、旦那様にイタズラをして迷惑をおかけしたり。それはそれは楽しい日々でございました。」

「もうリリィっ!貴女だって一緒じゃないっ!私に秘密でお付き合いしている方がいて本当にあのときはびっくりしたのよっ!いい方で良かったけれど。」

「奥様!その事は忘れてくださいっ!…ですが今でもこうして奥様の侍女として居られたのは夫のおかげですわ。」

お母さまとリリィが思い出話で盛りがっています。なんだかおいてけぼりです。

「お母さま…なんだか子供みたいですわ。」

「レミリア、貴女にまで言われたら傷つくわ。」

「あっ、ごめんなさい。」

「ふふっ、いいのよ。でもそうね、子供の頃は本当に女の子に思われないほどお転婆だったわ。幼馴染でもあり、侍女だったリリィにはすごく迷惑をかけたもの。」

「そうですね。奥様は無邪気な笑顔でわんぱくでしたね。私は駆けずり回る奥様に引きずられるようについて行きました。」

「そうなのですか。」

「そうよ。でも年頃になると婚約者が決まって堅苦しい日々が続いて今ではもうそれも慣れてしまったわ。若い頃が恋しいわね。」

しみじみと思い出にふけっているお母さまはなんだか楽しそうです。リリィも顔を崩して笑っていて、私もそれだけ大切な友達を、幼馴染が出来たらいいと、そう思った。
しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜

ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。 イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。 8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。 ※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。

恋い焦がれて

さとう涼
恋愛
小学校時代の担任教諭・佐野に七年ぶりに再会し、話の流れで佐野の恋人へのエンゲージリングを選ぶために一緒にジュエリーショップに行くことになってしまった二十歳の女子大学生・輝。 最初はそんなつもりはなかったのに、次第に佐野を意識してしまうようになり、自分でも困惑してしまう。 必死に自分の想いを打ち消そうとする輝。 だけど佐野も恋人との関係に悩んでいるようで、複雑な想いを抱え続けることになる。 そんな輝を見守る(ちょっかいをかける?)バイト先の店長。 さらに佐野の恋人は意外な人物で、輝は大混乱。 ※ドロドロではなく純愛系を目指していますが、ビターテイストなお話です ※理想的で格好いいヒーローではありません(…すみません) ※調べながら執筆をしているのですが、無知なところも多々あるので、間違っているところがありましたら教えてください。ツイッターでも受け付けています。 https://twitter.com/SATORYO_HOME

家を乗っ取られて辺境に嫁がされることになったら、三食研究付きの溺愛生活が待っていました

ミズメ
恋愛
ライラ・ハルフォードは伯爵令嬢でありながら、毎日魔法薬の研究に精を出していた。 一つ結びの三つ編み、大きな丸レンズの眼鏡、白衣。""変わり者令嬢""と揶揄されながら、信頼出来る仲間と共に毎日楽しく研究に励む。 「大変です……!」 ライラはある日、とんでもない事実に気が付いた。作成した魔法薬に、なんと"薄毛"の副作用があったのだ。その解消の為に尽力していると、出席させられた夜会で、伯爵家を乗っ取った叔父からふたまわりも歳上の辺境伯の後妻となる婚約が整ったことを告げられる。 手詰まりかと思えたそれは、ライラにとって幸せへと続く道だった。 ◎さくっと終わる短編です(10話程度) ◎薄毛の話題が出てきます。苦手な方(?)はお気をつけて…!

【完結】男装して会いに行ったら婚約破棄されていたので、近衛として地味に復讐したいと思います。

銀杏鹿
恋愛
次期皇后のアイリスは、婚約者である王に会うついでに驚かせようと、男に変装し近衛として近づく。 しかし、王が自分以外の者と結婚しようとしていると知り、怒りに震えた彼女は、男装を解かないまま、復讐しようと考える。 しかし、男装が完璧過ぎたのか、王の意中の相手やら、王弟殿下やら、その従者に目をつけられてしまい……

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

本当に現実を生きていないのは?

朝樹 四季
恋愛
ある日、ヒロインと悪役令嬢が言い争っている場面を見た。ヒロインによる攻略はもう随分と進んでいるらしい。 だけど、その言い争いを見ている攻略対象者である王子の顔を見て、俺はヒロインの攻略をぶち壊す暗躍をすることを決意した。 だって、ここは現実だ。 ※番外編はリクエスト頂いたものです。もしかしたらまたひょっこり増えるかもしれません。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

処理中です...